1.輝
※20年以上前に考えてたお話を、
試しに書いてみようとなんとなくはじめます。
詳しい時系列を良く考えずに書き始めるので
訂正たびたびあるかもです。よろしくです。
月に人が住むようになって100年ちょっと。
詳しいことはよくわかんないけど、
6つのコロニーと呼ばれるドーム場の建物があって、
私たちはその中で生活している。
私の名前は輝。テルって読む。
女で16才。
産まれも育ちも、月。
第3コロニーのゴミ捨て場で拾われて、
兄ちゃんと「カイ」に育てられた。
名付け親は兄ちゃんで、男か女かわかんないような名前にしたと言ってた。
地球と通信が途絶えてから
少しずつ、ここはおかしくなっていったと
「カイ」は言っていた。
ただ、
私が知ってる“月”はずっとこんな感じ。
みんな、宇宙に取り残されたという絶望に心を塗り潰されている。
コロニーの中に作られた街は荒れていく一方。
暗がりは危険だから近付いてはいけない。
それが私の普通だ。
兄ちゃんは、盗みをしながら生活していて、私を育ててくれた。
盗み…と言っても、
兄ちゃん達のグループは、人が住まなくなった家や使われなくなったプラントなんかに盗みに入り、金になりそうなものや食べられそうなものを盗む。
私も、6歳くらいから一緒に盗みをやってるけど、
人に迷惑をかけてない。
危害も加えてない。
クリーンな盗賊団だと自負している。
「カイ」はアンドロイドだ。
月に最初に移り住んだ天才科学者が、彼を作ったらしい。
アンドロイド…とはいえ、見た目は全然人間ぽくない。
目玉替わりのレンズが顔のまんなかにドカンとあって、
頭の両脇にアンテナみたいなのがついてて、
めちゃロボット!!って感じ。
ロボットなのにトレンチコートを着ていて、それがまたボロボロ。
動くたびに、ガシャンガシャンと音がする。
兄ちゃんもカイも、何かと口うるさいけど
優しい。
大好きだ。
私には、
二人しかいない。
二人が私の全てだ。
兄ちゃんにはバカだと言われるけど、
私は、カイと結婚すると決めてる。
兄ちゃんは、カイはアンドロイドだから、優しさも全部作り物だって言う。そういう風に、頭に書き込まれてるだけだって。
でも、
私は、カイの言葉に優しさや思いやりを感じる。
温かさを感じる。
私には、兄ちゃんと何が違うのかわからない。
私はカイに、心があると信じてる。