太陽
降り注ぐ熱い熱気。
そして押し寄せる大きな波。
この俺に挑戦を挑んで来るとは・・・・・・フッ、なんと愚かな。
「っつうかさぁ、泰志って日射病? それとも腐れポエマー?」
「耕一・・・ポエマーは無いと思うよ。 それにあいつのは昔からじゃん」
「そーだけどさー、やっぱ絡み所って感じじゃん? エセ突っ込み役としては絡まないとね」
「エセねぇ」
さぁ者ども、我と共にいざ行かん!
進むべくはこの晴れわたる空へと続く青い道。
「ヤーヤーヤァー! 我につづけぇッ!! 目指すは心の故郷、約束の地!!」
声高々に叫び、俺は準備体操もせずに空へ続く青い平原へと走っていった。
そこに水平線というとてつもなく大きな敵がいるのも忘れて。
「っつうかさぁ、止めないんですかぁ? 加奈~」
「っていうか今は関わりたくない」
「・・・・・・ごもっとも。
あぁ、家族連れの子供がみてるよ、可愛そうに」
「きっとトラウマになるわね・・・」
二人の会話など耳には入らない。
聞こえるのは我が同胞の賛同と賛美の声。
ジャブジャブジャブジャブジャブッ!?
道を進むごとに体に冷ややかな感触が伝わってくる。
焼け石の様な俺の体は徐々に冷やされ頭も冷たくなっていく。
「あ、あいつどこいった・・・?」
「んーまぁ、大丈夫っしょ、サメ進入防止の網もされてるしさ」
「うーん、そーだけどさー」
ガブガブガブッ!?
カラカラに干上がった喉に塩辛い液体が入ってくる。
そうか、ここが給水ポイントか。
しかし、飲みすぎたのかこの先は少し苦しくなって行くな。
「加奈・・・あれって」
「耕一・・・GO!!GO!!GO!!」
「ア、アイアイサーッ!!」
これは夢か幻か、青い世界に広がる光の雲、そしてそこに住まう海の精霊、魚人。
あぁ、なんだか頭がぼうっとしてきた。
目を閉じると遥か彼方に住まう我々の先祖が見えてきそうだ。
バシャバシャッ!!
ここはどこだ、背中が燃える様に熱い。
口を開けると何だ?海水が吹き出てくるぞ。
海水と交換に肺一杯に酸素が満ちていく。
「隊長ーー!! 泰志の救出完了しましたーー!!」 『ビシッ!!』
「ご苦労!! 耕一隊員!!」 『ビシッ!!』
さぁ我と共にいざ行かん、約束の地へ。
「泰志ぃ、頭だいじょーぶかぁ?」
「エセポエマー泰志」
ていうか敬礼の真似とか、落ち着きすぎだろ二人とも・・・。