プロローグ
これまで体験した事を記す日記帳。
これから体験する事を記す日記帳。
そんな日記帳を買いに行く。幸い天気は雲一つ無い青空。昨日までの台風による雨風は嘘だったかのように晴れている。
いつも通りの日常にまた戻ってくる。
そしていつかまた自分に降ってくる非日常のために。
近くのショッピングモールで百円ほどで売っているような、なんの変哲もない。
水色で、B5サイズで、こんなにも書かないと思うほどのページの多い。そして、ついさっきまで持っていた日記帳を。
手に取った日記帳をレジへと持っていく。平日の午前中は人気が少ないのが良い。静かで落ち着く。
財布の中身にある五千円札。あ、返し忘れてた、まぁ自分の物だし返すなんて言葉似合わないか。
昨日の自分は別人だ。明日の自分も別人だ。寝てしまってはもう別人だ。なぜ昨日の自分は宿題をやらずに寝たのか、なぜ一週間前の自分はテスト勉強をしなかったのか。
その日の自分は別人だ。そう、思っていた。
久しぶりに触る携帯に少し安心を感じる。四日も携帯の充電がもつわけもなく、あっけなく切れてしまった携帯は気にしない程度の荷物にしかならなかったものだから。
RINEの通知が溜まっている。Twittelの通知が溜まっている。アプリゲームのログインは切れている。
携帯を充電し、置いておく。日記帳を開く。まだ何も書かれてないまっしろな日記帳を。
もしかしたら僕の今まではすべて妄想だったのかもしれない。