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鐘の音とともに

中学2年生の14歳が書いています。

何かと至らない点があると思いますが、読んでもらえると嬉しいです。

遠くで鐘のなる音が微かに聞こえ、全員が顔を上げる。


「さあ、この鐘の音が聞こえてきたということは、

……そろそろ良い時間だね?」


「うん!」


「せやなぁ〜」二人の顔つきが少しだけ各々に変わる。


「じゃあ、桜。これに変身できるかい?」


渚冬はそう言いどこからともなく可愛らしい狐のぬいぐるみを取り出す。


桜はコクリと頷く。


そして、桜の周りを煙がまといーーーー


次の瞬間、桜の居た場所には、渚冬の手にある狐のぬいぐるみとそっくりなものがあった。


「ふふ、さすがだ、桜。」


「ほへ〜、これは将来有望やんな〜?」


二人の言葉に呼応するかのように桜ー狐のぬいぐるみがピョコピョコと動く。


それを見て二人の兄は頬を緩める。


渚冬は湊に、


「湊。君には今日から“表”に出てお兄ちゃんと一緒に神主としての役目を果たしてほしい。」


「もちろんやで!任せときや!」


「そして、早速1つ目の任務だ。」


「おう、早いな?!」


早速の任務に動揺を隠せずあたふたする湊に安心させるように笑いかける。


「俺、神主のことあんま知らへんけど……」


「大丈夫、簡単だよ。」


狐のぬいぐるみになった桜をそっと手のひらに乗せて、それを湊の方に差し出す。


「桜を、見送ってあげてくれないか。

おみくじとかが売ってる屋台で、桜を他の狐のぬいぐるみー“稲荷ぐるみ”に混ぜて売る。」


「えっ、売るん?」


啞然として目を見開く湊に、頷く。


「ああ、桜の他に9つの稲荷ぐるみを置くんだけど……

桜の“おにいちゃん”なら、見分けられるよね?」


「お、おおおおおおおうっ!

あっ、当たり前やんか…ははは…」


首を縦にぶんぶんと振る湊に桜ー稲荷ぐるみが疑うように少し動く。


その様子を見て、桜稲荷ぐるみを右手に、普通の稲荷ぐるみを左手に差し出す。


「どちらが桜かわかるかな?」


「おう、ま、任せときや!

えーっとなぁ、左や!左が桜やろ?!」


「左は普通のぬいぐるみだけど……」


「ちゃう!俺から見て左や!

え、待って俺から見て左が桜ちゃうん?」


「ああ、なら正解だ。

流石だね。」


感嘆しながらどちらの稲荷ぐるみも湊の手のひらに乗せる。


「任せても大丈夫そうだね。

お兄ちゃんは少しここに残ってすることがある。

すぐに行くからね。」


優しく二人に言い聞かせるようにいう。


桜は呼応するかのようにうごき、湊からは軽い敬礼が返ってくる。


「任せときや!

……よっし、大丈夫やで。お前が桜やんな?」


2つの稲荷ぐるみに話しかけながら“時雨夜”から“表”へと繋がる道を歩いていく湊を見送り、渚冬は手を振ってそれを見送る。


湊と桜(稲荷ぐるみ)が完全に見えなくなりーー


渚冬は反対方向へと歩き出した。

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