黒髪チェンジ!
中学2年生の14歳が書いています。
何かと至らない点があると思いますが読んでもらえると嬉しいです。
お互いに頭を下げながら交わす社交辞令の歪さはさておき、ここでの桜の修行が幕を開ける。
ーーと、同様に修行中の見習いはもうひとりいる。
時は少し遡り桜が葵に買われていったすぐ後のことだ。
何とか絶望から立ち上がった湊は渚冬のおかげでかなり元通りの精神状態に復活を成功させていた。
「はぁ〜
危うく衝撃的すぎて立ち直れんとこやったわ」
「お兄ちゃんもまさかこんなに早いとは思わなかったよ…」
「渚兄ですら予想外なら俺のおつむで分かるわけないもんやな……
まあでも、」
湊の顔に笑みが浮かぶ。
「俺が見送れなくても、桜は無事に駄々こねることなく修行に向かえたっちゅーことやな!」
「そうだね。
……誰かさんとは違ってね?」
「渚兄ー。
それは言わん約束やろー。」
ジト目で睨んでくる弟を渚冬は流して話題を変える。
「湊。神主としての役目を果たすならその髪色はちょっとこの世界では派手すぎるかもしれないな……」
「おう、急に変わるな?!
いや、でもそうやな……
渚兄黒髪姿だもんな……」
自分の髪を指でつまみながら、髪色までは変えれへんかったなーと呟く湊を前に渚冬は零す。
「そのままの髪色がお兄ちゃんは好きなんだけどね……」
「ん?何か言うたか?渚兄?」
「……いや、何でもないよ」
蘇りかけた思い出したくない記憶を胸の奥底に鍵をかけてしまいこむ。
「……この世界に髪色変える役職とかないんか?
向こうで言う夜染め色みたいな…」
「ああ、えーっと確か美容室とかで色々髪の色とか変えれるけ……」
「おお!そうなんか!?
渚兄、俺、そのビヨーシツとやらに今から行ってくるな?!」
「え?」
突然の決意表明もとい宣言に渚冬は動揺と驚愕に目を見開いた。
「これも修行の一貫や!
渚兄、何円あれば髪色変えれるんや?!」
「いや、たぶん湊が今も持っているお金で十分だと……」
まるで小学生のようなテンションの湊に渚冬はついていけずに脳内が混乱してくる。
「よっし、なら行ってくるな!
ちょっと待っててな渚兄!
すぐに渚兄と、おそろの黒髪にして戻ってくるで!」
まさに光の速さで神社の鳥居を駆け抜け何処かへー恐らく美容室へー向かっていった湊を、止める暇も何か言う暇もなかった。
ただ、あの張り切った様子の弟ならば、渚冬の自慢の弟ならば、正義感が強くて真面目な湊ならば、きっと何かがあっても大丈夫だろうなと思う。
湊も、桜も。
渚冬の誇りに思う大切な家族だ。
「……人間界に来て3時間で美容室行って大丈夫かな……
お兄ちゃんも行ったこと、ないんだけど………」
ただポツリとそう漏らし、桐ヶ谷神社の赤い鳥居を見つめて瑠璃色の髪の弟が意気揚々と黒髪になって帰ってくるのを想像し、軽く吹き出したのだった。




