お目こぼし
「これで全員だな」
ドサッと何かが投げられる音が聞こえる。
それが人間の体だということを理解するだけの知能が、まだ僕にはあった。
「そうだな」
彼の仲間は3人か、4人かもしれない。
たったそれだけの少人数で、数十人の、それも完全武装している特殊部隊員出身者をやったのだという事実が、僕を部屋の隅、彼らから隠れているところに身を縮こまらせる。
しかし、ガタンと何かが倒れる音が静かになった部屋の中にこだました。
「……おい、誰かいるのか」
ガダガダと、ものをのかしていく音が聞こえる。
小さく息をのみ、気づかれないように壁を向いて座りなおす。
「おい、お前か」
見つかった。
ひょいと体を両手でつかまれて彼らが抱き上げる。
「子犬じゃねぇか」
「そうだな。事前情報によれば、ここは動物実験をしているっていう話はなかったんだがな……」
「おやじもたまには間違うってことか。人間だものな」
「しかしどうする。中家に連絡入れるか」
「まずはそうしよう」
どうやら命は助かったようだ。
でも、これから僕はどうなるのか。
この人たちは僕をどうするつもりなのだろう。