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Human  作者: アベ
大切な日々
2/3

2.輝と大和

20241117管理センターからコントロールセンターに

名称かえました!

月はいま、2週間くらい続く昼の真っ只中だ。

ただ、

コロニーでは人工的に昼夜が創られているので、

ふつうに24時間で朝昼晩を繰り返す。


「輝、起きろ。飯だ。」


「………んぁ……起きる……。。。」


いつものように、

ドアのない部屋の外から兄ちゃんの声で起こされる。


寝起きは良い方だと思う。

薄掛けをベッドの奥に寄せ、ベッドの端に腰かけて目を擦る。


「よいしょ!」


立ち上がり、そのまま部屋の外に出る。


「兄ちゃん、おはよう。」


古いけど、二人には大きいくらいの食卓テーブルに、

グリーンサラダと缶詰めが並ぶ。


「おはよ。食べたら、ちょっと出るぞ。」

「仕事?」


私がイスに座ると、向かい側に兄ちゃんも座る。


「ドレッシング、これで終わり。買いに行こう。」


兄ちゃんは、

私のサラダにサッとドレッシングをかけたあと、

自分のサラダに、残りをポタポタと垂らした。


ドレッシングがないと生野菜を食べられない私を、

兄ちゃんは贅沢だと呆れつつ

でも、ちょっと遠いマーケットまで、買いに行ってくれる。


「また、高くなってるかな…」

「まあ、まだ買えないほどにはなってないだろ。食べたら着替えろ。すぐに出るぞ。」

「はーい。」


兄ちゃんの名前は、ヤマト。大和って書く。

8歳のときに私を拾ったって言ってたから、たぶん24歳。


兄ちゃんは、両親と縁を切っていて一緒に暮らしていない。

とはいえ、この6つのコロニーの何処かに、兄ちゃんの両親は生きてる。

限られた世界だ。

そのうち、ばったり会うかもしれないし、

逆に兄ちゃんが会いたいと言えば、一緒に探しに行くつもりだ。



さて。


着替えろと言われたので、

寝間着にしているでっかいTシャツを脱いで、ジーンズを履く。

胸が大きくなりはじめてから、

出掛けるときはサラシで胸をキツく巻くように、兄ちゃんから言われた。

それほど大きくはならなかったけど、

私は、いつも通り裸の胸にサラシを巻いて、パーカーをかぶる。


鏡に自分を映す。

センターパーツの前髪に、横は耳にちょっとかかるくらいのショートヘア。

色素が薄いのか、髪も瞳もかなり茶色い。

自分では、大きめの瞳とツンとした鼻が気に入っている。

余分な肉は全くついてない。いわゆるガリガリだ。


(よし。問題なし。)


ずっと、兄ちゃんの言い付けで

男のふりをしている。

私が女だと知ってるのは、兄ちゃんとカイと、

盗みの仲間数人だけ。


「用意できたよ。」


部屋を出ると、キャップをかぶってダテ眼鏡を掛けた兄ちゃんが、玄関で靴紐を縛ってるとこだった。


兄ちゃんは、背が高い。

私と、頭1つくらい違う。

日本人で、髪と瞳も真っ黒だ。

私は自分が何人か気になったこともあったけど、ここではあまり意味がないと気付いてから、全く気にならなくなった。


兄ちゃんは

盗みをしているから、昼間は素顔で歩きたくないと眼鏡姿が多い。

黒髪はかなり短かく刈り込まれていて、

キャップを被ると髪はほぼ見えない。

鼻筋の通った、ちょっと目の細い、クールな印象の顔立ちだ。


「カイのとこに寄って、出掛けるって言ってくか。」

「そうだね。入れ違いになっちゃう。」


カイは、毎日だいたい同じ時間に、プラントから生野菜や肉なんかを1日分だけ持ってきてくれる。

彼にはルーティンがあるから、今なら必ずあそこにいる。


「じゃあ、行くか。」

「うん!」


家…といっていいのか。

今は使われていない工場の休憩室みたいなところを、

私たちは住みかにしている。

外にでると、中庭のような広場があって、木が植えてあり、ベンチもある。

先を歩く兄ちゃんについて、工場の裏門から外にでた。


私たちが住んでる第4コロニーは、工場的なものが集まっている。

目指すスーパーがあるのは第2コロニー。

スーパーマーケットやレストラン、ドラッグストア、衣料品店など、お店関係はほとんど第2に集まっている。


6つのコロニーは、コントロールセンターを中心に円を書くように並んでいて、

すべてのコロニーからはセンターへ連絡通路が伸び、さらに、隣り合うコロニーも連絡通路で繋がる。


第3を通るルートでもスーパーに行けるけど、

今日はカイのところに寄り道するから、コントロールセンターを経由する。


「……兄ちゃん」

「ん?」


連絡通路までの5分くらいの道程。

こちら側には人が住んでいないので、

誰にも会わない。


「そろそろさあ、大きい仕事も連れて行ってよ。」

「……」

「力はないけどさ、見張りは出来るよ?」

「……」

「足も早いしさ、絶対つかまらないよ!」

「………」

「…ねえ!…兄ちゃん!!……兄ちゃんてば…!!」


スタスタと先を歩く兄ちゃんを、駆け足で追い抜き

正面にまわる。


ビシッ!!

不意打ちで

改心のデコピンをくらった。


「いっ……てーーーー!!!!!!」


「そのうちな。」



そんなこんなやってるうち、コントロールセンターへの連絡通路が見えてきた。

工場の裏門は、連絡通路まですぐだ。


カイは、

コントロールセンターのビルの地下11階にいる。

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