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リメイク第一章 異世界の森

 「ほーれ、夜明けだー」

 

 「ふぁ・・・」


 朝。どうやら爆睡してたみたい、魔法のせいか・・・準備するか。


 「んじゃ、頼むぜフォックス!」


 「おー!とは言っても今日の道は最初の予定どーりでいーよー!」


 ズコーッ!それってただ荷物が増えただけじゃん。


 さてと・・・行くのはいいけど、このバイクにこんなに乗るの?ビーンさんは運転席、僕はサイドカー。グレイシアは僕の膝・・・フォックスの乗る場所は・・・


 僕の頭か!!!


 フォックスはまるで自分の定位置が決まっていたのごとく僕の頭の上にフィットした。確かに風が当たると寒いからあったかくて良いんだけどさ・・・ちと重い。


 「お、意外と収まるもんだな。良かったなレイ、その頭、狐のベッドに最適みたいだぜ?」


 「おぅともさ!この丸みのある後頭部。乗りやすいなぁ・・・」


 「んじゃ、行くか!!」


 バイクはバランス良く発進した。




 バイクは森を颯爽と駆け抜ける。


 「なーなー、グレイシアは何で喋る時詰まるのぉ?」


 「ん?何だフォックス、あんたもグレイシアの声聞き取れるのか?」


 「んお?そりゃそうさね、けどカタコトでほぼ単語しか話さないから何でかなー?と思って、あ、もしかして何か病気だった!?ごめんよぉ!!」


 フォックスはグレイシアにペコペコ頭を下げる。僕の頭の上がモゾモゾする・・・


 「いや、確かに病気に近いけど、少しずつ克服してきてるんだよ・・・実はかれこれこんな事があってね」


 僕の話をフォックスは楽しそうに聴いてた。


 「へぇ〜、凄い人生だねぇ。だとしたらレイのあんちゃんはグレイシアの救世主さね」


 「そんた大それた事はしてないよ。僕は歌を教えただけ、そうだ。道中BGMが無いのもつまらないから、歌でも聴きながら行く?近くに特にバケモノや害獣の気配は無いし・・・」


 「ラ〜ラララ〜・・・」


 ん?何今の・・・


 「なぁレイ・・・今、なんか聞こえたか?」


 僕はスマホから音楽でも流そうかと思ったけど、その前に音楽が聞こえた。まるで何かの讃美歌、けどこのメロディーはあの曲だ。


 「ちょっ!まただ!!レイ!止めるぜ!?」


 ビーンさんは急ブレーキをかけた。


 「今の何なんだよ・・・歌、みたいな。レイ、あんたかなんかやるつったけど・・・」


 「僕じゃ無いです。この歌、僕が教えた歌・・・歌ってるのは・・・」


 『グレイシアァッ!?』


 びくん!?


 僕たちが叫ぶもんだから歌が止まっちゃった。


 「だ    め?」


 「駄目じゃ無いよ!驚いてるんだ!!いつのまにこんなに上手くなったの!?」


 グレイシアの歌、それこそ天性的とはこの事だ。歌姫、それが似合うのはこの子しかいない。


 「歌は歌えるのは知ってたけど・・・なんつー綺麗な声してんだよ。なんなら歌手でもやるか?あの国王に言ったら、すんげープロデュースしてくれるだろうぜ?」


 ぶん!ぶん!!ぶん!ぶん!!


 盛大に首を横に振った。恥ずかしがり屋だもんね・・・


 「ん〜、綺麗な歌だねぇ・・・おいらも歌うのは好きだよ?けどこの歌聞いた事ないなぁ、これレイのあんちゃんの世界の歌?」


 フォックスは興味深そうに僕に聞いてきた。


 「これも古い曲だよ?そうだね、多分フォックスの時代から10年くらい経った時代の曲だね。俗に言う70年代ソングかな?フォックスはどんな曲聴いてたの?」


 素朴な質問、狐ってどんな曲聞くの?


 「うーん、草津節をテキトーに?」


 まさかの草津節、


 「後は〜、三百六十五歩のマーチとかかね?」


 あー、確かに良い歌、元気になれるもんね。


 「おかぁちゃん演歌とかばっかりだったからねぇ。その曲おいらにも教えてくれない?」


 「良いよ、歌い出しはね・・・」


 僕はフォックスにこの歌を教えてあげた。


 「あー!俺も俺も!教えてくれよー、てかなんて言ってんの?」


 ビーンさんも何故か無邪気に聞いてきた。


 「プロデュースとか英語はチラホラあるのに、やっぱりこの世界日本語しか無いんですね・・・」


 そしてビーンさんにも教えた。僕たちは仲良く歌いながら森を駆け抜ける、旅の目的はどうであれ道中楽しくある方が良い。





 そんなこんなで太陽は大分昇ってきた。


 「ここらでちょいと休憩するぜ」


 「はーい」


 僕たちはバイクを降りる、そして身体を伸ばした。ビーンさんは倒木に腰掛ける。


 「次は僕が運転しましょうか?」


 「それもそうだな、でもグレイシア俺の膝乗ってくれるか?フォックスもよ」


 「うーんちょっと待って?ふむふむ、このごわごわした感じ、キューティクルが傷みまくりだね、ビーンのあんちゃんトリートメントしてないね?けど、ちゃんとシャンプーはしてる。毎日しっかり洗い込まれてはいる髪だねぇ、うん、まぁ合格!!」


 フォックスはビーンの頭に乗り採点してる。トリートメントとかシャンプーとかって、500年野生で生きてた狐のそれじゃ無い。


 ちょこん・・・


 グレイシアはなんとなくビーンの膝に乗ってみた。


 ・・・・・・・


 鎧のせいであまり座り心地は良く無いみたい。


 「ちっ    」


 あれ、今舌打ちした?


 その後右の親指をビーンさんに向けてグッドサインを送る。


 「なんとか合格らしいです」


 「そうらしいけど、俺なんか色んな面でお前に負けた気がするぜ・・・」


 ビーンさんは肩を落とした。逆に僕も、僕の扱いって椅子とかクッション?


 まぁそんなことはさておき、今日はいい天気だなー。聞こえる音は遠くの川のせせらぎと、鳥の囀り。風で森が揺れる音、そして金属を叩いてる音、バケモノの音は聞こえない。


 ・・・金属を叩いてる音?


 「ビーンさん、何かバイク弄りました?」


 「何が?国から貰ったバイクだぜ?やる訳ねーだろ?」


 「いや、さっきからカンカンってなんか金属を叩いてるような・・・ビーンさんの方から」


 「うん?」


 ビーンさんが座ってるのは倒木だ。いや待て・・・この倒木おかしい、ここは大分荒れてるとは言え元街道だ。まだしっかりと道がある。


 にも関わらず、この倒木は運んできたかのようにここにある。


 「金属なら近くに鉱山はあるけどよ・・・んしょっと」


 ビーンさんは立ち上がった。僕は倒木をどかしてみた・・・


 「あ・・・」


 「トンネルか?前通った時はこんなのなかった筈だ」


 そこにあったのは小さなトンネルの入り口だ。人一人分くらいの大きさの入り口、その奥からだ。金属音が聞こえるのは・・・


 「よっと・・・あー、確かに。中入って分かった、この音・・・鋼を作ってるのか?て事は、この先・・・人間がいる!」


 ビーンさんはトンネルに顔を突っ込んで耳をすませる。そしてこの先に人間がいると判断した。


 「フォックスが言ってたコロニーを形成してるってこの事か。さっきこの先に鉱山があるって言ってましたよね・・・」


 「あぁ、偃月(えんげつ)鉱山。俺のこの槍、破流血斬(パルチザン)もここで取れた金属を使ってる」


 武器の当て字はまぁ良いとして・・・


 「早いとこ行きましょうか、ここで僕たちにできる事は何もないです」


 なんか嫌な予感がした。今ここは無法地帯、言っては悪いけど人間も脅威の対象になるかもしれないんだ。僕たちの目的はあくまでゼロに到達する事。


 「だな、帰りに立ち寄って全て終わったって伝えにくるか」


 「そうしましょう・・・って、あれ?バイクは?」


 「あれ?そこに停めて・・・」


 バイクが荷物ごと無くなってる。僕はもう一度耳をすませた・・・


 「っ!!ここ!!」


 別の倒木、その下にまた別のトンネルがある。そして人間の二人分の足音。そしてタイヤが転がる音・・・やられた!!


 「くそ!こっちの金属音に気を取られすぎた!!」


 「ったく!!なんつーこった!追いかけるぜ!!」


 急いで行きたい!けど、フォックスとグレイシアはどうしよ!!?


 「・・・・・・」


 ガシ


 ぴょん


 グレイシアは僕の背中に、フォックスは僕の頭に乗った。


 「これで追いかけます!!」


 「お、おぅ・・・行くぜ!?」


 僕たちは走る。あのバイクに流血光刃も置いてあったんだ、バイクもだけどあれも奪われる訳にはいかない。


 「っ 止まれ・・・」


 ビーンさんは静かに合図を送った。トンネルの先、どうやら洞窟に繋がってるみたいだ。


 「いやっはー!まさかバイクに乗った連中を見つけられるなんてな!!ラッキー!!」


 「後は付けられてねぇよな?」


 「大丈夫だろ、あの倒木への擬態は分からねぇって」


 バレバレだけど?違和感ありまくりだ・・・


 「そうだな。で、その荷物は?」

 

 「おうこれか、あいつら多分アダムスの連中だぜ?見てみろよ、これ食いもんらしいな?」


 「レトルト?なんだそりゃ」


 「さぁ、湯に突っ込めば食えるらしい」


 「そんな事の為に湯を使うのか!?あの壁の中の連中、どんな暮らししてんだ?こいつはリーダーに献上するか、後は?」


 「何だこの剣・・・石で出来てら、ってかこれ天石か!?どうやって作ったんだ!?」


 「そいつもリーダーに献上するか」




 「レイ、仕掛けるぞ」


 「はい!」


 僕たちはビーンさんの指示のもと一気に飛び出した。


 「おりゃぁぁー!!」

 「てりゃぁぁー!!」


 「な、なんだぁ!?」


 制圧完了、呆気なかったな。


 「ったくよー、こんなとこに人がいるのも驚きだが、まさか盗むって・・・おら、さっさと返しやがれ。こちとら急いでんだよ」


 ビーンさんは二人から荷物を奪い返した。


 「ほれ、流血光刃。礼、お前にも一言言っとくぜ、武器は常に肌身離さず持っとけ、でないといつか武器に裏切られるぜ?」


 僕もビーンさんに説教された。


 「そうですね、気をつけます。僕がしっかりこれを持ってればここまで追いかける必要なかったですものね、すみません」


 「分かれば良い、とりあえずは取り返した。お前ら、とりあえず今回は見逃すぜ。俺たちは先を急いでるんだ、よっしゃ・・・んじゃ、ってあれ?」

 

 ビーンさんがバイクに跨った瞬間、ビーンさんはバイクをキョロキョロと見回した。


 「エンジンがかからねぇ・・・」


 「え・・・」


 まさか・・・嘘でしょ?


 「おい・・・お前ら、ガソリンは何処やった?てか、予備タンクあったよな・・・なぁ!」


 ビーンさんは男に詰め寄った。


 「ふん!もう遅いね!本当に必要だったのはガソリンだ、それさえ手に入れればこっちのもんだ!殺したかったら殺せ!」


 抜き取られていた、真っ先にこの人たちはガソリンを抜いたんだ。ここにいたのは2人じゃない、3人いたんだ。よく聞くとまだ微かに聞こえる。3人目の人間の足音、洞窟の奥に重たいものを持って動く音が。


 「くそ!!追いかけるぜ!!」


 「はい!でもこの人たちはどうします!?」


 「とりあえず縛っとけ!!」


 「了解!!」


 僕は魔法で植物のツタを伸ばしロープのようにして2人を縛り上げた。


 「おぉ、随分と魔法を細かく扱えるようになったなおい」


 「そうですか?ってそんな感心してる場合じゃない!いきますよ!!」


 「おう!」


 僕たちは更に奥へと進んだ。

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