新年早々の悲劇と驚愕
中学2年生の14歳が書いています。
何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。
胸に抱えた稲荷ぐるみのもふもふ感を味わいながら、私は帰路を歩んでいた。
「可愛いの見つけちゃったなぁ……
ご縁がありますようにっ!
これからよろしくお願いします!」
思わず一人で稲荷ぐるみに話しかける。
周りから見れば、狐のぬいぐるみに話しかける高校一年生。少し怖い。
しかし私にとってはぬいぐるみに話しかけるのは日常茶飯事のようなもので、一ノ瀬家の家族も全員慣れていた。
稲荷ぐるみを撫でくりまわしながら、一ノ瀬家の家の近くの、小さな小道へと入る。
この小道を出ればまもなく家に到着だ。
「ふふっ、お姉ちゃんに、良いもの売ってたって教えてあげよーっと!」
スキップしながら小さな横断歩道を渡っていたその時だった。
猛スピードで車がこちらに向かってきたのは。
「っ、えっ……」
思わず声が漏れる。赤信号は車側。今自分がいるのは歩道の真ん中くらい。戻るに戻れないし、進めるに進めない。
足が竦んで動かなくなる。
小さな小道のため、運悪く人もいなかった。
走馬灯のように今までの出来事が頭を駆け巡る。
ぎゅっと目を閉じたその瞬間だった。
謎の浮遊感が私を襲う。
訪れるはずの衝撃と痛みは一向にやってこない。
代わりに、聞き覚えのない幼い少女の声が聞こえる。
「うわ〜、あっぶな〜い
なに、あの車……」
恐る恐る私は目を開ける。
そしてーーー、
すぐにまたその目を閉じた。
今一瞬、この目に確かに映った景色に恐怖を覚え、同時に、信じることができなかったから。
それでももう一度目を開ける。
さっきこの目に映ったその一瞬、それを、疑いから確信に変えるために。
目を開ける。今度は閉じないと自分に誓いながら。
そっと目を開け、葵は目の前に広がる景色に衝撃を受け、その目を白黒させる。
葵は浮いていた。地上から10メートルほど上にいる。そして、その葵を支えているのはーー、
狐の耳と尻尾が生えている、まだ10歳にも届かなさそうな、あどけない顔つきの少女だった。
その華奢な身体を、紺色の袴と桜色の着物が包み込んでいた。
その浮いている足元を見れば、何か特殊な靴を履いているわけでもなく、黒色のロングブーツで飾っていた。
胸に大切に抱えていたーーというより恐怖で凄まじい力で抱き潰していたーー稲荷ぐるみは葵の手から、胸から、忽然と姿を消している。
眼下に広がる景色は、いつも自分が目にしている風景のはずなのに、“上から”見ているというだけで特別な、まるで知らない町の景色を見ているような感覚にーー
というより、問題は今自分が浮いていることではないか。
唐突にそう気づく。なぜ浮いているのかもわからない。
しかし、一ノ瀬 葵は、猛スピードで信号無視した車に轢かれて新年早壮絶に命を散らすといった悲劇から救われていた。