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この物語の主軸に半ば強引に据えられた主人公の日常風景みたいな話


 


『ワンダーフリーク・タイプRでプレイ中!

 『虚空の花園』『華々しい妖精』

 リリーは、大ノーランブルク王国くじでSSSレア『マテリアルシールド』 をゲットした!』


「マジでぇ!!!」


 暇つぶしでやっていたのに、こんなぁ!

 いよいよ小屋入り!だ! 最終決戦は勝てるかもしれないぞ!

 週末の終末の、黄昏の神々‐ラグナロククルセイド。

 そのメイン盾、切り札的なマスクカードはさっきので手に入ったしぃ。


「今夏は、本当に芝居しかしなかったよ」


 私は電話している、同演劇部のレイルちゃんと話しているのだ。


「そんなのはどうでもいいことだよぉ!」


「うん? いつもとは違う気持ちなのだ、ゲームの話は今はよそう」


「なんだろうこれ!不安もあるけど!いまは楽しみ!

 今はもう楽しみたい!」


「わかった、ゲームね」


「うん! これで私も虚空の花嫁!

 何時か目覚める妖精とか、あーん! どれでもいいからなれるかしらん。。。」


「ああ、それと、夏のおたよりを送っておくよ、もう皆にも送った。

 25&26日ね、最後の最後で30日も参加できるけど、できれば早めにやりたい」


「そだね! 集まりが悪くて、みんな揃わない可能性もあるし!早めにやらないと、!

 おお、でも、深夜はまだお席ありますよ!だって!だって!」


「深夜に起きてられるのは、リリーちゃんと、あと一人くらいだよ」


「話は変わるけどさぁー。

 さっき、超劇レアの”マテリアルシールド”手に入ったよ! 決戦ではこれはメイン盾になるのでは!」


「メイン盾言いたいだけちゃうんか。

 まあ、決戦ではそれをメイン盾にしましょう」


「だよね!

 それともう一つさぁ、さっきのさっき、”死せる夢色の女神”ってのが手に入ったけど。

 これって属性が不死なのよ!」


「うん、死せる何たらは、死んでる癖にって思うけど、というより死んでるから、不死って意味合いなのかもしれないわ」


「あっはっはぁ、かもね!

 あと”虚ろな空”も沢山無駄に揃ったよ!

 特異フィールドの展開は任せて!」


「ええ、私たちの主力、妖精属性を強化する為に、それは必須だわ」


「ああ、ごめん、ちょっと突発的に宣戦布告されたから、切るよ」


「オーケー、それじゃまた」


 ああ、この人も死せる~なんたら、なのに、種族が不死って何だよ(w)。

 みんな、即死には警戒してるみたいだね、そりゃそうか。


『337階層にて、プレイヤー名、非通知さんが、@不死アプリで起動中、攻勢を開始しています」


 おりゃ、行くかね。

 私は四次元的に世界を塗り替える。

 この世界では私は戦士である、戦士に相応しい戦場、フィールドが眼前に展開されている。

 急速に変化した世界で、私は目的地に急ぐ。


「不死アプリはやっぱ強いね。

 まあその分レア度高いし、コストも高い」


 地図を確認すると、337階層はほとんど奪われてしまっている。

 さっさと私の階層を守らなければ、この色合いが変化する前に。


「私のイメージに沿ったモノに、全ては変化する」


 これはパラレルワールド、ではない、そんなチャチなモノじゃないのだ、そう強く念じる。

 これはもう一つの別世界、私の私による私の為だけの、異界法則によって成り立つ世界。

 自己領域階層特有の有利を活かし、お好みのフィールドを構築し、待ち構える。


「ふっふ、その、全てが元の世界を上回り、自分こそが、上位に位置していると信じる世界。

 それをわたしが打ち破って、蹂躙して、陵辱し尽くして、根こそぎ奪い取ってやるわ!」


 ”ディメンションストライカーズ”を展開。

 幾つもの回廊に設置し、どのルートでも迎撃できるようにする。


 20XX/08/18/10:20。

 敵視認、ID:、、、、全検索、、、。

 ってーかランキング1000位以下って、わざわざ私を呼び出すほどの事かなこれ?

 ギルドまで連絡、って…誰も出ないし、まあいいか、夜だし。


『338階層に、非通知のプレイヤーが到達しました』


 非通知プレイヤーさん、@不死アプリ起動。

 全検索。

 このプレイヤーの戦術・戦略パターンを確定。

 20XX/04/17/15:20にて、所定IDプレイヤーが存在した。

 それから見るに、複数ある回廊から、ここの通過が高確率で確定する。


「このイベントでの立ち回りが、全然甘いね」


 虚空に閃く、力線の数々。

 直線通路にタペストリーを敷くように、光線が迸った。


『非通知プレイヤーが、あなたのゲームに対して講和宣言。

 開始時の手札にあるカードを一枚譲渡。

 それ以外の場合、交渉要求、ゲームとリアルタイム進行。

 拒否の場合、貴方は戦場に出続ける」


 さて、この独壇場にいる状態で、ゲームを始めても終わってもよい。

 奪われた階層、いずれかの領域も、特に重要ではない、通過点的な階層だし。

 まあここから、対戦相手を”墓地”に落とすよりも、カードを置いていって貰った方がいいかな。


『講和宣言受領、ゲームは終了します』


 相手のカードが置かれる場合、手札一杯の現在、強制的に代わりに追放するカードを選ぶ必要がある。


「それを追放する」


 ”黒の女神”を追放する。

 大量の力線が、その女神を指向し、幾十もまばらに空を翔るが。

 わたしの育てた女神は簡単に落ちない、階層の外を浮遊し続ける。

 これは墓地対策、階層の外から階層内を襲撃する奴を迎撃する、空撃要員にした。


「基本は力線による迎撃。

 そして第二戦線に、オパールの戦機を多数配置。

 第三戦線、そこを”聖域”の展開領域一杯とする、これ以上は費用対効果が悪い。

 主力の3種類が聖域内で戦闘し、種族コンボであるため非常に良い。

 そして最終防衛線のわたしが、この”マリーガン”で全てを貫く、完璧だわね」


 まあこの最後、私が出張るまでに至ると、その全過程で相当に手札を消費する、結果的にはなるが。

 私が前線に出て、破壊される可能性を最小化できるなら、割には合う。

 この場合が多くなるなら、基本のカードデッキの限界容量を上げる必要が出てくるが、まだいいだろ。


「ふみゃぁ、、」


「っ!、、、、であること、から、、、リリー、ここを答えなさい」


 学校だ、学校だ学校だ。

 私は前に出て、黒板にチョークを走らせるため、白棒を取る。


「私は、この第三戦線で、三連主力力線である《虚空の雷鳴》を使用、行使。

 そして、この力線に加えて、神聖領域を展開します。

 この対応が、のちのち敵の力線の、こちらへの到達を絶妙に阻害します。

 それが基本戦術です。

 戦略としては、共に《蛇の顕現》を使います、模範的な騙し討ち&実物提示による誘導ですね」


「とても良い。

 特にこの、即席の、、、、、」


 まあ学園における、”こういう教育”から、何かしら学び取れるのは、私の場合稀なのだが。

 友達もいるし通っている。

 ああ、今も、《ファッティ》を出す、そういうコンボに対して、ああいうデッキ構成は、率直に言って、敵に対してほぼ無力である。


「はぁ、、、早く終わらないかなぁ、、」


 悩ましげに時計を見ながら、わたしは溜息をつかざるを得なかった。

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