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リメイク第一章 異世界の決戦 その1

 「そこまでこの世界を理解していたとは・・・驚きだな。その通りだ、お前たちが親と呼ぶハチ、タマ、チュウは元々は人間、俺の大切な家族だ。しかしよくその結論を導き出したな、お前の仲間になってしまった者でもいたか?」


 「残念、僕一人しか来てませんよ。あなたの支配下に置けるバケモノはいません」


 「成る程、自分一人の力だけでその事実を知ったと。何故理解出来た?」


 「あなたが中央にあのトカゲ型を送り込んでくれたお陰です。あそこでバケモノと戦って感じたんですよ、魔法の力、回復力と言う僕と共通した力、そして何よりあの人は悲しそうだった。そんな感情を持って戦うのは人間くらいでしょ?それで仮説を立てたんです、バケモノの正体は元は人間、その仮説を確かめたくて僕はここまで来たんですよ」


 「あの戦いか・・・ならお前は私に感謝しなくてはな」


 「そうですね、でも心から感謝するにはまだ早い。もっと理解しなければね。その三人がバケモノになったとして、あなたがバケモノにならない理由、僕が最も知らなきゃいけないのはここだ。だから僕はここに来た、あなたから聞くために・・・」


 それが僕が一人でゼロの元へ来た理由、それは僕がバケモノにならない方法を聞き出す為だった。どのタイミングで、何がきっかけでバケモノになるのか、それが分からなかった。ある程度予測はしてたけど、決定的なのが何もなかった。だから僕はアダムスをほぼほぼ何の準備もなしに飛び出したんだ。


 「お前は中々鋭い洞察力を持っているな、良いだろう。これからお前が迎える運命は変わりはしないのだからな・・・一か月、この世界に飛ばされて一か月程度で私たちはバケモノに変わる、初めは少しの意識障害に始まり、それが頻発する。その後訳も分からない程の恐怖感が身体を襲う様になりやがてバケモノへと変貌する。


 その中で私は唯一それが起こらなかった。次々とバケモノへ変貌していく中、私だけがどうやらこの世界に完全に順応したのだ。それが真実、抗う方法は残念ながら私には分からん」


 「今僕がこの世界に来てから大体一週間位になる・・・後、三週間かそこらで僕は・・・」


 「そうだ。だが三上、お前ももしかしたら私同様に順応してるかもしれないぞ?そうだ、こんな提案はどうだ?私と共に世界を支配しよう。お前がバケモノになった後、私の力ならばお前を私の支配下に置ける。ここに来ている大切な者の命を、守る事が出来る。


 お前の戦いぶりはあいつらを通して私は見ていた。守りたいだろ?あの者たちの命を、笑顔を。あの子らは純粋だ。私も無駄にその命を奪う程冷酷では無い。お前がバケモノになるにせよそうでないにせよ、私と共に来ればお前はあの者らを守れる」


 ゼロは椅子から立ち上がり僕の正面に立った。若い、かれこれ二十年以上前からいる存在とは到底思えない程に、せいぜい二十歳だ、ゼロは僕に手を差し出した。


 「最後にもう一つ質問します。あなたは何故、そこまでしてこの世界を支配したいんですか?」


 僕は手を取る前に最後の質問をした。


 「三上、アダムスを作った者の存在を知っているか?」


 「ニヒル アダムス・・・」


 「あぁ、そう言う名前なのかあいつは。ニヒルは私と同じくこの世界に飛ばされた存在、そしてニヒルはその力を使い、この世界を掌握したと言う話だ・・・こうは思わないか?ニヒルとは私同様にバケモノにならなかった特別な存在、そしてその圧倒的な力でニヒルはこの世界を支配した。しかし、ニヒルは突如歴史から消えた。私はニヒルはこの世界に消されたと考えている。なら、私が務めを果たすべきだ。


 私がこの世界に来た時、この世界は平和に見えた。だが、この世界はお前の見えている以上に狂っている。この世界は私から友を、家族を、愛する者を奪いに来た。私はこの世界を守ろうとしたにも関わらず世界は、それを拒んだのだ。お前ならこの理由が分かるだろ?」


 アンドリューが僕の頭の中をよぎった。


 「世界は、僕たちを恐れた」


 「そうだ、私の持つ力はこの世界には無い力、神とも呼べる力を持つ者をこの世界は恐れた。だから奪われた・・・ニヒルも恐らくそれで消えたのだ。なら私がすべき事はこの世界へ我が力を示す事。私がこの世界にこの力を知らしめ支配する、そしてこの世界を変えるのだ。


 この世界は臆病で脆弱でずる賢い、私がこのバケモノを操る力を知り、世界に侵攻した時、私に向かって来た兵士を私は返り討ちにした。まるで人間が虫のように見えたよ、簡単に倒されていった。私はこの世界の全てを超越した力を持っていたのだ。ならばその力、この世界の支配に使う以外どんな使い道がある?


 三上 礼、私と共にこの世界に平和を、秩序をもたらそう。ここに到達する程のお前の力は、明らかに他の奴らとは違う。お前ならば私同様、この世界に順応出来る可能性は十分ある。そしてこの世界をお前の思うがままに!!」


 ゼロは拳に力を込めて演説の如く僕に言い放つ。そして僕の指し示す答えは・・・


 「僕はどうやら君を誤解してたよ。とんだ無駄足だ、君ならバケモノにならない方法を知ってると思ってたのに・・・賭けるしか無いなんてね」


 「それは済まなかったな、しかし可能性はゼロではない事が分かったのはお前にとって良いニュースではあった筈だ」


 「そうですね、だからこそ僕は・・・あなたを殺す覚悟を持たなくちゃね!」


 僕は剣の切っ先をゼロに向かって突きつけた。


 「何のつもりだ?」


 「支配?神にも及ぶ力?勘違いも甚だしいよ、どんなに僕らが強い力を得たとしても、持ってるのはただの力だけだ。それによる支配に平和なんて無い!独裁主義の弱肉強食の世界にしかならないんだよ!力は支配する為に使うものじゃない!あなたはその力で守るべきだった・・・」


 「綺麗事を・・・守れなかったから私はこの力を手にしたのだ。残念だよ三上 礼、大人しく私と共に来れば誰も死なずに済んだのにな・・・揺動のあの者ら苦戦しているぞ?お前を信じて戦っている、お前は勝てるとな・・・残念ながら勝てない、お前では私に及ばない・・・最後にもう一度だけ聞く。あの者らを守りたいのなら私と共に来い、死なせたく無いだろ?」


 「そうだね。ビーンさんを、グレイシアを、フォックスを・・・僕は絶対に死なせたくない。だからって、君の支配を受け入れるはもっと嫌だね!僕は何が何でも抗うさ、バケモノにならない方法も、必ず見つけてやる。


 教えてあげるよ、何でこの世界が君を襲ったのか。未知の存在なんて誰もが恐れるに決まってるじゃない。けど君はそこから何も考えなかった、手を取り合う事ができた筈なのにそれをしなかった。だからこの世界は君から奪ってしまったんだ。大切な人を、君の正義を。僕は君みたいに力に溺れたりしない。


 僕は何が何でも、何もかもを守ってやる・・・ゼロ、お前は僕を、僕たちを見くびりすぎだ!」


 絶対に勝つ、そして誰も死なせない、それでもって僕自身もバケモノになんてなったりさせない。


 僕はグレイシアたちを裏切った、こいつを今殺せてない時点で僕はみんなを裏切ったんだ。でも僕は逃げたりしない、ゼロのように逃げたりするものか!


 この落とし前は必ずつけるから、みんな・・・僕を信じてくれ、そして僕も信じるよ。みんなを!


 「ふっ・・・その威勢は素晴らしいが、お前のその言葉は何も奪われていないから言える言葉だ。そして力と言うものを何も理解していない言葉だ・・・世界を変えるのだ、変える力を私は手にした!見せてやろう、これが力だ!!」


 僕とゼロとの決戦が始まった。どう来る、奴はどうやって戦う?


 ボコ・・・


 地面が突如熱を持ち始め、オレンジ色になって来た。僕はそこから飛び退くと地面から突然溶岩が噴き出した。


 「これは!」


 「避けたか、察しが良い・・・しかしこの魔法はお前には使いこなす事は出来ないだろ?複合魔法と私は呼んでいる、これが私とお前の差だ。もしお前がこれを使えるのなら、可能性はあるかもな」


 魔法にこんな使い方が出来たのは僕も予想出来なかった。そして理解出来た、僕にはこの魔法が使えない。この剣を使っても僕は溶岩という魔法を発動出来ないんだ。


 けど、こいつは使える。何かが違うんだ・・・


 「はぁっ!!」


 僕は剣に炎を纏い攻撃を繰り出した。しかしゼロはそれを素手で止めてしまった。


 「良い太刀筋をしてるな、だが迷いが見える。殺す覚悟を持ったと言っていたが、これでは怪我の一つも私に負わせる事は出来ん!」


 また溶岩が噴き出した。僕はなんとか距離を取って構え直すけど、アンドリューに言われた事をゼロにも言われてしまった。やはり、簡単には無理か。殺す覚悟なんてのは・・・


 「その武器は良い武器だ。だが、そいつは嘆いているぞ?もっと血を吸わせろとな。お前にそいつは使いこなせない・・・」


 血を吸わせろ?この武器はニヒルが無血で戦った象徴の筈、無論そんな事は無かったと思うけど、僕はこの剣 戦いを嫌っていると思ってる。そもそも戦う為の武器では無いと思ってる・・・


 「さぁ、僕は剣道とかはやってましたけど別に兵士でも何でも無いですから、武器の気持ちなんてのは分かりませんよ。僕は僕なりの戦い方でこれを使いこなしてみせる」


 「そうか、ならば・・・私の剣と言うものを見せてやろう。そして思い知るが良い、お前にその剣を持つ資格などありはしないと言う事を」


 あれは、ドスか何かか?ゼロは短めの刀の様な武器を取り出し構えた。


 「行くぞ!!」


 ゼロが刀を振った瞬間、溶岩が斬撃みたいになって飛んできた。


 僕は何とかそれをかわしたけど、次々とその攻撃が飛んで来る。


 「くそっ!!」


 そして地面からも溶岩があちこちから噴き出して足場を狭くする。このままではまずい・・・


 「せやっ!!」


 僕は地面に剣を突き刺し、僕の周囲を岩で覆った。


 「判断を間違えたな、その防御は自らを牢獄に閉じ込めたも同じだ」

 

 そんな事はわかってる。けど、一旦はこうしなきゃ反撃に回れない。攻撃は連続で続くけど、別にビーム的なのを食らい続けてる訳じゃない、攻撃自体は単発だ。だから攻撃の直後、ここで上に飛ぶ!!


 僕は真上に向かって飛び上がった。


 「更に首を絞めたな、上に飛ばないと思ったか?」


 ゼロは僕と同じ高さに飛んでいた。そしてあの溶岩による攻撃が繰り出された。


 「ここっ!!」


 僕はその攻撃に合わせて氷の魔法を放った。


 「それが無駄なのだ、普通の魔法がこの複合魔法に勝てるか?」


 ゼロの方が力は上だ。でもその程度で僕はお前に攻撃を当てる!!


 「うおおおおおおっ!!!」


 「んっ!?」


 僕の右手は赤黒くただれた・・・けど、


 「最初に一撃を食らわせたのは僕だ・・・ゼロ」


 僕はゼロの腹部を貫いた。


 「成程・・・火事場の馬鹿力とでも呼ぶか。あと少しずれていたら心臓に到達していた」


 「次は、心臓にこの剣を刺してあげますよ」


 「次はない、このまぐれの一撃は私への戒めとして受け入れよう。ま、すぐに治るがな・・・」


 「いや、あなたはその怪我を治す前に僕が倒す。ふふっ、僕は結構ゲームで縛りはよくするけど、こんな縛りは初めてだ。ラスボス相手に初見、低レベル、ノーコンティニューなんてね、面白くなってきたな!!」


 僕は何故かこんな冗談を言うほどに冷静に、そして興奮してきた。正直な今の気持ちは楽しいだ。頬が上に上がってるのがわかる。こんな僕は傍から見たら変かもしれない。


 でもそれ以上に僕はこいつと真正面から戦い、そして勝つことに拘りたい。

 

 「笑っている、私を前にしてその顔・・・お前のその度胸気に入らないな、私の力の前にひれ伏せ三上 礼!!」


 ゼロは逆に今までの余裕の顔が僕への嫌悪に変わった。僕とゼロの決戦は続く・・・

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