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リメイク第一章 異世界の修行

 さてと、完全に夜が更けってきた、森の中を照らすのは月明かりだけだ。周囲に聞こえるのは虫の鳴き声、そしてたまに小さな動物の足音くらい、害獣やバケモノどころか熊とかもいなさそうだ。


 ビーンさんと交代するまで後1時間くらいあるな。


 「試しにやってみるか・・・修行ってやつをさ」


 僕は剣を持ち少し離れた場所に向かった。音は聞こえるし、視界にも入ってる。そんな離れてはいない。


 僕は剣を構える。そして剣に風の魔法を纏わせ振り下ろした。


 『ズバガァンッ!!』


 「いっ!?」

 

 かなりうるさい音が出てしまった。けど、起きてはいないか。振り下ろした攻撃は地面を一直線に耕した。


 「でも、やっぱりか・・・この剣、魔法を取り込んで更に威力を増大させてくれる。バケモノに匹敵する魔法を放てるようになると言う訳か。ゼロ相手にならこれほど相性の良い武器はないな」


 僕は剣を手放して手だけで風の魔法を操っても、うん。この剣でやった地面をえぐる程の威力は出ない。


 「ま、こいつはこんなものか・・・問題はもう一つ。これが上手く扱えれれば・・・」


 僕は自分のリュックサックからある物を取り出した。例のサバゲーで昔使ってこの中に放置してたガスガンだ。こんなおもちゃ何の役に立つのかと思ってたけど、もし、僕の予想が当たってるのなら・・・この銃、化ける。


 『カチッ』


 僕はセーフティを解除してスライドを引き、トリガーに指をかける、そして深呼吸してから引いた。


 『バァンッ!!』


 水の弾丸が発射され、的に仕立てた木が凹んだ。予想通りだ。魔法の正体は多分、ガス性の何か。


 あの僕のライターがいい例だ、なんであれが突然火炎放射器みたいになったのか、あのライターは可燃性のガスを注入して使う、僕はそのライターのガスをすっからかんにしてあった筈なんだ。僕はビーンさんに投げられてただ拾った。そして念の為の確認としてライターのボタンを押した。火がつかないのをまず確認する為だったんだ、そしたら火炎放射。


 僕はその事を考えてた、そして行き着いた答えがコレ。あの時僕は焦ってライターを拾った。その時かもしれない、僕とは無意識に炎の魔法がライターのガスタンク内に注入されたんだ。


 それを仮定して今試みた、結果僕の予測は大当たり。水の魔法をこのマガジンに送り込んで、そして引き金を引いたら水の弾丸が出た。


 「僕の戦い方の基本はこれで行こう・・・コレである程度は実験完了かな?  さて、後は剣術の基礎からやろう」


 僕はしばらく素振りしてた。


 「よ、何してるのかと思ったら、素振りか」


 「あれ?もうそんな時間?」


 ビーンさんだ。いつのまにか1時間経ってたみたい。


 「おう、しかも俺十分も余計に寝ちまってたぜ?けどよ、いい太刀筋してんな、剣の心得あんの?」


 「中学の頃、いじめ脱却を目指して精神面鍛えると同時に、女の子みたいだって言われない実力を付けたかったから部活で剣道始めたんですよ。一応高校まで続けて二段は取りましたから」


 「ほぉ段を持ってんのか、あんたの剣をちょいと見てたがその剣裁きはアダムス式剣術のホクシン・イットーリューってのに近ぇな、アダムス王室に伝わる剣術だ」


 北辰一刀流?これもニヒルさんの影響なのだろうか?


 「そんな意識した事は無いですけど、北辰一刀流は現代剣道の基礎とも言われてるらしいですからね。似てるんでしょうか」


 「それは良く分かんねーけどな。どうだレイ、一人で素振りするのもアレだろ。俺と勝負してみるか?」


 いきなりビーンさんは槍を持ち出し僕に勝負を挑んできた。


 「いや、ビーンさんに真正面からやって勝てる訳ないじゃないですか!」


 流石に経験年数が違いすぎるよ。


 「とは言っても、俺と肩を並べるくらいにならねぇとゼロにはたどり着く事すら出来ねーよ?暗殺が失敗した時、万が一あいつと一対一になる可能性もある。逃げるにせよそうしないにせよ、実力が無ければ逃げる前に殺されるぜ?


 「・・・はぁ、わかりました。戦います!」


 僕はビーンさんに剣を向けて構えた。


 「お!いい目だ!!俺をゼロと思ってやりな!さぁ行くぜ!」


 剣道でやってた僕の戦い方は返し技だ。相手の攻撃を捌いて隙を作らせる。顧問にはもっと攻めろとどやされたっけ、確かに練習中はそれもやったけど試合の時はそうも言ってられなくて。


 お陰で実力があるのか無いのか、勝つ時は返し技一つで勝てたし、読みが甘かったら一発で負けることもあった。


 ビーンさん相手にはどこまで通用するか・・・まずは、下段の構えで相手を誘おう。僕は剣を下に下げる。


 「ここっ!」

 「はぁっ!!」


 ビーンさんの上段からの一撃目は捌いた。けど、重い・・・捌ききれない!!やっぱり返し技はこの人に通用しないか!なら!


 「っ!!」

 「おっと、甘いぜ?」


 弾いて胴を攻撃したけど簡単に防がれた。完全に遊ばれてるな、僕の攻撃も反撃もやることなす事読まれてる。


 「剣がブレてるぞー、手元を絞れ、剣に振り回されるなー」


 これはもう試合と言うより完全に稽古だ。にしても、この人ほんと隙が無いんだから、こうやって対峙して初めて分かったよ、漫画とかで言う隙が見えないの意味が。


 「太刀筋は悪くねぇが、ま、流石に素人ではある。ゼロに攻撃を与えるなら基本的な動作に何かしら虚をつく技を使わないとな。例えば、俺の通り名の雷鳴の一撃ってあるだろ?アレは一つの技でもあんのよ。ほれ」


 「ナイフ?」


 ビーンさんが取り出したのはナイフ三本。


 「それで何を?」


 「レイ、とりあえずこいつをお前に向かって投げる。あんたはそれを弾け」


 「あ、はい」


 ヒュン!軽やかに投げられたナイフを僕は弾いた。


 「次二本行くぜ!」


 キンッ!カキンッ!この程度なら見切れる・・・一体何を、っ!?その直後、ビーンさんの槍まで飛んできた。


 「あ、危ないじゃ無いですか!!」


 「あー悪いな、それだけ弾けたんだ。大丈夫だったろ、で、こっからが俺の真骨頂よ・・・雷鳴の一撃、くらいな!」


 『バリバリバリバリッッッ!!』


 「ぬっ!!あ!」


 稲妻がこの森全体に一気に走ったみたいだ。避けるも何も出来ない・・・こんな魔法の使い方が・・・


 「大分威力は落としたが、コレが俺の持つ技の一つだ。弾いたナイフと俺の槍を避雷針にして電撃を放った。フルパワーのこいつは十体以上のバケモノを一撃で消し炭にした。要するにだ、決定打になる技を持て、お前は剣術という点では基礎は出来てる。後はそこから相手を確実に倒す技に発展させろ」


 技か・・・確かに、これから僕がやるのは戦いだ。武道では無い、勝つためには多少の卑怯も構わない。そして、何より僕がやろうとしてるのは暗殺だ。確実に殺せる方法を・・・


 「・・・ふっ」


 「ぬっ!!?」


 『ズバカァンッ!!』


 僕は何も言わずにガスガンを撃った、風の弾だ。


 「っ!!風がパンチみたいだ!!」


 「後ろ」


 僕は風の攻撃を受けてる最中にビーンさんの背後にまわり込んだ。そして今度は炎を纏った剣を振るう。僕は多分、炎が一番扱いやすい。


 「このっ!!」


 『ダァンッ!!!』


 「消え・・・上か!!」


 流石だ、この炎の攻撃は目眩しにもなる。その隙に銃からまた風の魔法を今度は地面に向けて撃って身体を上に飛ばした。そして、落下エネルギーをそのまま攻撃に変える。けど、これも見抜かれた。


 『ガギギギィィィッ!!』


 剣と槍はぶつかり合い火花が散る。そして今度は互いに武器に魔法を纏った。


 「はぁぁっ!!」

 「こんの!!」


 「ははっ!!」


 この応酬は僕が押し戻された。けど、着地のタイミングで僕はもう一度銃の引き金を引く。風をクッションとバネに変え、最低限の切り返し速度でもう一度ビーンさんに飛んでいく。


 「この!さっきと動きがまるで違うぜ!?」


 「変えましたから!!」


 そして僕とビーンさんは互いに剣と槍を首元に突きつけて止まった。


 「レイお前、結構末恐ろしいとこあんな・・・俺の首に剣をつけ付けたのはスチュワート隊長以外にいねぇんだぜ?」


 「僕も、結構卑怯に、相手の予測を全て超えるように攻撃したのに全部返された。もっと修行が必要みたいです」


 「普通のやつなら反応出来ねーよ。なんとなくあの時アンドリューの暗殺者共に勝てた理由が見えたぜ。もしかしたらレイ、あんたは天性的な剣士なのかもな」


 「え」


 突然褒められた、顔が急に熱くなる。


 「ほら、ワンコと戦った時だ、風で背後から鉄パイプを拾って、注意を背後に向かわせた瞬間に真正面から電撃だ、こんな卑怯な戦い方を感覚でやるんだぜ?天性的と言わざるを得ないだろ?剣士と言うより策士に近い気もするけど」


 「それって褒めてます?」


 「当たり前だ、特に生死をかけた戦いをする時に勝てる奴は卑怯な奴だ。お前は相手を欺く能力を持ってる、誇って良いぜ」


 複雑だなぁ・・・


 「でもその僕を褒めてくれたあなたでも、ゼロには負けたんですよね・・・」


 ゼロにはどう攻めれば勝てるか。僕は考えた、あれ?今失礼な事言った?


 「負けてねーし、お前ちょくちょく失礼だな。ま、でも退くハメになったのは確かだ。あん時は大規模な作戦を展開させててな、バケモノを引きつける揺動部隊とあいつを直接叩く突撃部隊、俺は突撃部隊で真っ直ぐ奴のいる調印式会場に向かったのよ。あいつは、椅子の上にふんぞり返って立つこともなく俺たちの仲間を次々に滅ぼしていった。そして、揺動部隊も全滅・・・作戦は中止、俺たちは泣く泣く敗退させられた訳だ。ま、俺はあいつと真正面とやり合ってもそこそこ戦えてたんだ。もし失敗したら守ってやるから安心しな?」


 「もし失敗したらか、その話はやめましょう。僕は必ず成功させます。僕がこのタイミングでやらなきゃダメなんだよきっと」


 「かもな。俺さ、なんとなくだけどあんたなら完璧にやり遂げる気がしてならないのよ。あんたは今までと何かが違う。何が違うかは分からねーけどとにかく違うんだ。この状況も、このメンツも、あらゆる事が今までと違ってる。だから今までとは違う結果があると俺は信じてるぜ」


 「わかりました、あと2日くらいで着くでしょくけど、それまでに僕の技を完成させておきます」


 「楽しみにしてるぜ、技の中でも必殺技はここぞと言う時に取っておけ。そしてあらゆる技でここぞと言う場面で使え、さてと、修行は今日はここら辺にしてお前はさっさと寝な。俺はもう十分に寝たから夜明けまで寝てろ」


 「なら、お言葉に甘えさせてもらいます・・・魔法って使うとすごい疲れるんですね」


 「慣れねーとまる二日寝込む奴もいるからな。疲れずに使う方法は慣れろとしか言えねー。その点も復習して明日に臨めよ?」


 「はい」


 僕は眠りについた。

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