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リメイク第一章 異世界の覚醒

 ゼロはゆっくりと建物の奥から出てきた。


 「今のは小手調べですよ。次は使いこなして君に止めを刺す」


 僕は剣を握り直した、刺さった部分が少し痛いけど・・・これは慣れろ、この状態で強く握れ。


 「やっと突破口見えてきたな・・・」


 「はいビーンさん、後はこの突破口を突き抜けるだけです」


 「ふっ、三上・・・何か勘違いしてるな。小手調べは私の方だ、今のは少しだけ感心しただけ・・・褒美に私の本気を見せてやろう」


 『ゴゴゴゴ・・・・』


 「な、なんだぁ!?」


 地面が揺れ出した、これはなんの音だ?足音・・・バケモノの足音。この下からだ、数は・・・10万なんてレベルじゃない。


 「あいつらから産まれ続けたあいつらの子は、ここにいる。ビーン、何故私がアダムスへ二十年攻めなかったか分かるか?準備していたからだ。この、五百万を超える私の子が力を持つのをな」


 「な、この下にいるのは・・・バケモノの」


 「第五段階とお前たちは呼んでいるな、それが五百万だ。その数がここに集めていた。お前たちがここを歴史から抹消したおかげてここは絶好の拠点となった。あの会場は私がいるだけのハリボテでしかない。私の城はここにある・・・


 さぁどうする?勝ち目があると思うか?脆弱な兵力しか持ち合わせないアダムスに、この我が家族を倒しきれるか?」


 「ひぃ〜!!どうすんのさ!どうすんのさぁ!?この下、地震みたいになってるよぉ!!こんなのが出てきたらおいら・・・」


 「よわき   だめ  フォックス!」


 グレイシアがフォックスをなだめた。肝が据わってるな・・・そしてグレイシアは僕を見つめた。期待してるんだ、応えなきゃね。


 「これ、出てくる前に君を殺せば終わるよね?ここのバケモノは君の意志に支配されてる。統率されたバケモノは確かに危険だ。でも、君の支配から解き放たれたバケモノなら、敵じゃない」


 「良い考察だ。だが、後十数秒でこいつらは地上へと進出し、アダムスへ進撃する。お前たちではこの数をどうする事も出来はしない・・・」


 「ビーンさん!!」


 「おう!!」


 この攻撃で一気に終らせる!!まずはビーンさんが一斉に持っていたナイフを投げた。


 「この程度か」


 それを全てゼロは弾く、準備完了だ・・・


 「最大出力だ!!」


 「ん!?」


 あちこちに散らばったナイフが電気を帯び、ゼロの周囲をバチバチと稲妻が走る。


 「そのナイフはこの為の!!」


 「あぁ!!けど、それだけじゃないぜ!!レイ!!グレイシア!!」


 「はぁっ!!」

 「ん!!」


 僕は氷の魔法を上空に銃で撃った。細かな氷の粒の弾丸だ、それがぶつかり合って上空でも稲妻が走る。そして僕は飛び上がる。そしてグレイシアも同じく氷を放った。


 「フォックス・・・!!」


 そしてグレイシアはフォックスの名を呼んだ。


 「ばっちしさね!!この炎でかなりあったまったね!!」


 フォックスはゼロに向かって炎を吐く。


 「炎?何故今それを私に向かって・・・狙いは氷塊とナイフによる全方位からの電撃では無いのか?」


 「理解の授業くらい、ちゃんと受けといたら?自称神様。僕の得意技は返し技、君の火柱、使わせてもらったよ」


 「まさか!?」


 この時初めてゼロは気が付いたみたいだ、生半可な魔法ではこいつには効かない。今の僕の流血光刃でもまだ足りないのなら。それこそ神様に頼むしか無い。自然の力、雷をこいつに当てる。


 その為に上に向かって氷を撃ち出したんだ。既にゼロの無駄に派手な魔法のお陰でこの地上は暖められ、条件はもうほんの一手間加える程度で良かった。そして僕たちの氷、グレイシアの魔法だ。この空に瞬時に積乱雲が生まれた。雨が降り出し、上空ではゴロゴロと鳴り響いている。


 「っ!!!」


 「隙ありだ!!」


 この場所から逃げようとしたゼロをビーンさんは流さなかった、槍を見事にゼロへ突き刺した。


 「くそ!!」


 「おっと!そうはいかねーよ!!絶対に逃さねーからな!!この避雷針の槍に雷が直撃したら流石のお前も無事じゃねーだろ!?だから逃げようとしたんだよなぁ!?」


 ビーンさんはそのまま地面にゼロを倒した、衝撃でゼロは刀を落とした。


 「しまっ!!」


 「良いぜレイ!!やるぞ!!」


 「はい!!」


 僕は剣に電撃を纏った。そしてビーンさんの槍にも電気が走る。自然の雷を誘導し、僕とビーンさんの魔法。この三つでこいつに止めを刺す。


 「いいのか!?このままやれば!ビーンごと巻き込むぞ!?」


 「俺の鎧は特別製でな!!魔法を受け流す機構に加えて俺のには俺自身の電撃を食らわないように特殊加工してんだ!!んでもって!!あの鹿型のツノの一部を拝借してきたのよ!!」


 「くっ!!!私は死ぬ訳にはいかない!!私が世界を!!」


 『行けぇっ!!!!』


 『ズバガガァァァァンッッ!!!!』


 「んぐっ!」


 今まで聞いたこと無いような音が鳴り響いた。激しい閃光と音、そして無我夢中で放った最大威力の魔法のせいで意識が飛び、地面に落っこちた。


 『ペチン!!』


 「痛っ!!」


 「おきた」

 

 そしてすぐさま僕はグレイシアに叩き起こされた。


 「どうなった!!」


 僕は視線をゼロの方に向ける。そこには倒れたゼロと、立っているビーンさんがいた。勝った・・・勝てたんだ!!


 「ビーンさん!!」


 僕はビーンさんの元に駆けつけた。けど、その時僕は衝撃を受けた。ビーンさんの左胸に、ゼロの刀が刺さっていた。


 「ぐふっ・・・!!」


 その直後ビーンさんは崩れるように倒れた、僕は即座に回復の魔法を使おうとしたけど、上手く発動しない。力を使い果たしてる・・・


 「お、おぅ・・・最後に少しヘマしたな。あー・・・隊長に叱られるぜ」


 「そうですね・・・だから今は少し黙ってて下さい。治しますから」


 「いや、ダメだな・・・あいつが咄嗟に土の魔法で剣を取って俺に突き刺した、その直後にドカンだ。あいつの剣を伝って電撃が俺にも届いちまってな・・・今この鎧の下、焼けまくってみたいなのよ」


 「そ、そんな・・・でも僕の魔法なら!!」


 「そんな力もう残ってねーだろ?それになレイ、俺、ここに来る前に少し考えちまってな・・・これが終わったらどうしようって、ゼロを倒しちまったら俺は、何を目的に生きりゃ良いんだ?」


 「そんなのそれから考えれば良いでしょ!?僕だってそうだ!これからなんてどうしたらいいか分からないよ!!だから諦めないで下さい!!」


 心音が弱くなって来てる、魔法がダメなら心肺蘇生法でやるしかない!!


 「やめろ・・・レイ、俺は寿命が来たってだけだ。ここが俺の生き抜いた場所。俺はゼロを倒す為にこの残った人生を懸けてきた。それが達成される瞬間に立ち会えたんだぜ?普通生涯を懸けた出来事が成就する瞬間なんて、中々立ち会えねーよ。


 だから、そんな顔するなって、家族ってのがいねー俺には、ここが最高の居場所・・・だからな」


 ビーンさんから力が抜けていく・・・


 「そんな・・・駄目だ!!まだ諦めちゃ!!」


 「・・・礼兄ちゃん、ビーンのあんちゃんの音・・・聞こえない」


 ・・・・・止まった。完全に心臓が止まってる。


 「くそ・・・!!」


 受け入れなきゃ、ビーンさんは死んでしまった。悲観しちゃ駄目だ、ビーンさんの言う通り、彼は寿命を全うした。そう考えないと・・・ビーンさんはゼロを倒した英雄だ、ここで僕が無駄に抗うのはその英雄に泥を塗るのと同じ。


 「国葬、してあげなきゃね。国を上げて彼の、ビーン・ムゥの雄姿を、この世界のみんなに知らせよう」


 「それが良いかもねぇ。この間、ビーンのあんちゃんが言ってたもん。この戦いが終わったらでっかい像でも建てるか!ってさ」


 「なにそれ、変なの」


 ビーンさん、フォックスとそんな話をしてたんだ。


 「なんならあんちゃんの事だからさ、盛大にパーティみたいにやろうぜ?って言うよね」


 「確かに」


 こく

 「ビーン・・・はなび、すきって」


 そんな話もあったんだ。


 「それがビーンさんらしいかも、あの英雄を弔うのに淑やかな雰囲気は逆にビーンさん、怒っちゃうか」


 「だね」


 こく・・・


 「じゃ、行こう・・・」


 スズ・・・


 「・・・」


 ズザッ・・・


 そんな、あり得ない。


 「まさか・・・この私が・・・死にかけるとはな」


 「ゼロ!!」


 まだ生きていた、この男・・・どこまでやれば死ぬ!?どこまで追い込めば僕はたちは勝てる!?


 「だが、残念だったな・・・私はまだ、生きているぞ」


 「くっ!!ん・・・」


 僕はもう一度構え直そうとしたけど、体が思うように動かない・・・


 「さぁ、まずは一人だ・・・次はだれが死ぬ?無様だなビーン、お前の生涯はどうやら無意味だったようだ。だが安心しろ、この私の歴史にお前は語られる・・・私に歯向かった愚か者としてな」


 「・・・ゼロ、君は可哀そうだね。何もかもを棄てた、独りぼっちだ」


 僕は涙が出てきた、悔しいからじゃない。無論それもあるけど、それ以上にこのゼロという存在が哀れに見えてきた。こいつの為に人生をその全ての命を懸けたビーンさんの人生と、仲間を、家族を棄て、自分以外の命を何とも思えないこのゼロという男、そのギャップに僕は涙が出た。


 そして僕の中で何かが変わってきた。


 「神とは絶対の存在、一人なのは当然の事・・・さぁ、次はその狐か?氷の小娘か?それとも三上、お前か?私に歯向かう愚か者よ、無様なこの男と同じ末路を辿れ!!」


 ゼロはビーンさんを蹴り飛ばした。ゼロがやってしまったこの行動、それがこいつの人生を変えた。そして、僕の人生はこいつのこの行動のお陰で変わった。


 ・


 ・


 ・


 「ねぇ・・・」


 「ん?三上、お前・・・狂ったか?何故笑ってる?」


 そう、僕は笑ってた。どうしようもないくらいに口角が上がってくる、けどこれでいい。こいつにはこの顔になるさ・・・


 「さぁ、笑えてしょうがないからかな?君の馬鹿さにね・・・」


 「礼兄ちゃん?」


 「馬鹿だと?」

 

 「そう、馬鹿さ・・・クイズをしよっか、僕は今何を考えているのか。1、怒りに震えている。2、悲しくて泣きそう。3、僕の頭が狂った。さぁどれでしょう?」


 僕はゼロにクイズを出した。


 「どうやら、本当に狂ったらしいな・・・死が受け入れられなくてどうしたらいいのか分からないか?」


 「ぶー、残念でした。答えはこれだよ」

 

 僕はゼロが何か動きをする前に全力で剣を投げつけた。


 「な!?」


 ゼロは衝撃で後ろに飛んでいく、けど僕はそれを追いかけた。そして追い付き、風と炎を同時に銃で撃つ。銃口からは炎の竜巻みたいのがゼロをさらにぶっ飛ばした。


 「がはっ!!」


 ゼロは成す術なく瓦礫の山に突っ込んだ。


 「答えは4、世界を・・・そして君を、理解したです」

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