表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
美女は野獣  作者: スットン
第一章 桟葉拿樹海編
6/87

五話 変身




…………



……………………




鏡の前でどれくらい固まっていただろうか。目の前の大猿も動かない。



ど、どうしようとりあえず逃げなきゃ



こっそりと身体を入り口の方へ動かすと大猿も動いた。


うわあ!


「う゛ぉ゛あ゛!」


わあああ何今の声!??私から出た!???


鏡の前で右手を上げてみる……大猿も右手を上げる

左手を上げてみる……大猿も左手を上げる。

まさか……


おそるおそる視線を自分の身体へ移す……そこには白い体毛に覆われた筋骨隆々の獣の身体があった



うわあああああああああああああ!??


何これ何これ何これ!?!?!?!?

わ、私が、猿に、なっちゃったの!???どういうこと!???



「紅花、いつまで待たせるつもり?お客様に失礼よ。」



扉の外側から母さんの声がする。


うわあああああ

どうしよう、どうしよう、どうしよう!!!

こんな姿見られたら絶対に大変なことになる!!もうすでに大変なことになってるけど!!落ち着け、落ち着け私!!


「いいかげんにしなさい、入るわよ」


扉を開けた母さんと目が合う

固まる母さんと私



「きぃいやああああああああああああああああああ」


わあああああああああ


「いやあああ!!誰か!誰か来て!!!助けて!!!妖魔が!!!」


ち、ちがうよ!!私だよ母さん!!


「う゛あぐ!!ぐあ゛じ!!」


ひい!全然上手くしゃべれない!なんかものすごく猛獣の唸り声みたいになってしまった!!

母さんは腰を抜かしてへたり込んでしまった。


「嫌あ!!!こっちにこないで!!!」

「どうしたんですか!玉さん!悲鳴が・・・」


乃至さんがあわてて駆けつけてきて母さんを庇うように前に出る。

遅れて来た奥様も私を見て固まる。


「乃至さん!紅花!!紅花が!!!」

「紅花さん!!いたら返事してください!!紅花さん!!」


ここ!ここだよ!!目の前にいます!!

私は自分を指差した。


「まさかお前……」


そう!!私が紅花です!!


「喰ったのか…………!?」


ちがーーう!!!


「ああっ…………」

「奥様!!しっかりしてくださいませ!!」


母さんが気絶した。亥商会の奥様が母さんを支える。


「母さんは玉さんを安全なところへ!ここは俺が何とかする!」


そう言うと乃至さんは剣を取り出してこっちへ向けた。

なんとかするってどう考えても穏便にすまない感じだよねコレ。もしかしなくても私殺されそうな感じだよね。


「貴様!よくも!紅花さんを!!!」


ひーーっ!乃至さんが鬼のような顔をして私に剣を振ってくる。

どうしよう!!とりあえず逃げなきゃ……!!


転げるように窓に突進する。


窓は壁ごと砕け私は宙に投げ出された。

落ちる!!とっさに近くにあったものを掴んだが空しく私は数m下の地面にぶつかった。

背中に少しだけ痛みが走ったが気にしてる暇はない。

とにかく逃げないと……!殺される!


とっさに通りの方まで逃げる。通りを歩く人たちが私を見て悲鳴をあげる。逃げる。

剣を持った人たちが追いかけてくる。逃げる。弓を撃ってくる人たちがいた。逃げる。逃げる。逃げる。




無我夢中で逃げていたら西門を越えてしまっていた。

後ろから撃たれた矢がまだ私を追いかけてくる。逃げなきゃ……もっと逃げなきゃ。



どれくらい走っただろう



気がついたら私は森の中にいた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ