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リメイク第一章 異世界の旅

 「ぉーぃ・・・」


 ん、誰か呼んでる?


 (さぁ、目覚めろ礼・・・)


 分かってる・・・そう言えば、目覚ましかけ忘れたっけ。今日は確か・・・えっと?昨日は何して・・・


 あ、そうだった・・・僕は異世界にいるんだったっけ。


 「おーい!」


 この声は確かビーンさんだ。あれ、まさか寝坊!?


 スッパーン!!


 「痛ぁっ!?」


 僕は目覚めると頬に頬に食らった一撃で跳ね起きた。僕の膝の上にはダストが乗っていて平手打ちの構えを取っていた。


 「よ、随分とぐっすりだったな。ダストの奴、お前が全然起きねぇから心配になったのかパンパン叩きまくってたぜ?」


 「え?何発も?」


 「おぉ、多分今ので十発目だ」

 

 そんなになるまで寝入ってたのか。気にしないようにしてたけど、やっぱり相当参ってたのかな。


 で、今の時刻はもう出発の15分前だ。


 「わぁっ!!寝坊したぁっ!!」


 かなりギリギリだった。僕は大急ぎで準備をする、けどその間にちょっと気になる事を思い出した。目覚める直前、僕はビーンさんの声に起こされた気がするけど、なんか別の声も聞こえた気がする。あの声、何処かで聞いたような・・・


 まぁ良いや。40秒で支度しよ!




 「おぉ、四十秒で支度してきやがった」


 「早着替えは得意なんですよ。さて、行きましょう!」


 僕たちは警察署の外に出た。空が白んで鳥が囀り始めてる、まだ街は寝ているけどもう既に駅は賑わい始めていた。


 西ボーダー総合駅、ここを起点に中央方面へこの国を横断する大陸横断線、南へ向かうオーシャナ線、北へ向かうコールド線、更にはここの近郊を環状運行してるボーダー環状線など様々な路線がここに集約してるらしい。


 駅舎は洋風建築のターミナル駅で、全二十五番線まである。そしてその奥には増築された感じのあるホームも見える、多分あれが高速鉄道の駅舎みたいだ。


 「おう、時間ぴったりだな。ほれ、こいつが切符だ」


 スチュワートさんは改札の前に立って待ってくれていた、わざわざ来てくれたんだ。


 「じゃ、俺はこれから仕事だかんな。ビーン、後は頼むぜー」


 「さー!いえっさー!」


 ビーンさん、ふざけてるのか真面目なのかどっち?まぁ良いや僕たちは切符を受け取って改札の人に見せた。


 「お、一等車の方ですね、でしたら一番乗り場へお越しください。そちらにございます一等ラウンジを通りましてご乗車下さい。では良い旅を」


 あー、なるほど。海外の鉄道って飛行機と同じ感じで乗車前に使えるラウンジがあるところがあるんだっけ。僕達はそのラウンジを素通りしてホームへと向かった。少し小腹空いてたから何か貰いたかったな・・・


 「にしてもすげーな、スチュワート隊長。一等客室と言えば競争率とんでもねー値段も半端ねーらしいぜ?」


 ビーンさんの語彙力・・・でもこの雰囲気から察するに確かにとんでもないのかも。ホームもここだけやたら豪華、レッドカーペットなんかもある。


 僕たちの乗るのはその先頭車、電気機関車に牽引されるいわゆる客車方式の車両だ。乗車口上部には『特急 西端・・・中央』と書かれている。


 僕たちはデッキに上がり客室のドアを開ける。細長い通路にあるのは3つのドア、僕たちの部屋はその一番手前らしい。


 『ガチャ・・・』


 「わ、広・・・僕こんなの乗った事ないや」


 客室内は本当に広かった。ソファとテーブル、ダブルサイズのベッド、引き出し式の洗面台に、シャワールームもある。


 「この特急、本来は夜行運行をしててよ、大陸横断特急に使われてんのよ。けど、こいつの整備は中央車両区でやってっから西ボーダー着いたやつの回送を昼行の特急として運用してるんだってよー。だから普通より少し安いんだぜ?」


 へぇ・・・それはまた効率的と言うか何というか、それにしても豪華だ。ここ最近の旅行は新幹線移動か、車か、一人だとバイクか。こういう旅はした事がないなぁ、昨日は大変な目に遭った分、今日はいい事がありそうだ。


 「あ、動き出した」


 列車は静かに発車した。


 『本日は、アダムス国有鉄道をご利用頂き、誠に有難うございます。この列車は特急 西端  中央行きです』


 丁寧なアナウンスが流れる。中央到着は午後4時30分程らしい、11時間以上か、昼行でもかなりの距離だな。ここは一等車でベッドもあるけど、ただのボックス席の部屋もあるって書いてあったっけ。そこでこの距離はきついなぁ・・・


 「スチュワート隊長の話だと国王との謁見は、五時十五分だってよ。ちょうど良い時間だな。で、どうだ?ここの鉄道旅の気分は、これもまた懐かしい感じか?」


 ビーンさんはまた興味津々な顔で聞いてきた。


 「そうですね、僕の世界だとどんどんこの手の夜行列車とか無くなってってますから」


 「全部高速鉄道に切り替わったってか?あー、それはそれで寂しいかもなぁ。あ、そう言えばあんたらの世界の高速鉄道ってどんななんだ?きっともっと凄ぇんだろーなー。いっぺん見てみたいぜ」


 そう言われると照れるな・・・あ、新幹線の写真、スマホにあるな。


 「だったらビーンさん、見てみます?写真ありますから」


 僕はスマホを取り出した、ダストも部屋をずっとウロウロしてたけど、このスマホが気になったのかじーっと見てきた。


 「あ、それ・・・え、なに?写真も撮れんの?」


 「あ、はい。一応動画も撮れますけど」


 「・・・何か腹立ってきたな。便利すぎだろそれ」


 うん、大概みんなこれが便利過ぎるから、かなり依存してるよね。逆にそれが社会問題にもなってるんだけど。


 「これです、昔家族で京都行った時に撮ったんですよ。ちょうど祭りの日で指定席も満車だったっけ」


 僕はスマホの写真フォルダから新幹線の写真を見せた。


 「わっはは!何これ!変な形!カモノハシか?」


 笑われた。けど確かに、今思えば変わった形だよね新幹線って。


 「何でもこの形状がトンネルに入った時に空気抵抗を抑えられるだとかなんとかみたいですよ?」


 「へー、計算に計算を重ねたデザインってか。いつかここの高速鉄道もこのデザインになってったりしてな」


 「かもしれませんね」


 「・・・・・」


 「あ、もう少し見てみる?」


 こくこく・・・僕はダストに他の色んな写真を見せてあげた。


 「あ、そう言えばレイ。昨日からお前何も食べて無かったろ?今朝駅で買ってきてやったから食っとけ」


 あ、よく見る釜飯の駅弁だ・・・そう言えばここの食文化も米文化なんだろうか。そんな事を考える前に僕のお腹の虫が鳴った。


 「す、すみません。ありがとうございます」


 「良いって、お前はまだ職もまだない状態で金もねーだろ?しばらくは奢ってやるよ。こう見えて稼ぎは良いからよ」


 「ほんと、何から何までありがとうございます」


 僕は釜飯の弁当を一気に食べた。ふぅ、やっと生き返った感じがする。始めて食べたけど結構ボリュームたっぷりなんだな、具沢山でご飯も結構入ってた。


 僕は釜飯を食べ終えて後は流れる車窓を眺めた、ビュンビュン飛んでいく景色と言うより、滑るように景色は流れていく。


 「あ、そうだ」


 僕はリュックサックのチャックを開けた、結局僕は何を持ってきてたっけ、それを確認したかった。


 「どした?忘れもんか?」


 「いや、これから国王に会うのならこのスマホ以外にも何か提供出来るのが無いかなー?と思いまして」


 「へー、それ俺にも手伝わせてくんね?その鞄の中身は要するに俺たちにとっては未知なる宝箱だろ?へっへっへ・・・」


 何故か悪い笑い方をしてる、別にビーンさんがこの中身独占すら訳じゃあるまいし。


 で、結局出てきたのは、太陽光でも充電できるモバイルバッテリーに、ハンカチ、ポケットティッシュ。あ、これは水2リットル、ここに来なければ本来の予定は一人キャンプするつもりだったから入れてたんだ。


 後は?着替え一式にレインコート、軍手、懐中電灯、ガス式ライターか、これ以外は全部バイクに積んでたみたいだな。


 ん?まだ何かある、こんな奥に何かしまってっけ・・・


 「あ、」


 ガスガン・・・これ確かずっと無くしてた奴だ。高校卒業した後、一回友達にサバゲーに呼ばれて手始めに買ったやつがこれだ。デザートイーグル10インチカスタム、確かにデザインは格好いいけど、結構反動が強いし重いしで取り回しが効きずらいから、次からは別の銃を使ったんだよね。それで部屋にでも飾ろうと思ってたけどすっかり忘れてた。こんな奥に入れてたのか・・・


 「ん?なにそれ?アンドリューの奴の拳銃に似てるけどよ?」


 ビーンさんが覗き込んできた、そう言えばこの世界は軍事技術が世界観に伴ってなかったな。どう説明しよう・・・


 「あー、これはおもちゃですかね?これに小さな玉を入れてこのやつを手前に引くと玉が出て、相手に当たったら勝ちみたいな遊びがありまして」


 「ふーん、よくわかんねーな。つまりはただのおもちゃなの?って、それよりこれすげーな!どんな電球使ってんだ!?」


 ビーンさんはこれよりLED式懐中電灯に興味津々だった。


 「あ、これはですね・・・」


 これは僕の分野だ、この懐中電灯なら役に立てるかも。



 

 『食堂車からご案内します。ただ今の時間より、一等車客室のお客様のご昼食のお時間となります。二等、三等車のお客様につきましては・・・』


 そう言えばこの特急のこの部屋は予約も何もしなくても絶対付いて来るらしい、贅沢な旅だなぁ・・・


 「そういやもう昼か、なら行こうぜ?俺もそろそろ腹減ったしよ、ここの一等車の飯は専用の特別メニューがあんだよ、にしてもすげぇよな、これ乗るだけでただ飯食えるんだぜ?」


 いや、食事代も切符に含んでるんでしょ、つまりスチュワートさんの奢りな気がするけど、まいいか。僕たちは三号車にある食堂車に向かった。


 「たっだめっし、たっだめっし、よいよいよい」


 そして浮かれたようにビーンさんは歌ってる。そんな雰囲気のビーンさんをよそに座ったテーブル目の前には綺麗に並べられたナイフとフォークが何本もある。


 そして運ばれてきたのは本格的なフレンチの前菜だ、こここういう文化もあったの?


 待って・・・僕はテーブルマナー全く知らないんだけど。


 ツンツン・・・案の定ダストなんて以ての外だ。ナイフとフォークなんてまともに使った事が無い。ダストはナイフをスプーンのように使おうとしてる。そして全然掬えないから僕に助けを求めてきた。


 「あー、使い方はこうなんだけど・・・あれ、前菜って両方使うっけ・・・」


 僕もてんで駄目だ・・・


 「ごめん、僕もこういうマナーは全然でさ・・・」


 こくり、とんとん・・・何故かダストにドンマイと言わんばかりに背中を叩かれた。そしてダストも僕の真似をして食べ始めたら、この味が全くの初めての感覚なのか目を丸くして固まってた。


 「美味しかった?」


 こくこくこくこく!!それは良かった。


 それよりビーンさんはこれどう食べてるんだろ、ご飯をメシ言う人だからなぁ・・・


 と、考えてしまった事を僕は反省した。あのガサツな感じのこの人はまるで別人のように優雅な食事をしてらっしゃる。


 鎧を脱いでシャツ一枚でお昼ご飯を食べに来てる人のそれでは無い、タキシードに身を包んだ紳士が目の前にいる。そう錯覚する程にビーンさんの食べ方は綺麗だった。


 「な、何?どしたの二人とも?たべねーの?」


 二人してぽやーんと眺めてるのを見てビーンさんは困惑してた。


 「あ、いや・・・食べ方が似合わないくらい綺麗だったから」


 「ん?あ、これか・・・別にこの列車ドレスコードとかいらねぇし、マナーも別に考えなくて良いぜ?俺昔、国王護衛隊だったからな、その時にスチュワート隊長に礼儀作法を何から何まで叩き込まれてよ。って、似合わないって失礼だなオイ!」


 「あ!ごめんなさい!」


 成る程、あの人にしこたましごかれた結果なのね。にしてもなんだろ。貴族の食事に庶民がたまたま呼ばれた感じがする。


 「・・・・・・」


 「・・・僕たちは仲良く食べよっか」


 こっくり。


 せいぜい僕に出来るのは身分に合った食べ方だ。で、今気がついたけどめちゃくちゃ美味しいな。次から次に料理は運ばれてきてその味は全部一級品。これでドレスコード必要なしなのは逆に違和感がある程だ。


 「ふぅ、ご馳走様」


 僕たちは食べ終わった、この食べ終わった後のビーンさんもまた優雅な事で・・・


 「おっしゃ!後は部屋戻って昼寝しよーぜ!」


 あ、戻ってきた。


 僕たちは客室へと帰った、中央到着まではまだ時間がかかる。


 「んじゃ、俺昼寝してっから。ひゃ〜、食後はやっぱり横になるに限るぜ!」


 ビーンさんはベッドの方にダイブした。そしてすぐ寝息を立てて寝てしまった。


 そして流れる車窓を見ながら僕はまた少し考え事をした。少し振り返って、ちょっと自分への疑問を考察してみよう。


 ここに来て、僕は何かが変わってる気がする。僕はどちらかといえば未だに根暗な奴だと思ってる。けど、あの行動力はなんだったんだ?この急激な環境の変化に対応しようとしてるからなのか?だとしてもアンドリューさんの一件は、対応するなんて域を超えてる、まるで何かの主人公みたいに補正がかかった感じだ。何もかもが僕の計算通りに事が運んだんだ。


 予言、まさか僕は本当にこの予言の通りにこれから動く事になるのか?ゼロを倒して世界を救う。僕はそんな危険な事をしたく無いが為に今中央へ向かってるんだろ?分からない、少し苛立たしいな、やる事なす事全部、僕の運命は勝手に誰かに決められてるみたいだ・・・


 つん・・・


 「お   こ  て  る?」


 気がついたら、ダストは心配そうに僕を見ていた。怒ってる?


 「あ、ごめんね・・・怖かった?」


 ブンブン。ダストは首を横に振った、でも、まだ僕をじーっと見てる。


 「それより、どうしたの?」


 「き  のう  」


 「昨日?」


 「あ   り がと   お  れい   い  てな い」


 どうやら昨日のお礼を言いたかったみたい。


 「君が無事だったならそれで良いよ」


 「でも   死   ぬ  つもり   だった   たすかったの  レイ  おかげ」


 昨日と今日で大分言葉が上手く話せるようになって来たな、頑張って練習してたみたいだ。


 「確かに、君を救えたのは本当に偶然だった。僕が君の助けを感じなければ・・・死んでたんだよね」


 「うん    だか  ら   たす  ける」 


 え、ど、どう言う事?僕を助ける?


 「レイ   な  やん  でる  から」


 あ、


 「ご、ごめん!そんなに酷い顔になってた!?」


 こくり


 考え過ぎてどうやら心配かけてしまってたらしい。


 「う  た」


 歌・・・成る程、また一緒に歌って欲しいのか。


 「だね、ここ個室だし隣にそんなに迷惑にならないでしょ。あ、そう言えばスマホの音楽に原曲あるんだよ」


 僕はスマホから音楽を流した。


 ダストの歌、かなり上達してきてる。もしかしたらこの子結構歌上手かも、既に僕より上手いって感じる。


 なんだか気分が良くなってきた、ありがとうね。とりあえずは今は笑って過ごせればそれでいいか。後の事を考えても仕方ない。


 「ふぁ?な、何この音楽?」


 あ、ビーンさんが起きちゃった。


 「ビーンさんも歌います?」


 「は、はい?いや・・・それより、どゆこと?なんで、ダスト喋れてんの?」


 「へ?」


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