狐とカムバック
中学2年生の14歳が書いています。
何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。
「すんまへん!
この辺にビヨーシツってありますか?」
「あ、その信号を右に曲がればすごそこにありますよ」
「ほんまか?!
あ、すんまへん……、
教えてくれはってありがとうございます!」
道行く人々に片っ端から声をかけ15人目。
湊は、何も知らない街を彷徨い続け、ようやく目的のビヨーシツとやらに辿り着こうとしていた。
「はぁ〜、結構かかってもうたなぁ……
あんなに張り切って情けないことこの上ないやんな……」
しかしそのようなことでへこたれる湊ではない。
「いや、でも念願の、渚兄とおそろの黒髪やで?!
楽しみやな〜!!」
持ち前の切り替えの速さとポジディブ思考回路でスキップしながら歩道を進んでいく。
赤の他人から見ればただの怪しい人間もとい迷子の青年だ。
しかしその時突然、湊の目の前に鈴の音とともに狐が現れる。
「ん?なんや?」
狐は淡い白色の燐光をまとい、“お座り”の姿勢で湊の目の前を塞ぐ。
「ほへー、この世界の町中にフツーに狐いるもんなんやな……ってちょっと待ちや。」
スルーして通り過ぎようとした湊はその狐のそばにしゃがみ込みまじまじと見つめる。
「っ…これ、渚兄の相棒のっ……」
狐の正体、渚兄の相棒であることに気づき思い出す。
この狐の精霊が湊の目の前に現れたのはこれまでで2回だけ。
1回は、渚冬が湊に存在を紹介するために目の前で呼び出してくれたとき。
そして、もう1回は、………………
湊の背筋に悪寒が走る。
「……桜にも、伝えてきぃや。
渚兄の相棒ならいけるやろ?」
狐は燐光を揺らしコクリと頷き、鈴の音とともに再び消える。
「っ……、渚、兄」
湊は唇を噛み締め、周りに人がいないのを確認して異能を開放する。目をつぶり辿ってきた道のりを、桐ヶ谷神社へ、最短で戻るルートを探す。
その意志を汲み、異能が反応する。
湊のまぶたに最短ルートが、一本の細い水流とともに現在地からどんどん遡っていき、焼き付けられる。
湊は再び目を開ける。
「渚兄。これだけは堪忍してな?」
そう呟き、湊はまぶたに焼きつけられたルートを着物を翻し全力で駆け戻っていった。




