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花邑杏子は頭脳明晰だけど大雑把でちょっとドジで抜けてて馴れ馴れしいがマジ傾国の美女【第30話】

「嘘・・・」

君島国子は、驚きを隠せなかった。

なんという、美しい顔立ち!それはこの世のものとは到底、思えなかった。

宇宙を見透かすその瞳、整った鼻筋、薄く淡いピンク色を纏った唇ーー完璧なバランスを有した身体に、君島国子だけでなく周りも思わず見惚れてしまった。

「脱出するぞ!」

義範に促され、急いで外に出る。

花邑杏子が聞いてきた。

「ねえ?」

「何だ」

「これからも、こうして守ってくれるのか?」

「今回だけに決まっているだろう!」

花邑杏子は、義範にキツいボディをかました!

「ならいい!構うなよ!このバカ」

後ろから何やら影が。

「おーい、待って、待ってぇ~」

君島国子が追いかけてきたのだ。

パンプスを履いているのに、その足は俊足だった。

「この私から逃げることなど、出来なくてよ」

全く息切れせずその場に佇む君島国子。何やら急用があるみたいだったがーー

「手短に言うわ。あなた、私と付き合って」

花邑杏子のハンドバッグで頭をどつかれた義範は言った。

「そんなぁ。いくらなんでも困りますよ・・・」

義範がそう言ったら、君島国子は彼を冷たい目で睨んだ。

「あんたじゃないわよ。私はーーこの子に一目惚れしちゃったの~」

君島国子は、花邑杏子に抱きついた。ついでに言うと、耳をペロペロ舐めている。

「何をやってるか、この変態がぁ!」

花邑杏子はあからさまに拒絶しているが、君島国子は全く意に介さない。

「大丈夫よ。私も最初はそうだったから。そのうち慣れるって」

「義範ぃ~、助けて。助けてよ」

義範は、おろおろしながらも言ってみせた。

「嫌がってますよ。さあ、離してやってください」

君島国子は、もうひと睨みして言った。

「五月蝿い!仕事、教えないわよ!」

義範には、とことん冷たく接する彼女。一方、花邑杏子には笑顔を送る。

「いい!いいわあ、あなた。さあ、いざ行かん!私たちの愛の巣へ!赤坂、あんたの部屋、借りるわよ」

給料出たはずなのに、それに何でよりによって俺の部屋?

「嫌です。なんて汚らわしいーー」

「その部屋であんたと私はヤったんだがな!」

花邑杏子の美しい顔が、氷のように冷たくなっていく。

「なあ、あたしの彼氏と何してくれちゃってんの・・・?」

君島国子は、全く悪びれる様子を見せない。

「あら、二人は付き合っていたのーーそれはそれは。でもさ、こいつインドだしメバチだしビンチョウだしで、つまんないでしょ?」

花邑杏子は言った。

「確かにそうだけどよーーなんというか、愛があるんだ。あんたは知らないだろうけど」

(それ、あてずっぽうで言ってますよね。花邑杏子さん・・・)

義範は、ドキドキしていた。こいつは確かに知らないうちに部屋に忍び込んでいつの間にかベッドのなかにいることもあったけど・・・

「愛ねえーーそんな感覚、久しぶりだわ。じゃあ、私が愛情たっぷり可愛がってあげる!そうと決まれば、お姉ちゃま~いざ愛の巣へ。あ、赤坂、部屋貸して」

「あんたってば、欲に忠実というか・・・」

義範は呆れ果てていた。君島国子はそれを察知したのかーー

「ふん!分かったわよ。しょうがない。これから私、パパ活するから。篁課長には、上手く言っておいて」

篁課長、おらんがな~!

君島国子は「ちっ」と呟き、去っていったーー

花邑杏子が言った。

「さ、愛の巣へ行こ♪」

うるせえ。口説かれちまえ。

俺はな、南波澄香ちゃんが好きなの!

あんな可愛らしい娘、他にいないの!

俺はな、お前らみたいなスレた人間より、純真な娘がいいの!

将来は、二人一緒になって、焼肉屋を切り盛りするんだーー

花邑杏子がビンタしてきたところで夢は冷めた。

「ナニナニ?早く私と遊びたいって?」

おめえじゃねえよ!という顔を何とか作ったが、果たしてこいつに届いているだろうかーー

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