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革命戦争  作者: 青緑
1/7

全ての始まり

 

 少女は走っていた。

 薄暗い森の中を、全力で、わき目も振らずに。

 美しい金色の髪がどれだけ小枝が絡まろうとも、 綺麗な白い肌にどれだけ傷がつこうとも、彼女は走った。



 そんな少女の後ろから何か近づいてくる音がした。 彼女は後ろを振り替えると、5人の男が追いかけて来ているのが見えた。


(追い付かれた!)

 彼女は走る速度を上げるが女性と男性、さらに子供と大人では走る速度が違い過ぎる。


「止まれぇ!」

 男の1人が追い付き彼女を止めようと手を伸ばす。

「くぅ、《凍てつく鎧》!」

 しかし、彼の手が彼女の肩に触れた瞬間、彼の体が突如凍りついた。


「よし、今のうちにっ・・・ああっ!」

  ズサァッ!

 再び走り出そうとした彼女だったが、追っ手に気を取られ、木の根につまずいてしまう。 急いで立ち上がろうとするが、

「やっと捕まえましたよ。」

 残りの追っ手に追い付かれ、囲まれてしまった。






「全くすばしっこい王女様ですねぇ・・・おっと失礼、"元"王女でしたか。」

 男達のリーダーが声をかける。


「・・・。」


「おや、せっかくの挨拶を無視ですか。そんな態度をとってると貴方の同胞がどうなるか、お分かりですよね?」


「・・・私を捕らえてどうするつもり? 奴隷にもせず閉じ込めておくだけなら殺せばいいじゃない!」


「私は別にそれでもいいんですがねぇ。上の方々の命令ですので。大人しく捕まってくれれば貴方の命も、貴方の脱走の手助けをした者達の命も奪いませんよ。」


「彼らは今どうしているの?」


「おやおや、自分の命よりも彼らの命を心配が心配ですか。心優しい王女ですねぇ。 まあ殺してはいないはずですよ。 死にかけかもしれませんが。」


「っ! 最低ね!」


「反逆者が生きているだけで感謝してほしいですよ。 ほら、さっさと牢獄へ戻りますよ。 遅くなると怒られるのは私なんですから。」

 リーダーが少女を連れて行こうと手を掴む。


「触らないで!」

 パンッ!

 だが、その手を少女は払いのける。



「・・・自分の立場が分かってないようですねぇ。 お前達。」

 リーダーの声と共に男達が皆剣を抜く。

「殺しはしませんよ、殺しは。・・・やれ。」

 その声と共に男達が一斉に少女に襲い掛かる。


「《氷河の盾》!」

 彼女は氷の盾を作り出す。


 ザシュッ!

「ああああああっ!」


 しかしその盾は3つの斬撃から身を守るには小さ過ぎた。


「ほらほら、大人しくしないとまた斬りますよ。」


「・・・。」


「まだそんな反抗的な目をしますか。 次は腕落としますよ。」

 男達が再び少女に斬りかかる。


「くっ、《氷河の―

 だが、少女が盾を張るより早く、



 タン、タン、タン!



 音と共に男達が地に倒れた。








「えっ?」

 少女は呆気に取られる。彼女は盾を張ろうとしただけだ。


「お、おい お前達。なにが・・・。」

 リーダーの男も突然のことに慌てている。


 その時その"音"が聞こえた方から誰かが向かってくる音がしてきた。


「!? 誰だ!」

 リーダーの男が音の方へ剣を向ける。




 そこから出てきたのは30代ほどの男だった。帽子を被り、口に煙草をくわえ、手には不思議な形をした"筒"を持っている。


「誰だとは失礼だな。 まずはそっちが名乗れよ。」


「なんだと、貴様ぁ!」

 リーダーの男は剣を振り上げ現れた男に斬りかかる。


「本当に失礼な奴だ。」


 その時彼がとった行動は少女にとってとても奇妙なものだった。


 彼は避けることをせず、手に持つ"筒"をリーダーの男に向けた。

 次の瞬間、大きな音がして、気づいた時にはリーダーの男は吹き飛ばされていた。


「失礼なわりには、手応えないなこいつ。」

男は呟きながら筒をくるくると回す。


彼女はその光景を見ることしかできなかった。






「ん?おい嬢ちゃん ひでぇ怪我してるじゃねえか!見せてみろ。」

男は少女が怪我をしていることに気づき彼女の元へ駆け寄る。


「あ、あなたは・・・?」

治療を受けながら少女は聞く。


「なんだ、嬢ちゃんもか? そういうのは自分が名乗ってからだぜ。まあいいや。」


そういって彼は立ち上がる。




「俺の名はエルネスト・ゲバラ。 チェ・ゲバラとでも呼んでくれ!」


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