求む、説明!
中学2年生の14歳が書いています。
何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。
歩行者天国状態の通りを二人に手を乱暴に引かれ進んでいく。
人が余りにもすごくて息が詰まりそうだ。
「どっ、どこに行くんですかっ?」
「渚兄を助けるんや!当たり前やろ!」
息を切らして尋ねる葵に斜め上の回答が返ってきて葵は頭をかかえたくなる。
まだここがどこなのか、渚冬さんがどうなってしまったのかすら教えてもらっていないのにこの有様だ。
「す、少しで良いんで状況をっ!
教えてもらえませんかっ!!」
多くの話し声で自分の声も相手の声もよく聞こえない中、叫びながら話しかける。
「湊兄、少しでいーからオネーさんに説明したげて!!
オネーさん混乱しすぎて死んじゃうから!」
「いや死なないけど!」
会話に挟まれた桜の声に葵は思わず突っ込む。その間にもどんどん前へと進んでいく。
「す、少しやで!」
振り返りもせずに応答、湊は早口で説明しだす。
「渚兄がーー」
「待ってください、渚兄ってそもそも誰ですか!?」
説明のせの字も出ないままに疑問を差し込む葵に桜が足を加速させながら答える。
「渚冬お兄ちゃんのこと!」
「っ、渚冬さん……?!」
つまりは、渚兄を助ける、は渚冬さんを助けるということなのか。
今さらそれに気づく。
「渚兄の神代が壊されかけてるんやっ!!
このままじゃ渚兄が消えてしもうんや!」
「消え、る…?」
葵は首をかしげる。消える、とはつまりなくなるということだ。
死ぬ、ということとはまた違う。
「その……神代って一体……」
「俺達ーー“神”が生きるに当たってなくてはならんもんや!神代が壊されてしもうたらその神はこの世から消えるんや!肉体も!魂も!」
少しづつ、少しずつ、理解が追いつく。状況を、理解できていく。
「つまり、あなたも、桜も、渚冬さんも神様で、ここは神様が暮らす世界ってこと…?」
「せや!」
葵は自分が放り込まれた世界に改めて愕然とする。
何という世界なんだ。
しかもこの世界につながるのが桐ヶ谷神社の本殿へとつなぐ扉だとは。
「渚兄が消えたら、あの街もただじゃあ済まされへんで……」
「っえ、あの街がどうかなっちゃうの……?!」
思わず声が震える。あの街は葵の大切な居場所だ。
あの街にはお母さんもお父さんもお姉ちゃんも住んでいるのだ。あの街が危険にさらされるなんて考えられない。
「渚兄はあの街の“冬の守護者”を務めてるんや!だから」
「ちょちょちょ、冬の守護者って何?!」
先から謎のワードがたくさん出てきてどんどん脳内にクエスチョンマークが増える一方だ。
「そのまんまや!
冬に、あの街が邪神に乗っ取られないように守ってくれてるんや!」
まさか自分が生活をしている街がそんなことになっているとは。
初耳どころの話ではない。邪神という気になるワードがまた出てきたが、ことの深刻さが呑み込めてきた葵はもう質問を挟まなかった。
だんだんと人が少なくなってくる。周りの景色も少しずつ変わっていく。
そうしてふいに、桜と湊が立ち止まる。目の前には、建物と建物の間に、1つの引き戸がポツンと立っていた。
「ええか?覚悟しぃや、桜、葵」
湊はゆっくりと上唇を舐める。
「さっきの神社の扉を開けるどころじゃないことが起こるんやで」
「み、湊兄はこの引き戸開けたことあるの?」
「せやな。……一回だけ、な。」
湊と葵と手を繋いだまま湊の顔を不安そうに見上げる桜に湊は不敵な笑みを浮かべる。
「しょーじき俺もあんま入りたくないねんな……けど、」
湊は繋いでいた手を離して自分の頬を勢いよく叩いた。
「こんなところでぐずってたら、神主見習いどころか、渚兄の弟として失格や!!」
湊は引き戸の取っ手に手をかける。
「俺の根性見せつけたる!!!!」
引き戸が、スパン!という音とともに開き、冷たい風が3人を襲う。堪らず目を閉じてしまう。
何があっても目は閉じないつもりだったがこれは反則だ。
先ほどみたいにまた光が来るのかと思ったのに。後悔してももう遅い。
再び目を開いたときにはーー
「…………ぇ」
雑音を漏らす。全く持ってこの世界の原理を理解できない。
目の前には、雪景色の中にひっそりと佇む神社があった。
それ以外には何もない、だだっ広い場所。ちらちらと雪が降っていて時折強い風が吹く。
「湊兄、ここ……どこ……?」
桜が困惑してあたりを見渡す。
どうやら桜も初めてここに来るらしい。




