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リメイク第一章 異世界の作戦会議

 「これから作戦会議を始めるぜ、レイ。とりあえずこれまでバケモノと戦って分かった事はあるか?弱点になり得る所だ」


 ビーンさんの主導の元、作戦会議が始まった。フォックスはこう言う雰囲気にワクワクしながら聞いている。グレイシアはまぁ、いつもの通りぬぼ〜とした顔で眺めてる。


 「バケモノで分かった事・・・弱点。あ、バケモノも睡眠はしますね。そして僕もちゃんと睡眠を取らないと魔法はろくに使えなくなる」


 「だな、なら作戦の開始時刻は深夜三時だ。レイもバケモノも眠るならゼロも寝る筈、そこのタイミングで奇襲をかける。

 

 次に潜入方法だ、会場に天井が無い。前の作戦では真正面に揺動部隊を置き、壁伝いで奇襲部隊が屋根の上から攻撃する方法を取った。しかし、ものの見事にバレちまったけどな、何とか気づかれず屋根に登る方法はないのかねー」


 屋根からか・・・


 「ぴょーんと飛び越えるのは?」


 フォックスの提案、空を飛べと?


 「良い提案だが、それをやるには翼でも無けりゃ駄目だ、俺たちに空を飛べる方法はねーのよ」


 「だねぇ」


 「・・・・・いや、飛ぶ方法はない事も無いかも」


 僕はある方法を思い付いた。


 「え、どうすんの?あんたのその鞄にそんな代物あったか?」


 「これを使うんです」


 僕が取り出したのは銃、このガスガンだ。


 「そいつは確か、魔法を撃てるってやつか?」


 「はい、ゼロの聴力の範囲外からこれの風の魔法を使って僕の身体ごと飛ばすんです」


 「なーる、確かにそれなら一気に突入は出来るし、ゼロの位置を把握出来れば上空から一気に奇襲をかける事も可能だな。けどなレイ、その方法あんたしか出来ねーだろ?却下だ」


 僕の方法も却下された。


 「ならビーンさん、他に何か方法あります?」


 「ここにいる数人を超大勢に見せる方法だ、レイ。確かあんた変な祭りの映像持ってたよな?」


 「あ、スマホのですか?」


 「そうそれ、それを囮に使えねーかな?ほら、あれの掛け声が俺たちの攻める時の声と似てたからよ。それを大音量で流せばバケモノはそこに集まって来る。そこに気を取られているうちに潜入、暗殺だ」


 「うーん・・・ゼロをそんなので騙せます?スマホにも音量とかの限界がありますし、そもそもスピーカー音源ですよ?」


 「うーん、無理か?」


 「おいらも無理だと思うよぉ?一番良いのは礼兄ちゃんが言ってた方法かねぇ?礼兄ちゃんが空飛んで、そんでおいらたちが揺動部隊ってやつさね。礼兄ちゃんのそのやつをおいらたちが流しながら撹乱させるのさ」


 フォックスがその間の案を提案して来た。


 「僕もその方法が良いと思います。それにゼロは、僕一人でやらなきゃいけない。そんな気がするんです」


 「レイ、どうしたんだ?いきなり気負い過ぎだぜ?あんたの一番の願いは平和に暮らす事だろ?あいつに命張るほどの因縁はねーだろ?」


 「確かに無いですよ?僕はゼロを知らないですから、でも、少し気になるんです。アンドリューの不安は僕にもある。少し今怖いんですよ、もし、僕がゼロを倒してしまったら今度は僕が、ゼロに成り代わる事になっちゃうんじゃないかって。ゼロの事、聞けば聞くほど昔の彼は今の僕と同じ、英雄気質の人だ・・・だから!」


 「レイ、もう言わなくて良いぜ」


 ビーンさんは優しく僕を止めた。


 「そんな事、気にする必要はねーよ。お前はお前であり続ければ良いだろ。ゼロは何かに負けちまった。それだけの事。俺は思うね、あんたはそんな事に負けたりしねー、ゼロにはならねーよ」


 そしてビーンさんはポンポンと僕の肩を叩いた。


 「おいらも信じるよ、礼兄ちゃんはとっても優しくて良い人さね!あいつとは全然違うよぉ!」


 そしてフォックスも慰めてくれた。


 ぎゅっ・・・


 「レイ  は   いのち  たすけて くれたから」


 そしてグレイシアも、僕を信じてくれた。


 「・・・ありがとみんな。それなら尚更僕はフォックスの方法で行きたい。ゼロは僕が殺す。ビーンさん、僕にやらせてくれませんか?」


 僕はビーンさんをじっと見る。


 「・・・こいつは、とんだ博打になりそうだな。普通に考えりゃ、ど素人のあんたに世界の命運を懸けるのは間違った選択だ。けど、今の俺はその間違った選択をしてみたくなった。ゼロ暗殺はレイ、お前に任せるぜ。俺たちはバケモノの揺動、そして討伐だ。どっちもしんどい作戦になるが、必ずみんなで揃って帰るぞ!」


 『おー!』


 「ん?」


 みんなで声を揃えたその時、ビーンさんは僕を見たまま固まった。


 「またどうしたんですか?」


 「前にも言ったけどよ・・・やっぱり変だぜ?お前の顔」


 「む、だから失礼ですって!!」


 「いや分かってんだけどさ、やっぱり違うな・・・何つーか、そもそもお前身長いくつ?」


 「165・・・ですけど」


 「俺百八十三・・・確かに身長差はあるけどこんな見下ろすほどだったか?」


 この時ようやく気がついた。ビーンさん、こんなに背が高かったっけ?それに最近、バイクもそこまで窮屈に感じない。


 「んー・・・あ!分かった子どもっぽい!!」


 「はぃい!?」


 「いや顔が子どもなのよ、あんた二十歳だろ?確かに出会った時はそれっぽい顔だったぜ?でも今のあんた、どー見ても中学生か、下手すりゃ小学生だな」


 最近ベルトが緩いって思ってたけど、それはこの旅で痩せたからと思ってたのに・・・


 「まさか・・・若返ってるの?」


 「っぽいかも」


 「せっかく・・・毎日牛乳飲んで身長伸ばしたのに」


 「ショック受けてる理由そこ?」


 こちとら低身長がずっとコンプレックスだったの。けど二十歳になって最後の最後に成長期が来てたんだよ・・・なんか、その努力が泡になった気がして。


 「鏡あります?」


 つつ・・・


 グレイシアが持ってた。てかあったんだ手鏡・・・僕はそれを取り恐る恐る顔を見た。


 「マジだ・・・自分で言うのもなんだけど、幼すぎるでしょこの顔、生意気そうなお子様って感じ」


 「すんごい凹んでんな。普通若返った方が嬉しいと思わねーの?」


 「僕は思いません!もー!こうなったのも全部お前のせいだからね!覚悟しろよゼロ!」


 とりあえずこれもゼロのせいって事にしてやろ・・・全く、せっかく気力が湧き出る良い雰囲気だったのに!




 作戦会議終了、後は開始時刻まで休息だ。


 日も沈み、夜がやって来た。僕は塔の上から会場を見る。


 「バケモノの一匹ここに現れないとなると、ゼロの奴はまだ俺たちがここまで来てるのを察してねーって事だな」


 「さぁ、もしかしたらあえて泳がされてるのかもしれませんね。ま、今憶測しても意味はありません。実際にやらなきゃ」


 「すげー落ち着いてんな。もっと緊張してるかと思ったぜ」


 「緊張はしてますよ。と言うより常に緊張しっぱなしだ、その環境に少し慣れたって感じですかね。ビーンさん、先に仮眠取ってて下さい。僕は後で良いです」


 「明日の事考えりゃその方が良いかもな、じゃ俺はそこで寝てるわ。二時間後に起こしてくれ」


 「おやすみなさい」


 ビーンさんは壁にもたれかかって仮眠を取る。しばらくして僕は少しこの塔をこっそりと降りた。







 「・・・そろそろ良いんじゃ無いですか?いつまで隠れてるつもりです?アンドリューさん」


 僕は呼びかけた。僕が塔を降りた理由はこの一つ、アンドリューだ。


 「あのビーンですら気が付かなかったと言うのに、私に気がつくとは・・・やはり只者では無いな、ミカミ レイ」


 塔の裏からアンドリューはゆっくりと出てきた。黒っぽい衣装に身を包み、かつての優しそうな初老の男性の面影は無い。


 「そのセリフは僕の方でしょ。ビーンさんやフォックスに気づかれず僕にのみ殺気を見せるなんて。あなた本当は何者なんです?」


 「アダムス王国、対暗殺者用暗殺部隊。普通に暗殺部隊とも呼ばれている。私はその一員だった、暗号名『死神』それが私の本当の姿だ」


 死神・・・凄い名前を付けられていたもんだ。そんな人が区長をやっていたなんて、怖いね・・・


 「で、僕に何の用です?僕を、そしてグレイシアを暗殺しに来たのならば・・・」


 「まぁ待ちたまえ、ミカミ。この私の殺気に気が付いた時点でもうお前を暗殺する気は無い。私はお前の行動を見させてもらっていただけだ。本当に暗殺出来るほどの腕があるのか、予言の勇者なのかをな」


 「へー、で評価は?」


 「腹が立つほどに合格だ、あの闘技場。お前はあそこで旅をやめる事になると踏んでいた。あの村を本当に変えたいのであれば一人の実力では限界がある。お前がもしゼロを倒しても、変わってしまったこのエイドを元の姿に変える事は出来ない。それを教えるつもりだったんだがな・・・お前はその全てを覆してしまった。お前は百点の問題を二百点どころか採点不可能にして出してきた」


 「それはどうも、なら帰ってくれませんか?僕は明日早いんです」


 「残念ながらそれは出来んな。前に言ったと思うが私は私の正義を貫くと。お前がこれほどの点数を出しても尚、私はお前を評価出来ない。この目で確かめるまではな・・・ミカミ、一つ質問だ。お前に人間は殺せるか?」


 「それはどう言う意味ですか?」


 「その質問には答えない、私の質問に答えろ」


 「僕たちの平和を脅かすのなら、僕は」


 「それがかつての友でもか?愛した人物であったとしてもお前は同じ事を言えるのか?」


 「っ・・・」


 「ふん、実力は申し分無い、だが覚悟はまだ点数ナシだ、お前たち風に言うならゼロ点と言う所だな。今のお前にあの男は殺せん」


 アンドリューは手に大鎌を持ち前に突き出した。


 「僕は大切な人がクソ下らない理由で敵対する世界なんて望みませんよ。僕がもし大切な人と戦うなんて事になったら僕は、その原因を変えてやる」


 「口ならばどうとでも言えるぞ。今お前の目の前にはお前の人生を狂わせた張本人がいるのだ。ミカミ、お前がゼロを本気で暗殺する気ならば私を殺してから進め、それが出来ないならば私はお前を絶対に認める事は出来ん。ここで全員を殺す」


 「やれやれ・・・話し合いで解決は出来ないんですか?」


 「出来ないからお前はゼロに挑むのだろう?私は私の正義を貫く、お前がこの私を殺さない限り私はどんな手を使ってでもお前をここで食い止めよう」


 アンドリューは大鎌をゆっくりと構える。


 「なら・・・僕こそ見せてあげるよ、僕の覚悟を」


 僕は剣を抜き、正面へと構えた。

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