表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデンの園のユグドラシル  作者: 秋陽尊午
受胎
9/14

それは起きてしまった

12:

何から質問していいかわからなかった。

天使の羽根?

百鬼夜行?

田邉は何をしている?

どの疑問を先にぶつけるべきか。


「ホテルに逃げろ!!」

田邉が謝池を突き飛ばす。

黒い影が飛びまわっている。


「なんだよこれ!」

謝池は目を疑った。


その目の前には、いわゆる、漫画や絵画に出てくるような、黒い翼と角、牛の顔と尻尾を持った、

3mくらいの、「悪魔」としかいいようがないものが、動いていた。


「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」

田邉が、唱えながら、手印を結んでいる。

「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」

こんどは、指で空を切っている。

「ナウマク・サマンダ・バザラダン・センダ・マカロシャダ・ソワタヤ・ウン・タラタ・カン・マン!」

田邉の祈祷かと思われるものが続く。


「悪魔」のようなものは、見る間に腕を身体にひっ付けぎりぎりと締め付けられていく。


「オン・キリキリ!」

田邉の祈祷は続く。


その時、「悪魔」が口から、どす黒い粘液のようなものを吐いた。

田邉がよけながら足に被った。

「いてぇえ!」

田邉の祈祷が中断された。

田邉の足から煙が上がっている。


「謝池!逃げろ!早く逃げろ!」

田邉が路地に倒れながら叫ぶ。


「悪魔」が動きだしそうにしている。


謝池の頭によぎった。

『勢至菩薩印』

『樹の芽』で見た、

そして、晃聖上人に教わった言葉に合致した印。


謝池は手印を結ぶと、大声で唱えた。

「オン・サン・ザン・サク・ソワカ!」



錫杖の音がした。


数珠が震えた。



そして、むこうの方で強い光が発した。


「悪魔」は縛られていた体制から解かれて、今にも田邉に襲いかかろうとしている。

「田邉ええ!」

謝池は叫ぶよりも早く、田邉に覆いかぶさった。


空に轟音が轟く


「ゴオォォォォォォォォ」


音が近づいて来ると同時に、「悪魔」は手を振りかぶり、爪を光らせていた。


「バカヤロウ! お前は逃げろ!」

田邉は謝池を振り切って前に出た。




「ズシィィィィィィィィィン!!」




「悪魔」が『それ』に潰されていた。




12:

『それ』はそこにあった。

本来あるべき場所に無く、違うそこに居たのだ。


「なんなんだよこれ…」


そう呟くのが精一杯だった。


『それ』はいかにも人間らしく、二本足で立っていた…





見覚えのある屋根、壁、窓。


人の形はしているものの、『それ』は記憶に合致した。


「ウソだろ…」





『それ』はまぎれもなく人の形をした、




『金閣寺』だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ