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小さな冒険

アーシャ

- 年齢:18歳

- 性別:女性

- 職業:見習い魔法使い

- 性格:明るく社交的、少々おっちょこちょい



異世界で15cmの妖精少女に転生したリリアは、エーテルシフトで一時的に人間サイズになる能力を発見。町で見習い魔法使いのアーシャと出会い、冒険者ギルドに登録。小さな体での困難や性別変化の戸惑いを感じつつも、新たな仲間と冒険の第一歩を踏み出す。未知の可能性を秘めた冒険が始まる。

草むらに隠れたリリアは、接近してくる足音に息を潜めた。やがて、彼女の目の前を二人の人間が通り過ぎていく。


「ねえ、本当にこの辺で光ってたの?」

「ああ、間違いない。妙な魔力の波動を感じたんだ」


会話を聞いていると、どうやら先ほどの自分の魔法の反応を感知したらしい。リリアは冷や汗をかきながら、彼らが立ち去るのを待った。


危機が去ったことを確認すると、リリアはほっと胸をなでおろした。


「よかった...でも、このままじゃまずいよね。情報を集めないと」


そう決意したリリアだったが、15センチの体では思うように移動することもできない。


「そうだ、さっきの魔法...」


リリアは再び手をかざし、魔力を感じ取ろうとした。すると、体の中に流れる不思議なエネルギーが感じられた。


「これを...全身に」


集中すると、体が再び光に包まれる。今度は意識的に魔力を操ろうとした。


「大きく...なれ!」


光が消えると、リリアの体は人間サイズまで成長していた。


「やった!」


喜びもつかの間、急激な魔力の消費に体が悲鳴をあげる。


「うっ...維持するのキツイ...」


数分と持たず、リリアは元の小さな姿に戻ってしまった。


「これじゃあ長時間は無理か...でも、これなら少しは動きやすくなるかも」


新たな能力を得た喜びと、その限界を知った複雑な思いを抱えながら、リリアは森を抜け、人里へと向かった。


町の入り口に到着したリリアは、その活気に圧倒された。中世ヨーロッパを思わせる石畳の街並み、行き交う人々、そして...人間以外の種族たち。


「エルフに...ドワーフ?獣人まで!まるでファンタジーの世界だ...」


興奮を抑えきれないリリアだったが、すぐに現実に引き戻される。人々の足に踏まれそうになり、慌てて空中に飛び上がった。


「危ない!このサイズじゃ歩くのも一苦労か...」


空中から町を見渡すと、大きな建物が目に入った。その看板には「冒険者ギルド」の文字。


「よし、あそこなら情報が集められるはず!」


リリアは意を決して、ギルドに向かって飛んでいった。しかし、到着してみると新たな問題に直面する。


「うわ...カウンター高すぎ!」


受付のカウンターは、リリアの背の何倍もの高さがあった。必死に飛び上がっても、端すら掴めない。


「どうしよう...」


途方に暮れていると、後ろから声をかけられた。


「あの、大丈夫?」


振り返ると、優しげな表情の少女が立っていた。茶色の髪を後ろで束ね、杖を持っているところを見ると、魔法使いのようだ。


「え、ええと...」


「私、アーシャっていうの。見習い魔法使いなんだ。キミ、妖精さん?珍しいね!」


アーシャは目を輝かせながら、リリアを覗き込んだ。


「あ、はい...リリアです。実は...ギルドに登録したいんですが...」


「そっか!私が手伝うよ。ほら、ここに乗って」


アーシャは両手を差し出し、リリアを乗せると、カウンターまで連れて行ってくれた。


「ねえねえ、どこから来たの?私、妖精さんを見るの初めてで...」


アーシャの質問攻めに、リリアは戸惑いながらも、なんとか受付を済ませることができた。


「はい、これで登録完了です。冒険者カードをお受け取りください」


受付嬢から渡されたカードは、リリアにとってはポスターほどの大きさだった。


「ありがとう、アーシャさん。助かりました」


「ううん、どういたしまして!あ、そうだ。これからどうするの?良かったら一緒に冒険しない?」


「え?いいの?」


「うん!私も仲間を探してたところなんだ。小さいけど、リリアなら色んなところに入れそうだし、きっと活躍できるよ!」


アーシャの屈託のない笑顔に、リリアは心を打たれた。ニートだった過去の自分を思い出し、こんな風に誘われたことがなかったことを痛感する。


「じゃあ...お願いします!」


こうして、リリアの冒険者としての第一歩が始まった。小さな体に秘められた可能性と、性別変化による戸惑い。そして、新たな仲間との出会い。彼女の前には、想像もつかない冒険が広がっていた。

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― 新着の感想 ―
性別も大きさも変わって知らない異世界にいたのに、主人公の順応性はすごいですね。
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