リメイク第一章 異世界の最終決戦
「僕は・・・やはりあなたとは行けない」
僕は再び剣をゼロへ突き付けた。
「何故・・・分からないか?この世界は・・・」
「全部分かったからですよ、確かにあなたの言う通り世界が僕を殺しに来ているのかもしれない。僕がここまで来れたのは最も僕という存在が死ぬ可能性が高い道でもあった。でもね、僕は僕自身の気持ちを裏切りたくない。僕は僕の意志でここに来た、そこに偽りはない。そしてみんなは僕を信じると言った。僕はそんなみんなを信じる。
ゼロ、君の目論見は失敗だ。僕の願いは支配じゃない、ただ平和に暮らすこと・・・例え世界が僕を殺そうとしても、僕はこの世界を支配で覆うつもりはない。世界に抗うだけだ。ゼロ、世界が僕を殺そうとしていたのなら僕はとっくに死んでいた。でも、僕はまだここで生きてる。その理由が分かる?」
「世界はお前を生かすつもりだとでも言うのか?」
「ぶっぶー、大間違い。この世界はねきっと神様が大嫌いなんだよ。そして僕も神様って言うのが憎いほど嫌いだ。この世界と僕は意見が一致したんだ、だから僕はまだここで生きてる。そして世界はこう言ってる、神様気取りの馬鹿を止めろってね」
「なんだそれは・・・ふざけているのか?世界はお前の言葉を聞いただと?なら何故私は奪われた?この世界が私からあいつらを奪わなければ!!」
僕はこれ以上激高する前にゼロの言葉を遮った。
「そんなの、運が悪かったとしか言えないよ・・・僕はそれを見て奪われないようにせいぜい考えるだけ。世界なんてそんなもんさ、運がいい奴は一生恵まれる。運がない奴はとことん見放される、それが僕の知ってる世界だ。神様がいるのなら僕たち人間は悩んだりする必要はない。いろんな人種、言語、体の不自由が存在する必要がない。神はいないから僕たちは悩んで色々模索する、そして間違えた判断をする。そしてそこから新しく考える・・・ゼロ、唯一の正しい支配なんてのは人間の驕りでしかないんだよ」
薄情・・・そうかもしれない、僕は薄情者だ。でもそれが僕という人間だ、守りたい人はいる。けどそれには限界がある、下手すりゃ僕すらも守ることで精一杯だ。
でも僕はそこで抗う、支配者とは目に見える存在じゃない、己自身だ。己自身が己をどう支配するか、そこで世界は変わってくる。僕は僕の心に従い、誰が今どんなことを考えてようと、僕はビーンさんを、グレイシアを、フォックスを・・・アレックスさんを、スチュワートさんを、アンドリューを、この世界を信じる・・・この世界の為に戦う。
「この世界を・・・このままのさばらせると言うのか?この世界を・・・信じようというのか?」
「言ったでしょ?僕は神様が嫌いだ・・・それを語ろうとする奴が、好きになれる筈ないでしょ?」
「愚かな・・・ならばこのままバケモノへの運命を受け入れろ。三上 礼!!」
「ふふっ、ならないって言ったでしょ?僕は君を倒して君の力への道を見つけてやる!!」
僕とゼロが再び衝突しようとした瞬間。
『ブゥオオオオオオンンンッッ!!!』
バイクがこの二階に飛んできた。そして一人の男と、幼い女の子、そして一匹の狐が飛び降りた。
「ビーンさん?それにグレイシアとフォックスも」
「おぅ、だいじょぶか?助けに来てやったぜ?いよっ、久しぶりじゃねーかアマナ」
「ビーンか・・・アマナなんてのはもういない、私の名はゼロだ。あいつらは・・・なるほど、やられたか」
僕はしばらく理解が追い付かなかった。
「おうさね!!あいつらはスチュワートのおっちゃんたちが助っ人来てドンドンドーン!!で、来たのさ!!」
フォックスの凄まじく訳わからない説明だけど、どういう感じの事が起こったか理解はできた。
「どうする?あんたのお仲間は仲良くおねんねだ。お前はもう一人、大人しく投降しろ」
「あいつらはよく頑張った・・・そろそろ眠っていい頃か、後は私一人で十分だ」
こいつ・・・その直後ゼロは溶岩を僕たちに向かって一気に放った。
『バキィィンッ!!』
けど、その溶岩を丸ごと凍らせた。
「何?」
グレイシアだ。流石だな、複合魔法ってやつよりもまだまだ強い・・・
「この魔法は・・・あいつの?」
ゼロは僕たちから距離を取った。
「にしてもレイ、暗殺失敗か」
「すみません・・・どうしても聞いておかなきゃいけないことがあって」
「バケモノの事か、スチュワート隊長も正体について考察してたな・・・答えはどうだった?」
「運任せ、らしいです・・・けど、何かしらの方法はあると僕は考えてます」
「なるほど。でも良かったぜ、最悪の結末になってなくてよ。レイがもしかしたらここで起きた事を知ってゼロに寝返るかもしれねーって思っちまってな」
「ゼロもそれを狙って僕をここに呼んだんですよ、けど・・・僕はあなたたちを信じることにした」
「どうしてだ?ここでの出来事は、この俺たちの不甲斐なさが招いた最低最悪の事件だ、だから歴史から消したり色々やった、言ってなくて悪かった」
「どの世界も同じようなものって事です。あなたたちだけが悪いんじゃない、それに一番の理由はあなたたちがこんな僕を信じてくれたからです、僕は僕の都合のせいで任務に失敗してしまった。これでお相子にしませんか?」
お互い様、それで今回の僕のゼロ暗殺の失敗はチャラでお願い。
「だな」
「・・・どうやら、私はお前たちを見くびっていたらしい。ここまでやられるとは想定外だった。そこは認めてやろう」
ゼロは体勢を整え終わったみたいだ。
「だが、それでもお前たちが束になろうと、私には勝てない・・・」
「それはどうかな?グレイシア!!」
「ん!」
もう一度グレイシアは氷をゼロに向かって放つ。それと同時に僕たちは二階から飛び降りた。ここで戦うのは流石に難しい。
「とりあえず僕たちも体勢を整えますか」
グレイシアの氷だ、そんなすぐには出てこない筈。
「あぁ。にしても、ボッロボロだなレイ・・・ゼロとどんな風に戦ってたんだ?」
「今のうちに説明しましょうか・・・あいつは心臓を潰しても死にませんでした。ゼロは多分、僕とはまた違う何かになってる」
「心臓って・・・礼兄ちゃん、そんなのどうやって倒すのさ?」
フォックスはちょんちょんと僕をつついた。
「この手の場合なら、バラバラにするか・・・一番はビーンさんの全方位攻撃だと思います」
「なーる、それで行くか!!」
よし、次は連携でゼロとやろう・・・
つんつん・・・
「ん?」
グレイシアが突然僕の裾を引っ張った。
じー・・・
そして無言で見つめてくる。
『バキッ!!!』
「んが!!」
その次の瞬間、グレイシアは僕をグーで全力で殴ってきた。あまりの勢いで僕は飛ばされた、な、なんで?
「ボロボロ だいじょぶ じゃない!!!」
「い、痛い痛い!!」
5歳のパンチの威力じゃない。ワールドチャンピオン行けるよこれ・・・そんなパンチがポカポカと音を立てながら僕の頭に向かって飛んでくる。
「ごめんって!!だって心臓撃っても!!」
「いいわけ・・・しちゃ だめ!!!」
「だはーっ!!」
僕は更に盛大にすっ飛んだ。ゼロの前に殺されるかも・・・
「あーあ、怒らせたー・・・ってあれ?グレイシア、今普通にしゃべってる?」
あれ、ビーンさんにも聞こえるって事は・・・普通にしゃべってる?
「あれ?」
グレイシア自身も首を傾げた。
「相当怒ってたもんねー、激しい怒りにより覚醒した伝説の戦士的な?」
フォックスの例えはまぁいいとして、覚醒か・・・確かにそうかも、あとはグレイシアが声をしっかり出せる引き金的なのが必要だったからね。僕のこの姿を見て怒っちゃったんだ・・・心配かけさせたな。
「あ、それより出てくるよ?ゼロ・・・」
『バギィィィンッ!!』
「中々出るのに苦労したな・・・この魔法ならばあいつらがやられるのも仕方がないのか」
そうは言っても肝心なゼロは無傷だ。やはり確実に殺さないと、氷漬けはダメか・・・ゼロは僕たちの前に立ち、あの短い刀を取りだした。
「アマナ・・・いや、ゼロ。前の戦いで俺はお前から逃げちまった。けど、今日という今日はもう逃げねー。最終決戦って奴だ・・・レイ、こういう状況お前の世界風に言うとなんて言う?」
突然振られた。
「え?普通に最終決戦で良いと思いますけど・・・言うなら、ラスボス戦?」
「お、良いなその響き、レイの世界っぽいぜ・・・ラスボス戦と行こうぜ?ゼロ!!」
ビーンさんはラスボスと言う言葉が気に入ったらしい。でも確かにそうだ、僕の旅の最後の目的はこいつを倒す事、そしてこの展開は仲間と一緒にこのラスボスを倒すか。ありきたりだけど、盛り上がりはするか!!
「・・・良いだろう、全員ここで死ぬのだ。行くぞ!!」
ラスボス戦、仕掛けてきたのはゼロだ。
「溶岩に注意して!!」
ゼロは地面に剣を突き刺す。これ・・・さっき僕と戦った時とは段違いに!!
「うおっ!!」
溶岩なんてレベルじゃない!!あちこちから火柱があがる!
「まずは・・・」
「っ!グレイシア!!」
僕たちが火柱に気を取られてる時、ゼロが真っ先に狙ってきたのはグレイシアだ。僕はグレイシアの前に立ちゼロの剣を受け止めた。
「っ!!ゼロ、子どもから狙うなんて恥ずかしくないんですか?」
「子どもだとかそう言うのは関係ない、私にとって一番脅威になり得るのかその小娘、それだけだ」
「どりぃやぁぁっ!!」
横からすかさずビーンさんが攻撃を加えるが、ゼロに再び間合いを取られた。
「それを言うなら三上、四対一の戦いは卑怯とは思わないか?」
「確かに、卑怯かもね・・・でもラスボス戦はみんなで力を合わせた方が良いでしょ?それに、君はこれで戦力差が縮まったとでも言う?」
「ふん・・・お互い様か、お前はおおよそ物語の主人公には向かないな」
「僕、基本主人公タイプの人間って好きじゃないですから!!」
僕とゼロは互いに攻撃を放った。
「いっ・・・つ!!」
「ん!?」
剣を握ってる右手の指先に一瞬、激痛が走った。その直後だ、剣に纏っていた炎が突然大爆発を起こし、ゼロを遠くまですっ飛ばした。
僕は右手を見つめた、指先から血が出てる。針でも触った?そして剣を見た、よく見たら剣の柄の部分から小さな針のような物が飛び出してる、こんな物あったっけ?
「流血光刃・・・血を欲している?」
「何をした、三上・・・」
「さぁ、もう一度やってみれば良いんじゃないですか?」
「ならば・・・」
ゼロは再び剣を地面に突き刺した。けど、今度は火柱じゃない、ゼロの剣の部分が徐々に赤く染まり始めた。
「おいおいおい!!なんじゃありゃ!?」
「カッコいいけどさぁ・・・あれを、おいらたちに?」
「ちっ・・・」
ゼロは剣を地面から引き抜くと、溶岩が剣に引っ付くように伸びてきた。そしてゼロはそれを上に掲げる。溶岩で刀身を異常なまでに伸ばしてきた。それを僕たちにぶつける気だ。
「全て焼け溶けろ!!」
スチャ・・・
僕は剣を一旦納めた。抜刀術でアレを防ぐ・・・
「レイ!!避けろ!!」
「否ッ!!!」
キン・・・
「せぇぇえいやぁぁぁっ!!!!」
僕は踏み出すと同時に一気に剣を振り抜いた。
「な、馬鹿なっ!!」
ゼロの攻撃ごと僕はあいつを風の魔法ですっとばした。ゼロは建物にぶつかってもなお勢いは止まらず、壁を突き抜け建物の奥に消えた。
「す、すげぇや礼兄ちゃん!!今までと段違いだよぉ!!どうやったの!?」
フォックスが興奮して僕の頭に飛び乗った。
「血だ・・・魔法の正体は血なんだ、この剣はそもそもの魔法力を高める。そこに血を与えた時、この剣はゼロを上回る力を引き出せる」
この針は僕の血を吸い、剣先に流れ、この威力を発揮した・・・これが流血光刃。
「くっ・・・まさかそいつが、そこまでの威力を秘めているとは・・・だが、今のが全力ならば拍子抜けだ。この程度で私は倒せない」
「あ、あんにゃろ!アレくらってもピンピンさね!」
違う、まだなんだ。これはゼロの予測範囲内、流血光刃・・・これの名前は血を流さずに国を納めたんじゃない。この剣の特徴だ。ゼロの予測を超えろ、奴が知ってるのは流血の意味だ、光刃の意味を理解していない。
僕が先に見つけてやる、こいつを完全に使いこなせれば・・・こいつに勝てる!!




