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第38話 恋バナ?

「のう、師よ。ずいぶんと手広くやっているようではないですかな?」


 陛下との相談事が終わって少し。

 城の中でちょっとした仕事をし終えた頃。

 ニヤニヤとした表情のブルムガーズ殿に話しかけられました。


「ええ、まあ……」


 苦笑いで返します。正直すごく恥ずかしいですね……。


「千刃将軍だけではなく副官殿に光輪将軍に手を出したとか?陛下とすら噂が立っているではありませんか。……師と彼女ら、どちらを羨ましがればよいのかもわかりませぬな、ははは」


 うわぁ、なんか凄い上機嫌です。

 なんでこんな機嫌が良いんですかね?


 ……ふむ、まさか?


「そちらのほうもなにかあったので?」


「ゲーハッハッハ!さすがは師、見抜かれておりましたか。カリラ……あの人間の娘と仲良うなれましてな。真っ当な手段でおなごと仲良くなれたことなど初めてですので、機嫌が良いのですよ」


 上手く行ったようですね。

 これは素直に祝福せねば。喜ばしいことですのでね。


「それは随分と良いことではありませんか。……で、どの程度仲良くなれたので?」


「む、むう……」


 ブルムガーズ殿が顔を朱に染めています。

 ……ハーレム王を目指す者がこれくらいで照れていてどうするんですか!そもそも、やることは既にやりまくっているんでしょうが!

 純情な関係が初めてというのが効いているのですかね?


 でもまあ、こうやって猥談というか恋バナをできる友がいるというのは中々に楽しいものです。

 あまり近寄りたい人間ではありませんでしたが、もういいでしょう。

 普通に仲良くすることにしました。


 ハーレム王とか以前に、魔軍五芒星の一角を担っているだけあって当然相応にあくどいこともしているのですが、一人の魔族としてはそう悪い方ではないと思っています。


「実は……キスすらできておらんのです」


「……え?」


「いやぁ、ここまで真っ当な恋愛というのは初めてでしてな。あそこまで純粋な好意を向けられると、そういう事をしていいかどうかも迷ってしまうのですよ」


 ……なるほど。ピュアすぎませんか?

 自分の夢を一度くらいは再確認してほしいものです。


「きっとカリラさんはあなたが手を出してくるのを待っていると思いますよ」


「それはそうなのかもしれませんが……」


「我らはいつ死ぬかわからないんです。その前提を忘れるべきではありません。最悪の場合に備えて、子くらいは残してやってもよいのではないでしょうか?」


「ワシが死ぬということは考えたこともなかったですな……。そうか、死ぬこともあるのか……。ハハハ、ご助言ありがとうございます」


 死ぬことを考えたことすらない、か。

 たしかにブルムガーズ殿は素晴らしい実力を持っていますからね。

 そうなってもおかしくはないですよね。

 逃げに徹すればいくらでも逃げられるわけですし。


「それと、他の方々にもかまって差し上げることですね。一人ばかりにかまけていては夢は叶えられませんよ?」


「ええ、そうですな。彼女らもワシにとって大切な存在であることは変わらない。……なんとか上手くやっていけるよう頑張ります」


「ふふ、お互いに頑張りましょう」


 そう言って、互いに分かれていきました。



 それからは一人で……というかバアルと二人でショッピングです。

 バアルは俺の心の中に寄生している状態です。


 買いたいものはアーリデ殿への贈り物ですね。

 いない間に女を作っていたわけですから、いくら事前に言っていたと言っても詫びの一つや二つは必要でしょう。


 ……どういうものなら喜んでくれますかね。

 なんでも喜んでくれるような気もしますが……そういうことではなく、心から嬉しいものが何かあれば。


 ネックレスでも送りましょうか?

 ……そうですね。それで行きましょう。


『ずいぶん悩んでおるなぁ。……妾にも送ってくれて良いのだぞ?』


 良さげな品を見繕って、複数候補を選んであーでもないこーでもないと悩みます。

 ……ビビッと来た黄色の宝石のネックレスを選ぶことにしました。

 喜んでくれたら良いんですが……。


「(もちろん送りますよ。ですが、見られているとサプライズ感が薄れませんか?ですので、そのうちです。あまり記憶も覗きすぎないようにしてくださいね?)」


『はは、それもそうじゃの』


 物で釣るだけではなく、ちゃんと謝る必要もありますね。

 それは人として当然のこと。絶対にしなくてはならないことです。

 ……どうしたものでしょうか。

 謝罪の言葉を一通り考えて……帰ってきた日にその中から、心から浮かんできた言葉を選んで謝ることにしました。

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