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エデンの園のユグドラシル  作者: 秋陽尊午
受胎
3/14

修学旅行~邂逅~

5:

「謝池、どこ行くんだ?」

田邉が声をかける。


場所は金閣寺。時は修学旅行二日目。

昨日の定例コースと違って、今日は班ごとの自由修学の日だ。



「ああ、ちょっとお袋に土産もん買って行きたいんだ、移動までまだ時間があるだろ?時間になったら集合するから、ちょっと行ってくる」

「じゃあ、私も行く!」

共に行動していたC班の靖子がついてくる。


「わかった、遅れるなよ」

ミーティングから音頭を取っていた田邉は、D班、ともにC班の班長のようになっていた。




社務所のようなところに、お守りやらお札やらが置いてある。

絵葉書なんてものもある。


「どれがいいかなー…」

謝池が迷っていると、

「みっちゃん、あれなんかいいんじゃない? おばさん、小さいもの好きでしょ?」

靖子が少し遠いところにある、金閣寺の金のミニチュアモデルを指差した。


「おお、いいな、あれ」


謝池が、左腕を伸ばす。


社務所の坊さんが、気が付いた、と、表情を現したと同時に、謝池の左腕をつかんだ。


「!?」

謝池と靖子がアッ気に取られていると、


「君、この数珠をどこで手に入れた、どうして、持ってる!?名前はなんて言うの!?」

まくしたてるように社務所の坊さんが訪ねて来る。


「いや…、これは母からもらったもので…、自分は謝池道武と言います」

謝池が少し驚きながら言葉を発した。


「謝池…、お母さんの旧姓は!? 名前は!?」

と、社務所の坊さんが詰め寄る。


「母の旧姓は、和智わちです。和智節子わちせつこです」

と、謝池。


「そして、私が、和智靖子です。謝池くんの幼馴染です」

靖子が、謝池をかばうように真剣な面持ちで言う。


「謝池…、和智…」

坊さんが、おろおろと謝池の腕から手を離し、後ずさりをした。


「君ら、ちょっとここで待っててくれないか!?すぐ戻ってくるから!!」

叫ぶと同時に、社務所の奥へ走って消えた。


「なんなんだ一体?俺ら、お土産を盗もうとした様に見えたのかな?」

と、謝池が疑問に首を傾げる。

「違うよ、あの様子だと、私達の事、知ってるみたいだよ…」

靖子が、社務所の奥を睨んだまま呟く。


待つこと五分、奥から、恰幅の良い法衣をまとった大柄な男性が出てきた。

『海坊主』という言葉が似合うくらい、体つきの良い、威厳のある人物だ。


「君らが、謝池道武くん、和智靖子くんか。急に驚かせて申し訳なかったね。君らに話して置きたい事があるんだが、少し、時間をもらっていいかね?」

と大柄な男性が言う。


「あなたは?」

靖子が鋭く放った。


「ああ、すまない。自己紹介が遅れたね。

私は『晃聖こうせい』、この金閣寺の管長を務めている。巷の言い方でいうと、「大僧正」のようなものだ。


本名は、

和智正紀わちまさのり

道武くんのお母さんの父と靖子ちゃんのお父さんの父とは兄弟なんだ。道武くんの祖父は次男、靖子ちゃんの祖父は三男、私はその兄弟の長男の三人兄弟なんだよ」


「えっ!?」

謝池と靖子が同時に声を発した。


「知らないのも無理はない。昔、君らが幼稚園に入る前に、ここを訪れて以来だからね。それに、私は俗世とは身を断っている。あまり、公にしてはいけなかったから、君らのお母さん、お父さんも口にださなかったのだろう。

まあ、ここで立ち話しもなんだ。本殿の奥に来なさい。京都の美味しいお茶とお菓子があるから」

と、晃聖が奥へと手を差し伸べ、導いた。


「どうする…?」

謝池が靖子に耳打ちする。


「行こう」

靖子が本殿を見据えたまま言った。


そして、晃聖に誘われ、謝池と靖子は本殿へと入って行った。

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