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なし
「また、倉かよ。
もう、なにものも
おまえのすべてに
驚かなくなってきたよ。
外国人より驚かせられるな。
日本人にしとくの
惜しいくらいの
立派なエンターテナーだな」
しゃべりながらも
腹を抱えて笑っている。
過呼吸になりそうな氣配。
こちらが心配になってくる。
大丈夫だろうか。
まだ何か言いたそうだ
「どうだ、うちの会社に・・」
大笑いの恵比寿様。
本当に心底楽しそうに笑う。
そりゃあ、お金も貯まるわ。
人も集まるわ。
3年前に
たまプラーザの
パルテノンが見える道で
再会した
金さんこと遠山英夫
ウイスキーの小瓶
転がしてたっけ
まだ、あのころは
学生だったのかあ
そして
去年末
札幌で会った際は
すっごい高級ホテルに
私と同い年の
スーパーモデルな秘書を連れ
外国企業
パッカードかなんとかって
言った
日本支社に勤めてたっけ
いや社長だったのか
ホントに金さんは
噂に事欠かない
私が在学の時から
おじいさんかひいおじいさんが
大学に土地を売って
今の本学があるとか
やさしいんだが女好きなんだか
我が音楽大学の
女子全てに声をかけたとか
あまりの氣さくさに
女子ファン多数で
親衛隊まであって
音楽じゃ就職できないし
食べていけないから
みんな玉の輿ねらってたとか
一族みーんな お金持ってて
特に叔父さんなんか
おそろしく
生活感のない
高級マンションで
「お金ありすぎて
なんでもあって
あとは することないから
結婚するか」
って
どんだけ金もってんのよ
そりゃあ
世間 敵にまわすよ
そういや
さらに続けて
「あと
ないのは
しあわせな家庭か」
なんて
めちゃくちゃでしょ
そして
おじさんが金さんに
自分の会社に
入社をすすめたんだっけ
「倉、俺たち社会人になるからって
来年から
つきあわないか」
って
何の因果か
会社に入社するどさくさに
告られたんだっけ。
その後、
私は
就職浪人みたいに
なっちゃって
さまよい
漂いながらも
もう3年。
どんだけ噂あるのよ
金さんは。
そういや
あのとき一緒だった
AKIRAは
どうしてるかしら
私は
やっぱり
AKIRAの素直さが
ひかれるわ。
って
その間
0.01病
始まった
妄想だ。
はや病氣だ。
笑いがおさまり
「おーい、おーい」
と受話器からは金さんの
声が聞こえる。
「つうか、倉。
うちがいくら金持ちでも
ロンドンからの国際電話なんだから
氣い、つかえよ」
でた、自分ちの金持ちさの
自覚。
金さん節炸裂。
「いやねえ、
おまえ知ってたか
札幌で俺の一時秘書させてた
有村 あや。
今、連れてきてんだ」
驚きすぎて
言葉もでない。
なし