リメイク第一章 異世界の鉱山 その1
「はぁ・・・はぁ・・・」
「おい礼!早くしろよ!」
「だったらビーンさん!どっちか持ってくださいよ!!」
流石にグレイシアおぶってフォックスを頭に乗せた状態じゃキツイよ。
「あー・・・だったら俺が運ぶか?」
「おいらこの頭がいいなぁー」
「むー・・・」
フォックスもそうだけど、グレイシアってもしかして結構わがまま?
「俺動物には好かれるタイプじゃないのは自負してっけどさ、なんだろ・・・泣きたくなってきたぜ」
フォックスは僕の頭に、グレイシアは僕の背中から離れようとしない。
「うんならしゃーない。おいら大人になるさね、あんちゃんの頭で我慢するよ。ほいな、これで良い?」
しかしフォックスがピョンとビーンさんの頭の上に移った。
「あ り がと 」
「どーもー。代わりにさグレイシア、今度レイのあんちゃんの膝座らせてくれよー」
ぐっ。
グレイシアはフォックスに右手の親指を上に向けた。オッケーのサインらしい。やれやれこの2人?意外と息が合うんだな。
「まぁとりあえずなんとかこれならビーンさんにも追いつけますね」
「あぁ、さっさと追うぜ?」
僕たちは更に後を追う。そして坑道は開けた洞窟に辿り着いた。
「ここは偃月鉱山の中だな・・・やっぱり繋がってたか・・・んで、ここは鉄鉱石をよく採ってたんだわ、それを近くにあった加工場で鋼にして武器を作ってたんだよな。今はおそらく」
「はい、姿は見えませんけどあちこち掘削後の穴に人の気配がかなりあります。この緊張感、もてなしてはくれなさそうですね」
「あぁ、どうやらここの連中にとって俺たちから手に入れたガソリンってのは相当な宝らしいな」
この感じ、敵意と言うより僕たちに対する恐怖だ・・・早く諦めて帰れ、そう言ってるようにしか感じない。
「おい!こそこそ隠れてないで出てこいよ!人の物勝手に奪っておいて俺たちを悪人扱いか!?そんなにこのガソリンが必要なら少しばかりはくれてやっても構わねーんだけどよ!これ使って何をする気なんだ!?」
ビーンさんが呼びかける。そしてその呼びかけに応えるように一人の男が出てきた。意外と若い、ビーンさんより多少年上くらいか?
「確かに悪いとは思ってるさ。だが、今のこの世の中、そんな悠長な事は言ってられない。いつバケモノに襲われるのかわからない恐怖の中で生きるにはな。このガソリンが有ればここにある機械を動かせる、それが動けばようやくバケモノに対して有効な武器が完成するんだ。邪魔をするな」
ガソリンの使い道はそれか。
「バケモノをか?そりゃ大層な武器を作ったんだな。でもこちとらそのバケモノの親玉ぶっ潰しに行く最中なのよ、邪魔するなはこっちのセリフ。それに、いくらバケモノを倒しても親を倒さなきゃ無限湧きなのはこんなとこで暮らしてる以上よく分かってんだろ?」
「よく分かってるさ、お前たちはアダムスから来たんだろ?そして目的はあの男の討伐だってのはすぐわかる。お前は昔見たことあるからな。ただ、なぜ子供や動物を連れているのかは理解できないが。あいつを倒すことは不可能だ、奴は不死身。どうする事も出来ん、だが、ここに現れるバケモノなら、倒せる」
「・・・ねえ、一つ質問良いですか?」
僕は少し気になる事が出来た。
「何だ?」
「バケモノが無限湧きするのを分かってるのに、あえてバケモノを倒す武器を作るって事は、もしかしてバケモノの行動には何か法則性があるんですか?例えばとある条件の場所にしか現れないとか」
「ガキ、中々鋭いな。アダムスの連中は知らないだろうがバケモノの行動にはある法則がある。一つはあらゆる生命に対して攻撃をする事だ。それはビーン、お前も知ってるだろ?もう一つはバケモノはある一定の場所に留まろうとする事だ。奴のテリトリーに入ればバケモノは襲いかかってくる、まるで俺の国に入るなと言わんばかりにな。
そのテリトリーは洞窟の入り口や何かの窪み、そう言った所に居場所を作る。そしてテリトリーごと奴を倒したら、バケモノはその場所に近づかなくなる」
成る程ね・・・
「分かりました、だからあそこに通路があった訳だ。あなたはその例の武器を使って一度バケモノを倒し、あの場所への道を作った。そして今度は別の場所にいるバケモノを倒して、更なる道を切り開きたいと。そう言う事なんですね?」
「今の回りくどい説明でよく分かったなレイ・・・」
「僕のお父さんと言い、おっさんって何かと回りくどい言い方する気がしますから。要するに何が言いたいのかたまに分からない時があるからね・・・」
「あー、細かいとこまで語りたがるからな。俺も似たとこあるかも・・・」
「で、目的を理解したなら文句言うな。余ったら返してやる」
「いや、余ったらってあんた。そのガソリンそんなに使われたら向こうまで行けねーんだよ」
「歩け」
「はぁ、だったら僕たちで倒しましょう。それなら文句ありませんよね?」
これじゃ埒が開かない。くだらない論争こそ無意味な物は無い。
「かもしれねーけどさ、国王にも言われたろ?もしかしたらバケモノはゼロに通じてるかもしれねーってさ」
なんだ、ビーンさんが何でそれを言わないかと思ったらそれを気にしてたのか。
「今の話聞いて思ったんです、親は確かにゼロに通じてるかもしれません。ただ普通の特にこんな離れたとこにいるバケモノは、もしかしたらゼロの支配の外にいるんじゃ無いかなって。ここのバケモノに法則性があるってことは、ただ生命として動いてるだけの可能性が高い」
「なーる、それなら心置きなくやれるか。でも、やるならバレずに速攻倒す方向で行くぜ?おいあんた、それなら文句無いだろ?」
「貴様らにあいつらが倒せるのか?これまでにどれだけの奴らがあのバケモノに殺されたか」
「こう見えて、俺は国境警備隊。バケモノ相手は慣れてる。こんな僻地のバケモノなら尚更な。それにこいつらもこんな見てくれだが、腕は確かだ。条件は悪くねーだろ?あんたらはバケモノを倒されるのを待ってれば良い。終わればそのガソリンは返せ。それで今回の件はチャラ。どうだ?」
もう少しねだっても良い気もする。そもそもこの人がガソリンを奪わなきゃこんな事になってないんだし・・・まぁ良いか。それもこれもゼロのせいって事にしとこ。あいつがこの世界をめちゃくちゃにしたから正義感の在り方もめちゃくちゃになったんだ。
「・・・良いだろう、死んだらお前達の荷物全て貰うからな?」
「死ぬような事があったらな?」
「了解だ、案内する。ついて来い」
僕たちはこの男について行った。そして洞窟の中の生活が垣間見える。ここの人たちほとんどみんな肌が真っ白だ、この20年、ろくに太陽を浴びた事が無いんだ。そして食べ物もろくなものを食べれてない。魚の骨は見当たるけどそれはここでは相当なご馳走なのかも。ほとんどがキノコや雑草で飢えをしのいでるって感じ。
成る程、こんな生活してれば正義感なんて無くなるな。
「この奥、本来であればこの先がこの鉱山の鉄鉱石を運び出すトロッコの線路があった。しかし、その入り口をバケモノが塞いでしまっている。これより一歩先に立ち入れば即座に奴は襲いかかる。俺はここで見ている。お前たちの実力見させてもらおう」
「グレイシア」
「フォックス」
僕とビーンさんは同時に喋った。
「この男、見張ってて」
「この男、見張ってろ」
そして同時に指示を出す。流石におぶったままでは戦いにくい。そして、この男をそのままにしておくほど信用出来ない。
ぴしっ
グレイシアはダボダボのコートの上から敬礼っぽい動きをした。
「おいさ!って訳であんちゃん、おいら見てるからなー」
「き、狐が喋った!?」
「おん!?悪いか!?」
あ、そこはそう言う反応なんだね・・・喋る狐はやはりフォックスしかいないのか。
さて、行こうか。




