森の中で
「ほら、これでどうだ。」
チェ・ゲバラと名乗る男が傷の治療を終え立ち上がる。
彼の治療で痛みも幾分か引き、激しい運動は出来ないが、多少動く分には問題無さそうだ。
「あ、ありがとう。」
「なに、これでも医者だったんだ。これくらい馴れてるぜ。」
「そうなの・・・?」
彼女にとってその言葉は本当かどうか分からなかった。何故なら彼の見た目がとても医者には見えなかったからだ。
「嘘は言ってないぞ。道具がありゃもっと良い処置が出来たんだがな。」
彼は懐から煙草を取りだす
「あっ、火がねえや・・・ところで嬢ちゃん、さっきの話どういうことなんだ?」
取りだした煙草を戻しつつ、彼は質問する。
「!! 聞こえてたの?」
「まあな。これでも耳は良いつもり・・・!!」
彼は急に会話を止め、振り返える。
「おっと、やっぱりこの話は後だ。誰か来てやがる。」
「また追っ手?!」
「間違いないな。数は・・・10人ぐらいか。」
そう言って彼は少女を持ち上げる。
「きゃっ! な、何を?」
「何って勿論逃げるんだよ。その傷じゃ走れないだろ。 この森の奥に俺の隠れ家がある。 そこなら見つからないだろうし、何より俺の"同志"がいる。 さあ行くぞ!」
彼は少女を背負い森の奥へと走っていった。
少女を森の奥へ連れていくオッサン(30代)。 犯罪臭がしますね。
※11/28 一部文章の変更