リメイク第一章 異世界の決着
「今のは・・・同時に魔法を、これはまさか!?」
「あれ、もう解っちゃったんだ?ふふっ、君僕に騙してたよね?方法、やっぱり知ってたんだ・・・バケモノにならない方法をね」
僕は感じている、今僕はゼロと同じとこに来た。
「っ・・・」
「言いたくなかったんですか?それとも、君に起きていた事に気が付いていなかったのか。まぁそんな事はどうでも良いや・・・君はこれから死ぬ」
「目醒めた・・・三上それは、その境地に至ったのならば、理解出来ただろ?この世界の在り方を」
ゼロはもう一度だけ僕を勧誘する気か。
「理解出来たよ?そう、僕はここで目醒めた・・・グレイシアがさっき突然話せるようになったように、僕はこのタイミングで君を、世界を理解出来た。言わばラスボス戦での覚醒って感じだね、で?それが何か関係ある?僕は僕自身をようやく理解したに過ぎない、それを僕にどうして欲しかったのかな?
残念だけど、それがこの世界の支配には繋がらないよ。愚かなゼロさん、君はこの世界を理解したから憎んだ。それで支配しようとしたんでしょ?でもね、世界って言う場所にいる時点でそれは無意味なんだ。人間はみんな支配を求める一方で支配されるのは極端に嫌う。そんな矛盾した存在だ、そんな人間が織りなす世界で一つの存在が支配なんか出来る?力を手にしても、全ての心を支配なんか君に出来るのかな?無理だよね・・・君程度じゃ」
「子供が・・・世界を理解したような事を抜かすな!」
ゼロは初めて僕に対して怒りの表情を向けた。追い込まれてるね、この程度の煽りに乗るなんて、器が計り知れる・・・
「少なくとも君よりは理解したよ、なら見せてあげる。流血光刃、これの本当の意味を・・・」
「舐めるな!!」
ゼロは刀を構え、連続で溶岩の斬撃を飛ばして来た。
「ふっ・・・・」
『ズバババババババッッ!!!!』
「なっ!!これは・・・」
その全てを僕はこの剣で切り裂いた。そしてその僕の剣は淡い青色に光り輝いている。
「そう、これが流血光刃の真の力・・・ニヒルさんは血を流さずにこの世界を治めたんじゃない。それは誰かが流した噂だよ。本当の力はこれだ、この天石の剣と異世界の血。そして覚醒した精神を持つ者がこれの真価を発揮する。全ての魔法を同時に使い、この光り輝く刃が全てを切り裂く。それが流血光刃、この技は第8の魔法とでも言おうかな?」
「第八の魔法か。中々的を得た事を言う、確かにそのようだな。なら、その力・・・私こそが使うに相応しい」
来る・・・
「僕に言われてやっと理解した奴が、僕に勝てると思う?君の負けだゼロ、君ではもう僕に勝てない」
僕はゼロにカウンターをお見舞いした。ゼロに大きく袈裟斬りの焼け焦げた跡が付く。この剣の第8の魔法の特徴は、超超高熱の刃だ、これにかかればこの世のあらゆる物質をなんの抵抗なしに焼き切れる、溶岩なんて目じゃ無い。
「僕はもうバケモノにならない、僕はもう君に負けない。覚醒したからね、しかもこの力は君のそんなちんけな力の遥か上を行く。
ゼロ、君が理解していないのなら教えてあげるよ。覚醒に至る方法、君は知らないんだよね。割と単純、怒れば良い。心を怒りで満たし、その怒りが限界を超えた時、僕たちはこの覚醒へと至る。君の場合は大切な者を奪ったこの世界への怒りが、君をそのゼロという力に変えた。そしてその後に来たはずだ、異常な程の冷静さが。その冷静さが君をゼロと言う人間に変えた・・・」
僕は胸を抑えるゼロに言い放ち、剣を突き付けた。
「その判断力、洞察力、考察力・・・流石と言わざるを得ないな、この世界がお前にそんな力を与えたと言うのか・・・しかし、それでも尚私はお前の上を行く。お前はまだ理解に至っていないだろ?私の真の力を、あいつらを支配出来る力・・・それをお前は持っていない」
ゼロが一瞬で僕の目と鼻の先に迫って来た。これがこの人の最大速力・・・
「あぁその事・・・それなら君こそ理解に至ってないね。この力の真の意味を」
「がっ!!?」
ゼロは僕に触れる事なく真後ろに飛ばされた。
「え、えっ、えっ!?何が起きたのさね!!ゼロが勝手に飛んでったぁ・・・」
フォックスにも見えなかったね、これが僕の持った力だよ。
「何が起きた・・・魔法ではない、何かがこの私を殴り飛ばした。三上、何をした!!」
「僕はどっかのラスボスと違って、自分の持ってる力をベラベラと喋らないよ?知りたかったら自分の頭で考えないとね」
僕は馬鹿にするように人差し指をトントンと頭に当てゼロを煽った。
「過信だな・・・ならばお前の力と私の力、どっちが上か見せてやろう!!」
地面が更に揺れる、もうこいつらを止めるのは無理か・・・
地面からドバドバとバケモノが這い出てきた。大きいな、こんなのがどれだけいるのやら。
「グレイシア、フォックス」
「お、おうさね!で、どうすんのぉ!?こんな数おいら無理!!」
フォックスはバダバタと慌ててる、そんなに慌てる必要はないよ。
「うん知ってる。流石に無理だよね、この数」
「に、逃げる?」
「いや、僕一人で皆殺しにする」
「・・・何となく、今の礼兄ちゃんなら言うかもと思った。一見おとなしい人って怒ると怖いもんねぇ」
フォックスは苦笑いしてる。
「そゆこと、だから2人は隠れててもらって良いかな?僕、あいつに見せつけてやるから」
「あいさね、行こ、グレイシア」
「うん、 レイ 勝てる?」
「無傷であいつ、ボッコボコにしつくるよ」
僕はグレイシアの小さな小指に僕の小指を合わせた。
「行けっ!!!」
僕はただ立ち尽くした、それだけで十分だ。僕が出るまでも無い。
「な、何故だ・・・何故当たらない!?」
バケモノの攻撃は次々と僕に到達する前に阻まれた。
「理解したいのなら考えないとね、まぁ考える事を止めて支配、支配って同じ事しか繰り返せない鳩以下の生物にはそんなの無理か」
「減らず口を!!」
ただの怒り任せになったこいつは、最早敵にすらならないな、憐れな奴だ。
ゼロ自身も攻撃を加えてくる、僕は隙を見つけてあいつの刀をバラバラにした。
「そんな、この私が!!この子供に!!」
「僕、子どもじゃないんだけど?」
「何が起きてる。たった一人で・・・一人?三上、お前は今、一人か?」
「あら、一応覚醒してるのは伊達じゃ無いのね。見破るのが早い・・・なら、今度はこれで行くよ!!」
次の瞬間には僕を襲おうとしたバケモノは次々に倒れた、まるで流血光刃にぶった斬られたようにバサバサと倒れていく。
血の雨なんか降らせない、焼き切って傷口から血が噴き出す前に燃やす。そしてここにはバケモノの死体の山が出来上がった。
「お前、本当に何者だ?私の目にはお前が化け物に見える。お前は、人間なのか?」
「ゼロ、これこそが人間だよ。こう言う醜い奴こそ人間だ・・・人は常に誰かを傷つけて生きてる、傷つけずに生きる事なんか出来ない。人間は常に誰かの上にありたいと願うもの、君が僕よりも優れた存在だと感じるように、今僕は君よりは上になったと感じてる。そんな奴を蹴落として僕たちは醜く生きるのさ、
人間こそが化け物なんだよ。誰が何と言おうと、そう言う本能を持ったのが僕たち人間だ・・・ゼロ、君は人間以下に成り下がった哀れなバケモノにすぎないのさ」
「っ!!!違う!!私は全てを超えた!!世界の神となるべき存在だ!貴様のそれは何も理解出来ていない人間の理論!!支配しろ!この力を世界の為に使え!!その全てを超えた先に真の平和があるのだ!!」
「また支配か・・・そんな事を連呼する神様なんていないよ。やれやれ、君のおつむには心底呆れる・・・」
「三上ィィィッ!!」
ゼロは最高速で突っ込んでくる。そして地面から溶岩がどっばどばと溢れて僕の足場を無くしていく。はぁ、こんなのが僕に通用するかな?
ゼロは縦横無尽に動き回り隙を見てる、冷静のつもりかな?はい、ここだ・・・
僕があからさまに隙を見せたら見事引っかかった。相当追い込まれてたんだろうね、僕は懐に持っていた銃から炎の弾を放った。クリーンヒット、ゼロはその衝撃で壁に磔になった。そして僕はゼロの心臓に剣を突き立てる。
「くっ!!!この、何故だ!!認めない、認めないぞこんな!!」
「自分の観点でしか物事を見れない奴が、神を名乗るのは早すぎる。認めたくなくても認めなきゃいけないことは、世の中に無限にある。人は何かを認めなくなった時、もう死んでいるんだよ・・・さて、ここでクイズ、君はこの程度では死なない。それはさっきの戦いで理解出来ました。では、そんな君をこの世から完全に消す方法は何があるでしょうか?」
僕はゼロへクイズを出した。僕は見つけている、こいつを、そして僕を殺す方法を。
「この私を殺すだと?ならば聞こう、この私をどうやって殺す?心臓は潰した。全身黒焦げにしてもお前は私を殺せなかった。その私をどうやる?」
「あの黒焦げ、あなたがビーンさんを刺さなければ倒せてましたよね。現に、あの攻撃にあなたは窮地に陥った顔になってた。あれを喰らえば死ぬと、だからダメージを少しでも逃す為にビーンさんに剣を突き刺し、ダメージを和らげた、だから生き延びた。けど、その方法は僕たちをかなり疲労させる。でもね、簡単に殺す方法はまだ他にあるのさ。
僕たちのこの覚醒した状態は確かに君の言う通り、人間を超えた存在ではあるのかもしれない、僕は人間に似た何かの生命体、そう考えよう。そんな奴を殺す方法は核の破壊だ。僕たちには恐らく核と呼べる真の心臓部がある。そこをピンポイントで仕留めれば僕たちは死ぬ。ならば、それはどこにあるのか、心臓以外なら脳?いや違う。
両方に備わってるのさ、核は一つとは限らない、二つある。心臓を潰したら脳はその役割を担い心臓を復活させる、逆もまたしかり、僕たちのこの回復力はこれもまた魔法とは違うのさ」
「お前・・・何故そこまで一度に理解出来た?お前は、本当に何なんだ?」
この僕の推測した事実はゼロですら多分気が付いて無かったのだろうね。
「さぁ、僕は僕でしかない。ただ世界がヒントを教えてくれた、それを僕が解き明かした。それだけだ・・・僕自身は何なのかなんて、そこまで知ろうとはしなかっただけの話。それより良いの?君今の心臓を貫かれてる。そして今、僕は君の眉間にこの銃を突きつけた。後はどうなるかな?」
ゼロは初めて自身が殺される可能性を感じた。
「まさか・・・」
「僕ね、死ぬ恐怖ってのがどんなのか知ってるんだ。一度僕は僕の手で僕を殺そうとした。逃げ道を探してね、けどその瞬間僕は理解したんだ、この道は逃げ道じゃないってさ、こんな怖い道が逃げ道なんかないよ。こんな先の見えない道に自分から飛び込むのは馬鹿のする事だってね。人間は順序を追ってその道を歩まなきゃ正しく歩けないって。だから僕はやめたんだ、僕を殺すのを・・・
けど君はそこに行かなきゃ行けない、歩むべき道を間違えた君は、この見えない恐怖への道を辿れ・・・その手伝いはしてあげるよ」
僕は突きつけた銃に魔法を溜め始める。
「くっ!!!!うおおおおっ!!私はここで死ぬ訳には行かない!!私は!!」
ゼロは渾身の力で僕を退けようとしたけど、残念・・・
「ゲームオーバー」
僕は引き金を引く、殺す事に躊躇は無い・・・さぁ、やれ。
「んぐっ!!っ・・・ぁ、・・・!」
僕は引けなかった、突然ゼロの様子が変わったんだ・・・これは。
「ど、どうしたのさね・・・ゼロ、なんか急に・・・」
「呑まれたんだ、自分自身の恐怖に・・・フォックス、グレイシア。少し下がるよ、多分こいつに制御なんて言葉は通用しない!」
「ぐっ!!駄目だ・・・私は!この世界を支配するまで・・・終われない!恐れるな・・・怯えるな!!私がなってしまったらあいつらの意志は全て!!」
ゼロはよろよろと歩き出している。
「フォックス・・・君にもちゃんと教えておくよ、バケモノになる真のきっかけは一ヶ月経つ事じゃ無い。もしそうなら君はとっくにバケモノになってる。君の場合は元々人間じゃないってのも理由かもしれないけどね。でも、これだけは覚えておいて、この世界で恐怖に飲み込まれた奴は、あーやって自分自身を殺してしまうから」
「くっ!!ぐうぉ!私は、消えたくない・・・誰か、助けてくれ・・・」
「ゼロ、君は自分以外の命を軽んじた。だから今、君を助けるのは誰もいない、君はとっくに家族を捨て去ったんだ・・・永遠に苛まれろ!その恐怖で身を持って味わえ!!」
「く、駄目だ!!私は・・・く、グゥウウオオオオオオァァァッッ!!!!』
ゼロの身体は一気に膨れ上がった。そして、みるみる身体を異形の姿へと変える。
「さぁ決着だ・・・ゼロ!!」




