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リメイク第一章 異世界のコロシアム その3

 『さて、二回戦目の相手は・・・』


 害獣10体程だ、これくらいならすぐに片付いた。命までは取ってない。後で殺されるのかもしれないけど、今の僕にはどうする事も出来ない。とりあえず気絶だけだ。


 そして準決勝も勝ち進み、無事決勝戦まで来た。


 『さぁ今大会もいよいよ大詰め、決勝戦の舞台がやって参りました。だが、今回の決勝戦いつものとは違います。勝ち進んで来た猛者達は、両者共にアダムスからの来訪者、一人は犯罪者ブロックから、一人は有志組から凄まじい勢いを我々に見せてくれました。


 そこで、今大会の決勝戦はエキシビションマッチを並行して行います!!そう!我らが英雄とアダムスの騎士!どちらが強いのか!』


 『わぁぁぁっ!!』


 何となくそんな気がしてたよ、この狂宴どんどん拍車がかかってる。ここの人の目にはまるで映画か何かにしか見えてないんだ。


 『そして更に!先日遂に捕らえる事に成功したのがこの一体、狼犬型 第四段階のバケモノだっ!!』


 そして遂に繰り出された。かなり大きい、ビーンさんの話だと確かバケモノは殺せば殺す程強く大きくなるってRPGみたいな事を聞いた。そしてこの大きさは今の話を聞くと第四段階らしい、普通のバケモノでここまで大きいのは相手にした事が無いから、多分相当強い・・・


 『さぁ!選手入場です!!ルールを説明しよう!優勝者はこの中の一人のみ!!そう!つまりバトルロイヤルだ!!この中の一人に優勝の栄誉が与えられる!!さぁ生き残るのは誰か!!


 まず一人目の入場はミカミ レイ!!アダムス王国から来た新星!今大会ではこれまでに類を見ない魔法と剣術を組み合わせた戦い方で相手を瞬殺して来た!!それがこの決勝戦でどうなるか!!


 そして二人目はアダムスの騎士!!この地にまで常に噂の飛びかう伝説!!ビーン・ムゥ!!彼の噂は皆も知り、そして実力は見ての通りだ!!


 最後に、この我らが英雄アシュリー。女性の身でありながら常に無敗、彼女の槍捌きはアダムスの槍術に勝てるのか!!さぁ!!三人と一体の生き残りを懸けたサバイバルの始まりだ!!決勝戦!!開始!!』


 始まると同時に僕は物陰に隠れた、試合会場は僕の魔法やらそれまでの戦いであちこち地面がめくれて良い遮蔽物になってる。


 「よ!レイ!!さっきぶり!!元気してたか!?」


 「何とかね」


 ビーンさんも同じように隠れた、元気そうでなにより。


 「にしても、バケモノは良いけど俺あいつとお前も殺せって?冗談キツすぎだろ」


 「バケモノは殺しますよ。けど、こんなふざけた事で僕はあなたもアシュリーさんも殺しませんし、殺させません」


 「お、やっぱりな。もう策は練ったのか?」


 「まぁね。僕は多分大丈夫ですけど、問題はビーンさんだ」


 「あん?」


 「ビーンさん、演劇って経験あります?」




 「・・・・・成る程な、あんたこそちゃんと演技しろよ?」


 さて、こちらも行動開始だ。僕は剣と銃、両方を抜き剣をビーンさんに突きつけ、銃をアシュリーさんに向けた。


 「レイてめっ!?何しやがる!!」


 「僕は死にたくないんだ。すみませんけどビーンさん、死んでくれますか?」


 『おおっとここで仲間割れだ!!』


 「この、バカチンが・・・お前の命を救った恩を忘れやがって!!もー良い!!レイ、死にやがれ!!」


 ビーンさんは僕に向かってくる、僕はかわした。


 「良いぞぉ!!」

 「やっちまえー!!」


 仲間割れのこの攻撃が来るたび、歓声が巻き起こる。


 「くっ!!せやあっ!!」


 そして鍔迫り合いになった。僕の反撃に更なる歓声が起こった。


 「おい、良いのか?後ろ迫って来ているぞ?」


 「っ!!」

 「ちっ!!」


 そこにバケモノは襲いかかって来た。大きな牙で僕たちを噛みちぎろうとしてくる。怖いなぁ・・・


 「ミカミ、正直お前には失望したぞ。中々見どころのある奴だと思っていたのに、いざ自身の身の危険を感じればこのザマか」


 「五月蝿い!!ならどうすれば良いんだよ!!くそ!こんな筈じゃ無かったのに!!もううんざりだ!!!僕はこんなところからさっさと逃げてやる!世界なんてもう知らない!!」


 僕は銃を放った。


 『おおっとミカミ選手、不満爆発か!?』


 「僕は何としてでも生きてやる、ビーンさん。アシュリーさん!覚悟して下さい!」


 「ちっ、この腑抜けが!!」


 「ちょちょちょ!?何してるのさね!?」


 遠くからフォックスが困惑して僕たちを見ている。でも、僕は止まらずに二人に攻撃を続けた。そしてビーンさんとアシュリーさんから反撃が返ってくる。


 「くっ!!うおおおっ!!」


 「ぐっ!!隙ありだ!!くらいやがれ!!」


 ビーンさんは僕に向かって槍を投げた。だが、


 「な、何っ!?」


 「そのセリフはこっちのものだよ!!」


 「しまっ!!」


 僕はビーンさんの槍を掴み、逆にそれを使ってビーンさんを貫いた。


 『こ、これは!!ビーン・ムゥ!!何と言う事だ!ミカミ選手に貫かれた!!』


 「こ、こんな・・・馬鹿な・・・」


 ばたん、ビーンさんは倒れた。さて、次は・・・


 「どうやら、お前は相当堕ちたらしいな。人間の矜持を忘れたか!!」


 アシュリーさんは僕に叫んだ。


 「あぁ、忘れたよ!!ここの人たちみたいにね!!あなたもその一人だアシュリー!!お前が!お前たちが僕にこんな事をさせたから!!僕はビーンさんを殺す羽目になったんだ!!

 全員殺してやる!!お前たち全員!!僕が殺す!!ゼロがここを知らないのなら!僕が代わりにやってやる!!」


 『カダッ!!!』


 その時別の場所で慌てた音が聞こえた、ハミルの方だ。ハミルは凄い勢いで立ち上がったんだ、僕に怯えてね。


 『ミカミ・・・お前は、まさか?』


 「何を驚いてるの?君はもう知ってたんじゃないの?僕がいつかはこうなるってさ・・・言ったよね、僕を怒らせたらどうなるのか、今から見せてあげるよ!この決勝戦は!お前たち全員参加のバトルロイヤルになるからさ!!」


 『っ!!!アシュリー!!そいつを殺せ!!直ぐに殺せ!!』


 アシュリーは無言で僕に槍を向けた。


 『・・・ミカミ選手の叫びで、会場は一気に静まり返りましたが、アシュリー選手は動じていません。我々はとんでもない存在をここに招き入れてしまったのかもしれない』


 「殺せ、そいつは殺せ!!」 

 「アシュリー!!頼んだぞ!!」


 しばらく静かだったこの会場には僕に対する「殺せ」と言う声で満ち溢れた。


 「全員、お前を恐れているな」


 「ふん、勝手な奴らだよほんと。いざ自分の身が危なくなったらこのザマだ」


 「確かにな・・・お前の言う通りだ。だから、終わらせるぞ?」

 

 「そうだね」


 『ふんっ!!!』


 僕とアシュリーさんは同時に武器を振った。そして、バケモノを一撃で仕留めた。邪魔なんだよ、お前はここで眠れ。


 そしてその攻撃の直後、僕とアシュリーさんの攻撃がぶつかる。


 『おおっと!ミカミ、アシュリー両選手!同時攻撃にてバケモノを一撃で倒してしまった!!そして、こんなのは見た事がありません!!』


 互いに攻めて攻めらる、一歩も引かずに次々と攻撃を放った。


 「中々腕が良いな!」


 「それはどうも!!」


 「だが!経験不足だ!!」


 「っ!?」


 けど、僕の攻撃は次第に弾かれ始めた。


 『これは!アシュリー選手!優勢だ!!このまま勝てるのか!?』


 会場は次第にアシュリーコールに包まれた。


 「くそっ!!僕は!!こんな筈じゃ!!」


 「残念、これで終わりだ!!」


 そして僕の剣は弾かれ、アシュリーさんの槍に僕は貫かれ、倒れた。


 ・・・・・


 『これは、生き残ったのはアシュリー選手だ!!アダムスの両者を抑え!我らが無敗の英雄!またしても優勝だ!!』


 歓声がアシュリーさんを包んでいる。そして急いでハミルは会場に降りて来た。


 「そいつは、死んだのか?」


 「あぁ、確実に心臓を貫いた。見てみるか?」


 アシュリーさんは僕を転がし、突き刺さった槍を引き抜いた。


 「ふ、ふふふっ!!ばーか!!ぼくに舐めた態度をとるからだ!!アシュリーはお前の思うほど弱くないんだよー!!」


 「ふん、よく言うよハミル、オレに今大会で引退しろと迫った割には」


 「それはそれ!これはこれ!当初の予定通りにはならなかったけどま、あいつからは殺せるなら殺せって言われてたしまぁ良いや。おいスタッフ、こいつらを片付けろ。ぼくはサプライズ付きの表彰式をこれからやるからさ」


 「サプライズ?」


 「この程度で君の引退の先延ばしはさせないよーだ。君の引退は決定事項、そしてこの表彰式は結婚式になるのさ!!」


 「な、結婚だと!?」


 「どうだ?嬉しいだろ?」


 「それは・・・」


 「それはさぞ楽しいだろうね。でも」

 「葬式の方がもっと面白ぇんじゃねーか?」


 「え?」


 既に僕とビーンさんはハミルの喉元に剣と槍を突きつけていた。

 

 「確かにな。ハミル、お前の葬儀の方がオレはもっと面白いと思うぞ?」


 そしてアシュリーさんもハミルに槍を突きつけた。


 『こ、これは・・・死んでいません!ビーン選手もミカミ選手も無傷だ!?何なんだこれは!?』


 この実況の人、プロ意識高いな・・・でもこの実況で会場は一気に大混乱に陥った。


 「な!?おいどうなってる!!非常口が!!開かない!!」

 「駄目!こっちもだ!!凍ってる!!凍って扉が開かない!!」


 そして閉じ込められたこの状況に大パニックだ。


 「すぅ・・・・・動くなぁっ!!!!!!!」


 僕が叫んだ瞬間、ここの全員ピタっと動きを止めた。


 「全員動いちゃ駄目だよ?誰一人、子供一人たりともね・・・さて、ハミルさん。少しお話ししようか」


 僕はハミルの前にしゃがみ込んだ。


 「ど、どうなって・・・何でお前は!?それにアシュリー!こいつはここの奴らを皆殺しにする気なんだぞ!?何でこのぼくにそれを向けるんだ?」


 「この村は狂ってる、終わってるのはオレたちの方だ。オレはこいつらなら本当にあの男を倒せると思っている、それだけだ。


 お前は思って無かっただろ?そしてお前の世界は永遠に続くと。ハミル、あの男がいない世界と言うのを想像した事があるか?二十年前のあの日常が戻ってくると想像したか?オレはしたんだ。そしてもしそうなったらこの村はどうなる?ここの皆んなは秩序と言う敵に今度は追われる事になる。それがどう言う意味なのか、その足りない頭で考えたらどうだ?」


 アシュリーさんはハミルに冷たく言い放った。


 「やだ、ぼくはこの村の支配者だ。誰にもぼくの邪魔はさせない!!このぼくは!!」


 僕とビーンさんとアシュリーさんは、ハミルがこれ以上何か言う前に同時に顔面を思い切り殴り飛ばした、前歯が数本飛んで来た。


 『これは、我らが主ハミル。三人の同時攻撃でノックアウト決まったぁ・・・』


 「そろそろ、全員目を覚ましたらどう?僕がさっき、君たちを皆殺しにするって言った瞬間。君たちは考えたでしょ?自分が、家族が、友人が、ビーンさんや僕みたいに殺されてしまうってさ。


 犯罪者?有志組?そんなの関係ないよ。この世界で生きる以上ここにいる全員、何かに殺される可能性は常にある。自分は関係ないとかそう思ってるのなら、君たちは生きる資格なんて無い、いずれ僕以外の何かに殺される。


 生き物の矜持を取り戻せ、人間の誇りを取り戻せ!お前たちは何者だ!?人間か!?それ以外か!?自分の意志を持って考えろ!一人一人が!何の為に生きているのか!!そうすれば!この現状に意味なんて見出せない筈だ!!自分達の見て来たこれまでの娯楽は!!最低最悪の罪だって分かるはずだ!!」


 僕に今言えるのはこの程度だ。後はここの人たちが考えるしか無い・・・こんな無法地帯の村は、あとどれくらいあるんだろう。人間である事を止めた人たちは、この20年でどれだけ・・・


 でも、僕は知ってる。この世界になったからこそ人間の誇りをより強く持った人もいるって事を。僕は信じよう、今はただバランスが崩れてるだけだ。この狂ったバランスは直ぐに治らなくても、必ず取り戻せる。


 僕は倒れたハミルの元に向かった。そして殴った顔面に手を触れた。


 「後は君が、ここの人たちにどんな道を示すかだ。君はわがままで、ごうつくばりだけど、ここの人たちに認められてたのは事実。君はここの希望である事には違いないんだ」


 『こ、これは・・・我が主の怪我が、凄まじい速さで治っていく』


 決勝戦の種明かしをすると要するに僕の回復魔法だ、僕がビーンさんを貫いた直後ビーンさんを治療。そしてアシュリーさんに僕が貫かれた後、僕は僕自身を治した。それだけの話だ。


 だけど、折れた前歯は治せなかった。


 「グレイシア!フォックス!そろそろ行くよー!」

 

 ててててて・・・


 グレイシアが長いコートを引き摺りながら走って来た。因みにここの人たちが外に出られなくなっていたのは、予め僕がグレイシアに頼んで脱出口を氷の魔法で防がせていたからだ。


 「おーう!」


 そしてフォックスも重鎮席から僕の頭に飛んで来た。


 「いやぁ、楽しかったなぁこの演劇!あんちゃんたちいつのまにこんな脚本思いついたのぉ?」


 「あ?フォックス、おまえ気がついてたのか?」


 「うん。最初は驚いたけどビーンのあんちゃんが倒れた時普通に息してるのにみんな死んだ風に言ってたからさ。これって観客一体型の演劇なんだよねぇ?面白かった〜」


 フォックスはどうやら僕のこの戦いは全部、寸劇に見えてたらしい。


 「そ、そうだね。じゃ、行こうか?」


 「あぁ、そうだな」


 

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