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Epilogue
その日、珍しく流れ星を見た。いつものように望遠鏡を持って星を見に来た僕の前を幾つもの星が流れていく。
「今日は運がよかったな。流れ星見れるなんて」
僕は星を見ている時が一番幸せ。空よりも遠くにある輝きに心が満たされていく時間が何よりも楽しい。僕はまた望遠鏡のレンズ越しに星の世界へと入る。
「あ、また流れ星だ。……あれ? こっちに向かってくる?」
見ている流れ星が徐々に大きくなっているのを理解したけど、流れ星の速さから落下地点が僕のいる場所だと気づいた時にはもう遅かった。
「……うわぁっ!」
流れ星で僕は死んだ……。はずだった。
「……あれ? 生き……てる?」
流れ星の直撃を喰らったはずなのに、僕は何事もなくここにいる。
「嘘だ……。それじゃあ、さっきの流れ星は?」
その流れ星は白い光を出しながら、僕の後ろに浮かんでいた。
「ずっと星には手が届かないと思っていたけど、きっと今なら」
僕はその不思議な石に惹かれていった。小さかった頃から望遠鏡越しにしか見ることのできなかった星の欠片。何万光年も先にある夢を掴みたい。