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Top of the world~天にも昇る~  作者: 玲於奈
12/15

This is it.

なし

「やっぱり

ここだったあ」


なつかしい顔に

驚きをかくせない


「いつ、日本に」


つづけて言葉がでない


白い日傘が

こちらに近づくにつれ




蝉の大音量が

うれしかった



あれから

大学の夏休みにかこつけて


わたしは

明守党が行っている

東北復興プロジェクトに

参加した


すこしでもの罪滅ぼしに


このプロジェクトは

自分のできることを

出来る範囲で行う


息の長い支援


何度も来て

なじみになっている人も多い


東北の人々は

やさしい


私をみるなり


「どこかの有名人と

 勘違いだべや」


「見たことあっぺし」


そう言って

恐縮する


上半期は

テレビに出まくったもんなあ

今更ながらに遠い過去


ここも過去


しかしながら

過去を思い出す人のなかで


やはり

子どもがいる風景は

なごむ



わたしは

政治の力で通された


バイクすらも

通れない高速道路を北にめざした


途中の

真新しい

サービスエリアでは

特産物のやきそばが

売られていた


同行のものが

放射線量の掲示されている

ボードをだまって見やる


わたしは


多くの人と話をした


「おらあ、あの高速道路

 設計しただ」


「だけど、おそかったなあ。

 うちの会社。


 いろんなことさ

 あって

 つぶれてしまったわ」


底抜けに明るい社長


高台に移転するかで

悩んでいる人もいた


「夢さ

 でてくるの。

 そんで、おきんだわ。

 なんでそんな夢さ、

 もうむかしなのにな」


なきながら話してくれた


人はだれかに話すことで

重荷を軽くできる


会う人にはそういって

困っていることはないか

聞いた



有村あやさんに

会ったのは


離ればなれの

野球チームのメンバーが

夏休みで久しぶりに仲間に

あって

練習しているキャンプ場だった



ちょっと大声をだして

私をよび


あやさんは

かさをふりながら

走ってきた

そして


「熱いねえ、

 日本って」


「今の時期

 こんな、熱かったかしら」


白い日よけの傘を私に

さしかけながら


あやさんは笑っていた。



自分では話を聞きに

きたのに


わたしの話を

あやさんは

だまって聞いてくれた


ずっと聞いていて

わたしが

しゃべることがなくても

黙っていた


夕暮れが近づいてきて


センターがとりそこねた

ボールが

こちらに転がってきて


あやさんが

そのボールを

おもいっきり

投げながら


「がんばったねえええ」



ホームを見やり


「いいことしたんだよ」


「けやきさん

 政治の世界で

 表、うらのない人に

 なれるのって

 すごくない」


と一言







あやさん


「明日、朝の7時

 社長が禅法寺でお待ちです」


そういってその後は

何も言わずに

去っていく



金さんの情報網には

驚くばかり


父母会の人たちが

バーベキューの用意をしている


今日は

このキャンプ場に泊まろう


しょうがないくらい

暑かったが

そう思った


なし

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