very professional
なし
視線が戻ってきて
きっちり
けやきを瞳でとらえる
「わたし、本なんて
書けません」
きっぱり言うも
編集長笑って一言
「大丈夫」
何が大丈夫なのか
まったく
わからなかったが
「今はけやきから
聞き取ったのを
文章にしてくれる
ライターがいるのよ」
驚いた
「今は、ピンからきりまでで
聞き取って書いてもらうのは
普通よ」
「ちょっと名のある賞の
一次落ちのライターだけど
文章力はピカいちよ」
たしかに私の今までの人生
挫折だらけだった
挫折を強調して
人生訓にしてしまうらしい
派手な輝かしい人生より
よっぽど
主婦層にはうけがいいらしい
「この業界、女性層がすべてよ」
「女性層がながれを作って
いつもは本を買わないような
流行に乗り遅れたくない
人たちが
後追いして買うのよ」
「そして
ベストセラーは誕生する」
「あなたはキャンパスに
どんな絵でも描けるのよ
さあ、いってらっしゃい」
こうしてプロジェクトはスタートした。
売り出した本
「デルフィニウム」
~私のジェットコースター人生~は
好スタート
小田編集長の予感は的中
一次は
女性誌の撤退も考えられた
しかし
その報を聞いて社長
女性誌の継続を
小田編集長に約束
さらにまして
次の人事で
初の女性役員かと
もっぱらの噂
なし