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第一章 4つの月光  作者: 白湯
2/9

プロローグ2:珠月黎 2589年6/24

ここは天妖島………人間以外の種族が共存している不思議な島。

これはそんな島の裏側で行われるある狩りについてのお話だ。

ブチッ!!!!





2589年6/24 天妖島 海ヶ原区 潮ヶ丘町 潮ヶ丘駅一番ホームにて……………

「………………遅い!!!!」

そのホームである女子高生が2人。

片方は凛としていてとても大人しくニコニコしている。

しかしもう片方は腕を組み、足をトントンとさせており、見るからに苛ついている。

「アイツまた寝坊?ほんとに毎回毎回遅刻しやがってよぉ……!!」

このブチギレている女の名前は「紅月凛音(あかつきりんね)

そしてニコニコしている方が「千早鈴音(ちはやすずね)」だ。

この2人は一見するとただの女子高生。

しかし…………その正体は吸血鬼狩りのチーム

最後の一賭けラスト・リゾートクラブ」に所属している吸血鬼狩りだ。

この世界は人間の他に妖怪種と野生種と言われる者達がいる。

妖怪種は身体の一部が妖怪のようにこの世の理を逸していたり、そもそも妖怪そのもののような存在のことであり、野生種はシンプルに身体の一部に動物の機能が備え付けられている者の事である。

その妖怪種の中でも特に忌み嫌われているのが吸血鬼である。

吸血鬼…………この天妖島の年間行方不明者15000人を作り上げている原因の一種であり、残虐故に嫌われている。

そして彼女達はそれぞれの使命や信念のもと吸血鬼を狩るのを使命としたクラブである「最後の一賭けラスト・リゾートクラブ」の部員である。

そしてクラブにはあと2人部員がいるのだが、1人は住んでいる場所が違うという理由で一人で登校しており、もう一人が今遅刻をカマしている訳だ。

「う〜ん…………珠月君まだ来ないですわね。」

「チッ!!!アイツ何遍も何遍も遅刻しやがって!!!………………今日の部活で覚えてろよ!!!」

紅月はブチギレている。

そう……これで彼の遅刻は約60回目なのだ。

入学2ヶ月で60回………………つまり今日までほとんど遅刻である。

♪〜〜タンタラタンタンタンタ〜ン〜〜♪『線路内への立ち入りは危険ですので絶対におやめください。』

その時駅構内にアナウンスがなる。

それを聞いた千早の顔色に少し心配の色が浮かぶ。

「………………これ、珠月君は間に合うのかしら……?あと5分後には列車が来ますわよ?」

「確かにな。アイツいつもこれぐらいには来てるはずなのに………………なんかあったのか?」

紅月の顔から怒気が少し引きつつ心配が混ざる。

「う〜〜ん。紅月リーダー、私少し心配でありんす。」

千早の顔にも若干の心配の色が映る。

「う〜〜ん。つってもなぁ………………今アイツのマンション行ったら遅刻ギリギリになっちまうしなぁ。」

   ♪〜〜テテテテテテンテ〜ン〜〜♪

TP(トレイン・パス)を紛失してしまいましたか?領収書をお持ちであれば再発行いたしますので駅員室へお越しください。』

そうこうしているうちに列車の来る3分前程のアナウンスが鳴る。

「紅月リーダー。私の俊足(スピードスター)ならすぐに行けますわよ。」

紅月はその提案に対して首を横に振る。

「………………いや。いくらなんでもあと1,2分後に来る列車には間に合わないだろ。どうせアイツもただの寝坊だし、ほっといて良いって。」

「いえ。もしかたら珠月君は何か事故に巻き込まれたんじゃないんですの?彼が遅刻すると言ってもここまでは初めてでしょう?」

心配の色をさらに深くして千早が言う。

しかし紅月は全くもって気にも止めずに返答する。

「いやいや。アイツが事故に遭うことなんてあるかよ。それに………………アイツが学校を遅刻する時なんて吸血鬼に会ったときぐらいだろ。」

紅月の冗談に対して千早の顔色が落ち着きを取り戻す。

「それもそうですわね。それにもしかしたらもうすぐ来るかもしれないですわ。」

    ♪〜〜テテテテン〜〜♪

『まもなく一番乗り場に7時35分発 普通 内回り列車が5両編成で参ります。危ないですので、ホームの内側に下がってお待ち下さい。』

 ♪〜〜ティンティンティ〜ンティン〜〜♪

………………ファーーーン!!!

駅メロがしばらく鳴った後列車の警笛音がホームに響き渡る。

タタン!!タタン!!タタ…ン。タ…ン。

そしてだんだんゆっくりとホームに緑色の少し近未来的な列車が入線してくる。

『一番線に到着の列車は普通 外回り列車です。』

キキーー!!!

そして緑色の鉄塊が甲高い金属音を立てながら止まる。

 ♪〜〜テンテン〜〜♪〜〜テンテン〜〜♪

少し高めのメロディーを奏でながら扉が開く。

それを見た千早と紅月の二人に迷いが生じる。

「………………どうします?紅月リーダー。列車………………来てしまいましたわよ?」

「………………よし、決めた。乗っちまうぞ。千早。」

その決定に対して千早は驚く。

「えっ?良いので?珠月君を置いていくのですか?」

それを聞いた紅月は「まさかww」っと笑いながら答える。

「大丈夫。とりあえず後で説明するからさ。列車乗ろ?」

「えぇ………わかりましたわ。」

千早は戸惑いつつも列車に乗る。

それに続いて紅月も列車に乗る。

そして直後発車メロディが鳴る。

  ♪〜〜タタンタタタンタン〜〜♪

『ドアが閉まります。ご注意ください。』

プシュー……ガタン!!!…………ファーーーン!!!!

そして警笛が鳴りゆっくりと列車が動き出す。

ガ……タン。タタン。タタンタタン!タタンタタンタタン!!タタンタタンタタンタタン!!!!

列車に速度が乗り、車内にアナウンスが鳴り響く。

『本日もTP(トランスポート)首都心環状線をご利用いただきして誠にありがとうございます。次は本宮、本宮です。お出口は右側に変わります。』

そして紅月が説明を始める。

「実はあと1本だけ間に合う列車があるんだよ。それの発車時間まで大体10分くらいあるからワンチャン間に合うかもなって思ってな。」

「もしそれに乗れなかった場合は……」

その質問に対して紅月はきっぱりと無慈悲に答える。

「無論。遅刻だよ。」


一方その頃珠月黎は…………








ピピピ!!!

ピピピ!!!

ピピピ!!!




2598年 6/24 7:23 さくらマンションにて………

ガバ!!!………………「寝坊したけど久々にぐっすり眠れたし………………オッケーだな!!!」

7:25 あと5分後の列車に乗らなければならないのにまだ家で寝間着を着ている男がいた。

その男こそがこの「珠月黎(たまつきれい)」だ。

珠月は先輩たちである千早と紅月と一緒に7:35発の内回りに普段乗っている。

そのため集合時間はいつも7:15なのだが………………まぁ、珠月が間に合ったことなどただの一度とてないのだが。

珠月はいつも7:15に起きてから行く。

しかしそれでもいつもならば間に合う時間だ。

だが今日は理由が違う。

普段ならば20分は時間がある。

しかし今日は5分しか時間がない………………そう、間に合うわけがない。

故に彼は制服に着替えながら次の列車について調べ始めていた。

「なるほどな!!あと17分後の列車に乗れればギリギリだが間に合うのか!!この状況で救いがあるなんて俺はツイてる!!!」

そして彼は洗面台である程度の身支度をし、適当な菓子パンを一瞬で食い、スクールバッグと何か棒のような物を背負う。

そして仏壇に対して手を合わせ挨拶する。

「父さん!!!母さん!!!今日はぐっすり眠れました!!!今日も元気に行ってきます!!!」

そして靴を履き玄関の扉ではなく窓へと足をかける。

そして6階からそのまま飛び降りる。

ゴーーー!!!

本来ならばこのままグシャッ!!!っとなっておしまいだが………………珠月は違った。

自身の身体が3階らへんにその達した時、足をビルに着けるとグッ!!!と足腰に力を一瞬で入れるとダン!!!っと凄まじい音が鳴る。

そうあの一瞬で壁を蹴り、隣のビルの屋上へと身体を移したのだ。

そしてそのままさらに屋上から飛び降りる。

地面へと両足がダン!!!っと着く。

そしてなんとその足で駅へと駆け出した。

そのスピードは車を越していた。

「フッ!!フッ!!朝からランニング出来るなんて俺はやっぱりツイてる!!!」

それでも男は異様なほどポジティブに走り続ける。

そしてものすごいスピードで駅に着いた。

だがここからだ。

あと列車が発車する時間まで2分しかない。

まずは目の前の大階段。

これだけでもかなり時間を食う。

しかし男はそれでも前を向いている。

そして棒のような物が入った袋を両手に持つ。

「よいしょ!!!!」

なんと男はその棒を地面に着けると棒高跳びの要領で身体を宙に上げると階段を一気に越えた。

棒高跳びは自身の体幹と棒のしなり具合を利用して飛ぶ競技だ。

しかし棒は硬い。

故に男はほとんど自身の体幹と腕力のみで飛んだのだ。

そして改札をTP(トレイン・パス)で超えると、また棒を使って階段を一気に飛び越える。

そしてすでにホームに入っている列車を目に入れる。

しかしもう一つ見たくないものも目に入れた。

それはドアが閉まりかけなことだ。

しかし珠月は一瞬で判断した。

ドアの先に誰もいないことを確認した直後、背中の荷物を列車の中に放り投げる。

そして棒を手に列車のドアに駆け出した。

「頼むぜ!!!相棒ぉぉぉぉ!!!」

雄叫びを上げなんと手に持っている棒をなんと片側のドアに押し当て、無理やりドアを止めた。

わずか一瞬………………しかし珠月にはそれで十分だった。

そのままスライディングで列車に乗った。

直後にドアが閉まった。

なんとあの状況下で列車に乗ったのだ。

そして列車が走り出す。

ガ……タン。タタン。タタンタタン!タタンタタンタタン!!タタンタタンタタンタタン!!!!

『本日もTP(トランスポート)首都心環状線をご利用いただきして誠にありがとうございます。次は本宮、本宮です。お出口は右側に変わります。』

アナウンスを聞きながら珠月は身体を休めていた。

「ふぅ〜。あれだけ時間ギリギリで間に合うとは………………やっぱり俺はツイてるな!!」

やはりこの男はひたすらポジティブ。

前しか見ていない。

そして事は起こった。

突如、席に座っていた男2人が片方はナイフをもう片方がチャカを取り出して大声を出す。

「お前ら動くなぁ!!!動いたやつから撃ち殺すぞ!!!」

「そんでお前ら一人一人財布出せコラァ!!!」

そう…………彼らは強盗である。

そして彼らの口の中には牙………………つまり彼らは吸血鬼である。

それを見た珠月の目に殺意が宿る。

そして棒のような袋の中から取り出したものは…………真っ白な剛槍である。

それを見た男2人が声を上げる。

「おい!!!何してんだお前!?俺の話聞いてなかったのか!!!」

「おい葛原……それよりもよ……あれ……槍…か…?もしかして………………アイツ吸血鬼狩りの奴の仲間じゃ……!!」

「アイツが!?………………確かサンラインレッド協会のを皆殺しにしたやつだよな?」

そして珠月は槍を構える。

「さて……屑を二匹一気に掃除できる。俺はやっぱりツイてるな!!!」

その構えには寸分の隙は無い。

そして葛原が前に出る。

「まぁ…………とりあえず死ねよ、お前。」

ダン!!!っと銃弾が放たれる。

槍のリーチを外から制そうとした。

しかし珠月が計ったかのように横へ滑った。

「読める!!!やり相手にはそれしかない!!!」

ダンッ!!!

車内のつり革が揺れると同時。

珠月がカウンター気味に前に出た。

そして珠月の槍を握る手の前腕の筋肉が隆起する。

(速ぇ!!避けきれねぇなこれは……!!)

そして強烈な切り上げが葛原を襲う!!!

「そして真下から燃え尽きるほどのシュビルシュバーーーーン!!!!」

シュ!!!………………ポタポタ。

いきなり避けきれず葛原の胸から赤い血が滴り落ちる。

そして珠月は今度はもう片方の男に突進する。

(まずい!!!間に合わねぇ!!!)

それを察したと同時に大声で警告を出す!!!

「蒲原!!!来るぞ!!!」

そして葛原が後ろから弾く

ダン!!!っと銃弾が鳴る。

しかし………………珠月はほぼノールックで避ける。

「読めるんだっつってんだろ!!!」

そう言うと同時飛び出したのは途轍もない突き。

「もはや見えない速さのチュイーーーン!!!」

ブチッ!!

そしてそれが蒲原の横腹を抉る!!!

だが!!!

次の瞬間男は槍をグッと掴んだ。

そして「かかったな?」っと男がニヤリと笑う。

そして次の瞬間!!!

【六根 万力とは万能なり(ヘラクレス)

そして男の腕にオーラが纏われる。

その次の瞬間!!!

ギューーーーー!!!!

槍を折らんばかりの凄まじい握力を蒲原が見せた。

(このまま槍を止めて心臓を一突きにすれば!!!!)

そう思った次の瞬間。

「ただ強すぎればいいってもんじゃないんだよ!!!!!」

そう言った珠月の前腕が恐ろしいほど膨れ上がる。

そしてなんと蒲原を空中に浮かしてみせた。

「それじゃァ……行くぜぇ!!!!…………オォォォォラァァァァァァァ!!!!」

そしてなんと蒲原()()槍を凄まじい勢いで振る。

そして遠心力で蒲原が吹き飛んだ!!!

……………………………………ガシャン!!!!!

ガラスが砕け散る音が車内に響く。

珠月は窓から外へと蒲原を放り投げたのだ。

「クソッタレぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

蒲原はそう叫び地面へと叩きつけられる。

グチャッ!!!

蒲原の頭が西瓜割りの様に粉々になり、本来頭部のあった場所には紅い液溜まりが出来た。

「蒲原ぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

葛原が絶叫する。

「テメェ!!!許さねぇ!!!」

そう言って男はナイフを取り出した。

「確実にお前は殺す!今!!この場で!!!」

そう言った次の瞬間!!

葛原が凄まじい突進を見せる。

「顔面切れとけよ!!!」

そう言って葛原が顔面を裂きにかかる。

「そんなものは当たらないな!!!」

珠月はナイフを躱す。

しかし次の瞬間……!!

「初見殺しなんだよ!!!」

葛原のナイフに紫色のオーラが宿る。

(コイツもまさか!?)

珠月の頭に疑念がよぎる。

そしてその疑問は確信に変わる。

【六根 気紛れな悪戯(スイッチブレード)

シュン!!!

なんとナイフの軌道が突如として変わったのだ。

ザン!!!ポタポタ………………

珠月の胸から血が滴る。

「………………初見でこれを少しでも躱したのはお前が初めてだ。」

そう。

珠月は直前で半歩引いていた。

しかしそれでも胸の傷は浅くはない。

「………………お前の六根……おそらく刃物の軌道を自在に変えるってところか?」

それを聞いた男の顔に驚きが宿る。

「すげぇ洞察力だな。」

「まぁ…………これでも伊達に何年も狩りをしてないからな。」

それに対して男はだからなんだという顔をする。

「この不規則に変わる斬撃をさばけるやつなんてこの世にはいねぇんだよ!!!」

その直後………………ダン!!!

珠月は無言で葛原に突っ込む!!

そして………………槍を一突きした!!

葛原はサッとサイドステップをし、それを避ける。

その瞬間珠月の身体に血管が浮き上がる。

「俺もぉぉぉぉ!!!さっきのをやるぜぇぇぇぇぇ!!!!」

その次の瞬間珠月の槍の軌道が真横に滑った。

ザン!!!!

ブチ!!!

「あっ………」

その時には葛原の下半身と上半身はくっついていなかった。

「じゃあな………………クソ野郎。」

珠月はそう吐き捨てた。




………………………バタン!!!!

「すみません!!!遅刻しました!!!」

珠月が慌てて体育館に入る。

「珠月ぃぃぃ!!!全校集会に遅れ………………は!?」

しかしその体の胸には包帯が巻いてあった。

それを見た教師や大多数の生徒は驚いた顔を見せる。

しかし生徒2名と1人の教師何かを察して笑っていた。

そして紅月は笑いながら言った。

「………………やっぱりあいつが遅刻する時なんて吸血鬼に襲われた時だけなんだよ。」

どうも白湯です。

随分時間が経ってしまいました〜。

やっぱりこういうのは慣れないうちは難しいですね〜。

気づいたら1ヶ月近く経ってました笑

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