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リメイク第一章 異世界の冒険

 『ジリリリリリィンッ!!ジリリリリリィンッ!!』


 とある部屋に鳴り響く黒電話の音、一人の男が受話器を取った。


 「私だ」


 『今日の昼、彼らが旅立つのを見た。何があった?』


 「彼は自分の意思で旅立つ決意をした。あの真っ直ぐ前を見るあの目は勇気を持って悪に立ち向かう、まさに勇者の姿だったよ」


 『勇者か、何故突然彼は意志を変え、ゼロを倒す等と言い出した?彼は自分の平和を守りたいと言っていた筈だ』


 「あぁ、私も気になっていた。彼は自分の平和を脅かすのが彼だから倒すのだと、そしてそれはみんなの笑顔の為にと彼は笑いながら言っていた、あの戦いで彼は何かが変わったのかもね、かつてのゼロの様に・・・それより、あのバケモノは君が仕向けたのか?」


 『馬鹿を言わないでください、それが出来たなら私はゼロの協力者だ。あれはゼロがたまたまこのタイミングで襲いかかって来たのだよ』


 「やはりか・・・当初の予定はあのホテルで彼を倒すか、最低でも彼がこの国を去る理由を作ろうと思っていたが、まさかゼロがこのベストなタイミングで動くとは思わなかったよ。全て予言の言う通りに事が進んでいる、奇妙過ぎる程正確にね」


 『予言、だとしたら彼は本当にゼロを倒すと言うのか?私には到底無理だとしか思えない。しかし、もし彼が本当にゼロを倒したのなら、予言の続き、あらゆる魔法で 世界を 救う 勇者 そして 全てを始める者。その先にある一言、「終わりを」もし、予言が全て正しいのなら彼は・・・』


 「そう、この世界を終わらせる存在になる。だから私も困惑してるんだ、彼は本当に心の底から優しい人間なんだよ。しかし、そうであったアマナ君も・・・だから私は彼に行かせる事にした。そしてもし、彼が帰ってくるなら私は常に彼の側に居ようと思う。彼と友好関係を結び、互いに親友同士になれるくらいにね」


 『そうですか。本当、あの予言は一体何なのだろうな、彼が現れる一週間前に突然発見され、そして今回の親、全てあの予言の通りに事が進んでいる・・・』


 「あぁ、ここに来ていきなり時代が動き出した。今は成り行きを見守ろう」


 『いえ、私も行きますよ。いくらビーンが付いているとはいえやはりこの作戦は無謀過ぎる。突然の急襲に対応できないのであれば、彼はやはりそこまでの存在と言う事。ゼロを倒すなど以ての外だ。それに、変にゼロを刺激するのも危険だ』


 「分かった。死神の力、また借りる事にしよう」


 『その呼び方はやめて下さい、古い肩書きだ。しかし、任務は果たそう。それでは、アレックス陛下』


 「あぁ、頼んだよアンドリュー」





 「全ては、平和の為に・・・」






 異世界の英雄編


 「レイ!バケモノの音は聞こえるか!?」


 「南西付近に数体の音が聞こえますが、このまま真っ直ぐ進んで良いと思います!!」


 「おう!!」


 僕は地図と睨めっこしながら耳をすませた。そしてバケモノの音がしない方向に向かう。


 外に出て分かった事、バケモノは独特の足音をする。動物とはまた違った重苦しく、爪を常に立てるような変な音がするんだ。そして身を潜めるようなゴソゴソと言う音も混じる、バケモノは眠る事なく常に何か動いてるんだ。


 バイクは森へと入る、大分日が落ちてきた。日が暮れてから森を彷徨くのは良くないな・・・


 「あ、近くに川があるみたい!ビーンさん!今日はここら辺で野宿しましょう!」


 「だな、そこに止めるとするか」


 僕たちは川沿いにバイクを停めた。そしてバイクを降りる、座り心地は悪くないけど、膝に常にグレイシアを乗せてたからね、流石にちょっと疲れた。


 「うん〜っ!!と!!」


 僕は背筋を伸ばした。


 「よっし、とりあえず火を起こすか。レイ、薪を拾ってきてくれるか?俺は食材の準備してっから」

 

 「はーい、グレイシアも一緒に薪拾いする?」


 こくり。


 「ありがと、薪だけど・・・あ、ほら。こう言う乾いた感じの枝を集めてくれる?けど、僕からあまり離れないでね?」


 こくこく、グレイシアは木の枝を拾い始めた。


 集まるのはすぐに集まった、一晩分の木の枝だ、そんなに大量にいらない。けどここで重要な問題が発生した。


 「おー、レイ・・・この荷台の荷物の中、火種がねぇ・・・」


 「あ、本当だ・・・って、ビーンさん魔法あるじゃないですか」


 「俺の魔法は戦闘特化なの!ほら見ろ」


 『パチィンッ!!』


 ビーンさんが薪にスパークさせたら薪が飛んでいった。


 「あらら、なら僕の炎の魔法なら・・・」


 『バァンッ!!』


 「あれ?」

 

 魔法って意外と調整が難しい!!指先から炎を出そうとしたら爆発した。

 

 「ほらな?地道に石を叩いてやるか・・・俺あんまりこう言うの苦手なんだよなー」


 ビーンさんは尖った火打ち石になる物をさがしている。うーん、火種・・・あ、


 「ビーンさん!ちょっと僕のリュックサック取ってくれます?その中に確かライターが」


 僕のリュックサック、確かライター入れてたよね?ガス式のターボライター。


 「うーん、これか?」


 そっちはボンベ・・・


 「それじゃなくて、小さい長細いやつです。あ、それです」


 「あ、これか。ほらよ」


 ビーンさんはポイッと僕に投げた。


 「ちょっ!!危ないから投げないで下さいよ!!おっと!!」


 なんとかキャッチ、これでつければ良いや。


 カチッ


 『しゅぼごおおおおおおおおおおぉぉぉっっ!!』


 「ぎゃー!!」


 何故かライターは火炎放射器の様に炎が噴射され、薪は一気に燃え盛った。


 「な、何が起きた?それってそんな火力あんの?」

 

 「い、いや・・・いくらなんでもこんな火力は出ないよ。びっくりしたぁ・・・どうなってんの?あれ、今度は普通についた・・・」


 普通にシュボーって音を立てて小さな炎が出てる。うん、こんなもんだよな?


 「それが普通なのか、マッチくらいか?にしても何だったんだ?」


 さぁ・・・投げられて落としそうになったけど、ライターの底を掴んでなんとかキャッチした。特に変なことしてないよな?


 「ま、それはさておきだ、これが食料だ。米あるけど、俺炊き方知らねぇんだよな?どしよ?」


 ふっ、ここは僕の出番かな?伊達にひとりキャンプやってないよ?まぁ、これまでに1〜2回程度しかやってないけど、荷物にメスティンがあるから行ける!


 「それなら僕に任せて下さい」


 「おー!米炊けるのか!頼むぜおかーさん!!」


 「誰がお母さんですか!」


 さてと・・・後の食材は。


 「あ、レトルトカレーだ。ご飯があるならこれにしましょうか」


 「おー、これ確か最近発売されたお湯に突っ込むだけで出来るって言う!じゃ水汲んで来るわ」


 レトルト技術もまだあんまし乏しくないのね。ビーンさんは川に水汲みに行った。


 ツンツン・・・


 「ん?」


 グレイシアは僕を引っ張った。


 「て   か  み」


 グレイシアの手元には紙が握られてた。手紙だ、誰から?


 あ、これ・・・この食材用意したの、スチュワートさんなのか。


 『おぅ、勇者のあんさん方。中央での活躍は聞いたぜ、親を倒したんだってな。それでなんであんさんがいきなりゼロを倒しに行くのかは聞かねぇよ。で、駅前にスーパーマーケットってのが出来てな、そこで一週間分の食糧を入れといたぜ。遠慮せず食べな  スチュワートより


 追伸 気をつけろよ・・・・・・・・』


 ん?追伸の先、うっすらとなんか書いてある・・・あぁ、なるほど。大丈夫です、薄々気がついてましたから。


 「え゛っ!?これスチュワート隊長が用意してたの!?やっば、帰ったら食事代請求されるかも・・・」


 ビーンさんの悩みはそこ?ビーンさんは水を汲んできて僕の読んでいた手紙を覗き込んだ。


 「そこまでひどい人じゃないと思いますよ?あ、お湯も沸いてきたしそろそろ入れましょう。もうすぐご飯も炊けます」


 「あいよー」


 さてと、これで完成・・・よし!綺麗に炊けたぞ!!後はこれにカレーをかけてはい完成!


 「おー!うまそー!昨日とかなんかやたら豪華だったもんな。俺はやっぱりこう言う野戦食みたいのが好きだぜ!モグモグ・・・うんめ!こりゃお袋の味だ!!レイやっぱりおめぇおかーさんだな!!」


 ビーンさんは楽しそうに食べてる。けど、


 「ビーンさん、そろそろ怒りますよ?僕、昔女みたいだってのが原因でいじめられてたんですからね?」


 「ア、スマン・・・」


 僕としては普通に男子として生きてたつもりなんだけどな、家庭科の授業のせいなのか?掃除の時間、やたらめったらしっかりやっちゃってたからか?クラスの奴に「お前おっぱい出るんじゃね?」とか言われた事があるんだよな・・・


 まぁそれはさておき、食べよう。って・・・


 「ビーンさん、そのカレー。甘口ですよね?」


 「ん?そだけど?」


 「なんで?」


 「なんでって、俺甘口しか無理だもん」


 「グレイシアの分どうするんです、あと二つ中辛ですよ?」


 「あっ、うーん・・・グレイシアちゃん中辛いける?」


 「?」


 グレイシアは首を傾げた。そもそもこの子、カレー食べた事ないでしょ?


 「あー・・・今更交換もなぁ、とりあえず食べて見る?」


 こくり・・・モグ、    モグモグモグモグ!!


 あれ、すごい勢いで食べ始めた。


 「しび    いい」


 この子、辛いのが好きなのかも・・・僕も食べよう。うん、こうやって炊いたご飯で食べるとレトルトは倍美味しく感じる。


 ツンツン


 「もと   しび  で  いい」


 グレイシアはかなりの辛党である事が今分かった。次は辛口にしてみようかな?


 僕たちは食べ終わって片付ける。


 「ん?」


 音・・・


 「ビーンさん、何か聞こえませんでした?これは、足音・・・でもこれ、バケモノじゃない。これは?」


 「・・・こいつぁ、流石のレイでも接近に気が付かなかったか。こいつらは害獣だ」

 

 「イノシシですか?」


 「いや、そう言うんじゃねぇ。昔ここは奴らの生息区域じゃなかったんだがな、放置されてたせいで範囲を広げてやがったか。


 レイ、害獣ってのはバケモノとはまた違う危険生物だ。一個体の戦闘力はさほどねぇが、バケモノの子以上に集団で行動する。普段は人里から離れた場所にいるんだが、たまにこうして現れる事があんだよ。アダムス国内でも年、数回は害獣の被害のニュースを見るからな」


 そう言うのがいるなら早く言って欲しかったな。危険はバケモノだけじゃ無いのね。


 「数は・・・」


 「三体だ。二体が正面、一体は息を潜めて隠れてやがる」


 流石、ビーンさんは気配で察してる。僕は後で聞き分けた、心音だ。三つある。そして一体は心音も静かにさせようとしてる。これ、普通の動物じゃ無いな。


 ゲームに例えるなら、この害獣は雑魚敵といった感じか。で、バケモノはボスか。


 僕は流血光刃に手をかけた。


 「軽い食後の運動にはなるかな?」


 「いや、害獣程度じゃそれにもならねぇよ。俺を食いてえなら最低一万は連れて来ねぇとな。レイ、あんたは下がってな・・・見てろよ、まだ俺あんたに全然俺の実力見せれてねぇからな!!」

 

 ビーンさんが飛び出した瞬間と同時に害獣も動いた。けど、確かにビーンさんの言う通り、さほど強くは無い。動きに狡猾さはあるけど、僕たちの裏をかくには程遠い。


 「はい一ぃっ、!!二ぃっ!!そんで!!お前で終わりだ!!」


 「キュインッ!!」


 害獣は倒された。でも、殺しはしなかったみたいだ・・・


 「おら、さっさと帰れ」


 「ビーンさん、逃がすんですか?」


 「あぁ、害獣の知能は結構高くてな、殺しちまうと匂いを覚えて仲間が仇討ちに来る事がある。けど、痛めつける程度で流しておけば、その群れは俺たちの匂いには近づかなくなるんだよ。ま、別の群れは構わず襲ってくるかもしれねぇけどな」


 なーるほど、害獣は殺すと僕たちは不利な状況になる訳ね。出来る限り殺さない方が賢明か。それでもしバケモノと遭遇したらそいつは逆に即座に殺した方が良いのかもね。


 「よっしゃ、んじゃそろそろ寝るか。明日は日の出と共に出るぜ?レイとグレイシアは先に寝てな?俺がしばらく見張っててやる。でもレイ、途中交代はしてくれるか?流石に夜通し起きててからの運転はキツいからよ」


 「はい、2時間毎くらいで交代しましょうか」


 「おう、悪いな」


 ここは危険な場所、ゆっくり安心して眠る事は出来ないか。少しだけの我慢だ、ゼロを倒して全部終われば今度こそゆっくりと僕は休まれる。それまで我慢しよう・・・

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