開戦
「入り口を守ってるのは2人か。 予想より少ないな」
次の日のお昼前。ゲバラはイリーナとで2人で収容所の近くにいた。 今は収容所の入り口から500mほど離れたところに隠れて収容所の様子を確認しているところだ。
「それにしても、やっぱり嬢ちゃんは休んでたほうが良かったんじゃないか? その怪我だと走るのは大変だろ?」
ゲバラは収容所の入り口から目を離し、イリーナのほうを見る。
「これくらい仲間を助けるためならなんともないわ。それに、あなただけで助けに行っても味方だって分かってもらえないかも知れないじゃない」
「お? それは俺の見た目が怪しいって言いたいのか?」
「怪しくないって言う人はほとんどいないと思うわよ。 着ているものとか初めて見る服だし」
「仕方ないだろこれしか無いんだから。今度この世界のファッションを教えてくれよ」
「オルト王国が復活したあかつきには考えてあげても良いわよ」
「へっ。そりゃあ一刻も早くオルトを取り戻さねぇとな」
そうやって2人が会話していると、入り口を守っていた兵士に動きがあった。
ゲバラは武器を構え様子を観察する。
「……なんだ、交代の時間か。 今戻った奴等は昼飯かな」
「ってことはそろそろね。そういえばゲバラさん」
「チェ・ゲバラでいいぞ。そっちのが呼ばれ馴れてる」
「そうなの?じゃチェ・ゲバラ、その武器何て言うの?とても不思議な攻撃をしていたけど」
イリーナはゲバラが持っている"筒"を指差す。
「これか?これは"銃"って言うんだ。下についている引き金をひけば鉄の弾が飛び出す仕組みだ。場合によるが500mぐらいまでの距離なら攻撃できる」
「嘘でしょ?それがあれば敵無しじゃない」
イリーナは驚く。
「だけど弱点もある。銃の下についている箱、弾倉って言うんだが、ここに弾がないと撃てない。早い話攻撃回数に制限があるんだ」
「その弾はまだ残ってるの?」
「ある、が今日でほぼ無くなるだろうな。けどそれを考えるのはこの戦いに勝ってからだ。もうすぐ始まるぞ。イリーナ、覚悟はいいな?」
「もちろんよ」
イリーナも氷のナイフを構える。
直後、
ドォン!
という音が響き渡り、収容所の敷地から煙があがる。
「始まったな。行くぞ!」
その音とともに2人は飛び出し、攻撃を開始した。