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前置き
突然だが、今見ている世界が自分の常識であり、これ以外の世界は存在しないと言えるだろうか。
そんな風に問われれば、どう答えるだろうか。
一つ、持論を唱えるとすれば、人間が見ているのはあくまで表層に他ならない。例えば、人が携帯の全ての機能を使いこなせないように。入り組んだ構造であるパソコンについて、全てを知っている人間がほとんどいないように。あくまで、人は表層を理解しているだけに過ぎず、人は事柄を一つの平面でしか捉えられない。それを切り取って、自分好みに解釈しているものこそが常識であり、表層とは常識である。と、そう仮定して。
では、改めて質問を投げかけよう。
この世界の表層──つまり、本来自分達が信じている常識が消え去った先にあるのは、一体何なのだろう、と。
これはそういうお話だ。常識の先に潜むもの、現実の裏側に存在するものを中心に進めていく物語。
──現実にはありえないはずの、存在しないはずの超常を使役する者達の物語。