表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

1人ぼっちのパートナー

フリーラムランド…


動く人形たちが人間と共存する国である。

 フリーラムランド…



 寒いカルダス地方に位置する自然豊かな国であり、色んな種族がそれぞれの地域で平和に暮らす国でもある。



 この国では、一部の住人たちが人形をパートナーとして養っている。



「人形のパートナー?」



 恐らく、こんな疑問を持つに違いない。



 実は…



 この国では自ら生命や意思を持ち、動いたり喋ったり食べたり排泄したりする生きた人形たち…人形生物が存在するのだ。



 大小種類様々で、人形たちはそれぞれの家庭で大事にされていた。



 エリザベスもその1体で、女性資産家マルセル・ハーレスの屋敷で暮らしていた。



 等身大であり…



 小さな顔…



 カールのロングの金髪…



 パッチリした目…



 キリリと引き締まった口元…



 スラリとした体格…



 その美しい姿で数多くの愛好者たちを魅了していた。



 1人暮らしのマルセルにとってはエリザベスは唯一の家族であり、心より愛するパートナーでもある。



 エリザベスにとっては人形冥利に尽きる事だろう。



 夢のような贅沢三昧な生活が出来るのだ。



 自分専用の広い部屋で、食べて遊んで暮らせる。



 こんなサイコーなお嬢様暮らしはないだろう。



 しかし、これだけ裕福なエリザベスも心の隙間を満たされないでいた。、



 理由は明白だ。



 エリザベスは人形としては、いつも1人ぼっち。



 人形仲間がいなくて寂しい思いをしているのだ。



 夕食の後片付けを済ませたマルセルは、エリザベスの部屋でゆっくりと語り合った。



 愛する人形パートナーの心の隙間を知るマルセルは、こんな提案をした。



「人形同士でのお見合いなんて、どう? アナタがその気なら、ステキな彼氏を探してあげてもイイから」



 マルセルの提案は、エリザベスにとって嬉しい事だった。



 が…



 予想外の返事をマルセルは耳にした。



「男ナンテ、イラナイワ。オ見合ナンテ、結構」



「彼氏、欲しくないの?」



「欲シクハ、ナイワ」



 珍しい。



 エリザベスは人間で言えば、二十歳前後の若い女性に当たる。



 人間と同じように彼氏の1人ぐらいは欲しがるものだ。



 現にだ。



 知り合いの所で暮らすローズマリ人形なんか、ボーイフレンドが3体人もいるのだ。



 だからエリザベスだって…



 まあ、あれこれ推理したって分かりっこない。



 理由を尋ねてみる。



「どうして、いらないの?」



「男ナンテ、ウットウシイ」



「うっとうしい?」



「ソレヨリモ、私ハ…」



 エリザベスは手に持っていた1冊の雑誌を開いて、或るページをマルセルに見せた。



 マルセルが目にしたのはページに載っている商品写真である。



「子供人形?」



 写真には、オシャレに

着飾った小さくて可愛い女の子人形が写っていた。



 エリザベスはウットリとした眼差しで、自らの希望を口にする。



「私ニ良ク似タ可愛イ女ノ子、沢山欲シイノ」



 ジッと写真を見入るマルセル。



「ふーん、女の子人形ね」



 人形生物は、体を作って命を吹き込む事で新しい人形が出来上がる。



 結婚して性的関係を持たなくても、子供人形は欲しくなったらいつでも出来るのだ。



 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ