リメイク第一章 異世界の非常事態
時は来た・・・
「ん・・・あれ、まだ3時半だ。変な時間に目が覚めたな・・・」
僕はふと目を覚ましてしまった。夢を見ていたのか、なんか呼ばれたようなそんな感じがしたんだよな・・・どんな夢見てたんだ?
二度寝しようかと思ったけど割とすぐに頭が働き出した、少し歩いてみよう。僕は大きな窓から景色を眺めた、眠らない街って言われてるけど、流石のこの時間は道路を走る車はそんなにいない。
『今こそ・・・俺が全てを』
「え?」
「よ、レイ」
振り向いたらビーンさんが起きてきた。
「逆に広過ぎて寝れなかったか?」
「いや、変な夢見たみたいで。忘れちゃったんですけど、妙にはっきりと僕が呼ばれた感じがして、目が冴えちゃったんですよ。ビーンさんはどうして?」
「俺か?俺はだな・・・ん?なんだ?向こうのほう、なんか煙が立ってら。あそこは中央外れの荒野付近か?」
僕はビーンさんが指差した方向を見た。ここから見えるこの中央の地平線付近は荒野が広がっている。その荒野周辺がモヤがかかって見えなくなっていた。
「砂嵐?いや・・・あの煙の中、何かいる?」
「おい待て・・・あれってまさか、そんな馬鹿な!!」
僕とビーンさんは同時にその煙の正体に気が付いた。僕がこの世界に来た時に僕を襲った奴、
バケモノだ。
「ビーンさん!!これって!」
「くそっ!あの野郎なんで今になって動き出した!?しかもあいつは調印式の時にいた馬鹿でけぇ奴じゃねぇか!レイ!!ダストを連れて陛下のとこに行け!そしてこの事を早く伝えるんだ!!」
「ビーンさんは!?」
「俺は奴と戦える部隊を整える!こっちにも俺の部下はいるからな!」
「分かった!!」
僕はあの子をベッドから起こそうとしたら、僕たちこの騒ぎ声で目を擦りながら起きてきた。
「ねぇ良い?今ちょっと大変な事が起きたんだ、だから直ぐに避難しなくちゃいけないんだけど、多分この事態に気がついてるのは僕たちだけなんだ。だから急いで上にいる王様を呼びに行かなきゃいけないんだ」
こく・・・
「じゃあ行くよ!僕の背中に捕まってて!走るから!!」
僕はこの子をおんぶして階段を使い上の階まで駆け上がった、四十七階、ここは確かあの応接室があった階だ。誰かいないか?
「すみませーんっ!!誰かいませんかっ!?」
「あれ?あなたは確か夕方見かけた、ミカミ様でしたよね?」
いた、夜勤なのか分からないけどコーヒー片手に現れたのはアレックスさんを呼びに着た書記みたいな人だ。
「外が大変なんです!!向こうの荒野に巨大なバケモノが現れたんです!!」
「・・・・・へ?」
「へ?じゃ無いですよ!!見てください!!」
この書記の人は半信半疑ながら窓の外を見た。そして、遠くに立ち昇る煙を見て愕然とした。
「くっ!あれは!嘘でしょ!?カグツ区の担当は何やってるんだ!?なんで誰もあれの接近に気付いてないの!?」
『ジリリリリリリリッッ!!』
書記の人は非常ボタンを押した。
「ど、どうしたっ!?何があったんだい!?あれ、レイ君?」
上の階からアレックスさんが慌てて降りてきた。
「アレックスさん!バケモノが現れたんです!!向こうの荒野です!!」
「っ!!あの、影は・・・親の!?」
やっぱりアレックスさんもあれが何か知ってる見たい。相当な奴がここに突然現れたんだ。
「陛下!!」
ビーンさんが仲間を引き連れてアレックスさんの元に駆けつけた。たった数人?
「ビーン君、頼めるかい?」
「はっ!必ずや奴を倒して参ります!!今度こそ必ず、あの日の決着をつけてやる。もう逃げねぇぞ・・・」
ここまで真剣になったビーンさんは初めてだ。この子の件でも真剣だったけど、この襲撃に対する覚悟は常軌を逸しているって感じるくらい凄まじい覇気を感じる。
「一か月前の君の活躍、その槍術と電撃の魔法を使い一匹の親を倒した。雷鳴の一撃・・・その通り名の力、もう一度見せてやれ。我々はお前にもう負けたりしないのだと!!」
「はっ!!」
アレックスの激励にビーンさんはビシッと敬礼を決め、作戦を開始し始めた。
「この緊急事態だ、レイ君とダストちゃんは私と一緒に来てくれ」
僕はアレックスさんと一緒に避難を開始した。
「避難経路はこちらです陛下!!」
「分かった!君も避難を!最優先は女性や子供たちだ!私は最後に行く!」
「いやだめですって!陛下は本当お人好しなんですから!はい!こっちに来る!!」
「あ、あれ?ちょっと?」
アレックスさんはかっこよく書記の人を避難させようとしたが、逆に無理矢理避難させられた。僕もそれと一緒に避難している。
「いや、ははは・・・こんなんじゃ王様失格だな」
「まぁ、王国制で国王が死んだらダメですからね。自分は良くても国民がそれを受け入れないのなら、あなたは避難すべきかもしれません」
「確かにそうだけど、国民を盾にして逃げるみたいに感じてね」
「そう思える人が国王なら良いんじゃ無いですか?多分みんな、アレックスさんは自分の私利私欲で動く人では無いと信じているんです。だからここはちゃんと避難しましょう!」
「レイ君・・・君は肝が据わってるね」
「多分、現実を受け入れきれてないだけですよ。多分状況を理解したらパニくるかも。あ、あなたのご家族は大丈夫なんですか?」
昨日確かに娘の誕生日会があるとか言ってたけど・・・
「私の妻と娘なら誕生日会の後、南オーシャナへ旅行に行ったんだ。あそこはこの国で最も安全と言われる観光地、大丈夫さ。私は明日、用事を終わらせてから明後日君を連れて行こうかな?と考えてたんだ」
アレックスさん、僕を家族旅行に同行させようとしてたの?なんで?
「それは、どうも・・・それより、さっき言ってました親というのは?」
「あぁ、君がこの世界に来て襲ってきたバケモノは俗に言う子と呼ばれるバケモノでね、戦闘能力は一匹のあたり兵士十人分あるとされている、数が多くて集団で行動するのが特徴なんだ。とは言っても突然仲間割れを起こしたりして知能は高くは無い。
けど、親は違う。そもそもの個体数が我々が知る限りでは三体、戦闘能力はまともに戦えた試しも無いから未知数。そして子を生み出す能力を持っているのが特徴なんだ」
「じゃ、さっきビーンさんが一月前に倒したバケモノを含めるならあいつを倒せば後一体って事です?」
「いや、一か月前に現れたのは親には違いないんだが、これまで全く記録に無いバケモノだったんだ。大きさも通常のバケモノと同じくらいでありながら、その戦闘能力と来たら最早あれはあいつ一体でこの国の戦力全てに匹敵するだろう」
「そ、そんな奴をビーンさんは倒したんですか!?」
「そ、あれは凄かったよ。ビーン君の魔法と魔弓部隊の攻撃でそのバケモノは倒れた。その強さからビーン君は別名雷鳴の一撃なんて呼ばれてるんだ。ほら、ビーン君の左頬に三本の爪痕みたいな傷があるだろ?あれはそのバケモノに付けられたんだ」
そんな肩書きがあるんだあの人・・・ファッションセンスダサいって言ってすみません。それに、あの傷ってそう言う意味だったんだ。
「そうだ、そこで分かったバケモノの特徴があるんだ」
「なんです?」
「バケモノの親は魔法を駆使する、そして幾ら傷つけてもすぐに回復してしまうんだ」
「え、そんなのどうやって倒したんです!?」
「ビーン君は頭の先から足のつま先まで電撃を喰らわせたって言ってたよ。つまり何処かに何かしらの弱点はあるんだ」
それを聞いて少し安心してきた。ビーンさんなら勝てる。
「しかし、何故突然現れたんだ?」
「まさかとは思いますけど、確か国境にそのバケモノを跳ね返す為の壁があるんですよね?」
「そうだよ」
「地面を潜って来た、なんて考えられます?」
「あの壁の地中は長さ二十メートルの杭で埋め尽くされてる筈なんだけど。それより更に下を来た可能性があるな・・・」
「だとしたら、目的はただ一つですね・・・」
「レイ君、まさか彼の・・・ゼロの目的がわかったのかい?」
「親はゼロの意識そのものを写している、そしてこのタイミングで最も目立つ中央の郊外に現れた、そして少しずつこちらは向かい、恐怖を僕たちに植え付ける。ゼロは長年このタイミングを待っていたんだ・・・二十年の仮初の平和は終わり、奴はこの国に宣戦布告した・・・」
くそ、クソクソクソ!!!!なんでこうなる!?僕が何をしたんだ!!どこで間違えた!?何故僕が?こうなった原因、まさかゼロならそれを知っているって言うの?
ふざけるなよ・・・僕は、普通に仕事してそこそこ稼いで生きたいんだ、RPGの主人公はゲームで十分なんだよ。この世界で頑張ったってレベルアップとかするわけじゃ無い、僕は僕の分の攻撃力しかないし、体力も知力もゲームみたいにポンポンあげられない。ゲームの世界を現実に押し付けるなよ。
僕は苛立ちながら避難し、街のはずれの高台に来た。そしてここからならあのバケモノの姿がよく見える。火を吹く怪獣って感じか。
「なんか、映画の世界に入った気分・・・なんでこれ、アトラクションじゃないだろうね・・・」
既にバケモノを食い止める為に動く兵士たちの影が見える、けど、大砲も効かず近づく事すら出来ずにいた。無理だ・・・この世界の技術ではあいつに傷をつける事も出来ない。いくら魔法があっても、ビーンさんレベルを最低十人はいる。
奴を倒す方法があるとするなら・・・戦闘機のミサイルとか戦車連隊の一斉射撃とかしかない。この世界でその戦力に匹敵するのは・・・
「ふふっ・・・」
面白そうだな・・・奴を倒せれるのは、僕だ。
「レイ君?」
「っ?あれ、僕は・・・」
頬が痛い・・・僕は何を考えてた?笑ってたのか?そうか、あまりにも現実を受け止めきれないからもう笑うしか出来ないのか。




