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リメイク第一章 異世界の英雄

 「なら、君たちに質問します・・・全部話して下さい。隠している事全部、アンドリューさんみたいにダンマリはやめてよ?頼むから」


 僕は3人に質問した。


 「我らが区長より命ぜられた任務は、緊急を要するほど危険な人物がいるから抹消しろと言われた。対象はお前とダストの二人、火災を装って殺す作戦は区長自ら考えた作戦だ」


 その質問に答えたのはワンコだ。細かく説明してくれてどうも。


 「ふーん、それが答えらしいが、いいのか?あんさんよ?」


 スチュワートさんは僕に振る。


 「うーん、納得はしてませんけどね。そもそもこの人たちは殺し屋にしては素人だ。アンドリューさんの後ろを付いて歩いて命令が無ければ動かない。漫画の読みすぎかもしれませんけど、殺し屋なら時には自分で考えて行動できなきゃ生き残れないでしょ?そもそも、君たちって人を殺した事ある?大方、アンドリューさんの急ごしらえの要員って所ですかね?」


 「ぐぬっ」

 「わー、すごーい。図星だー・・」

 「・・・・・」


 三人は仲良く認めた。


 「うん、良いところに目をつけてるな。勇者とか素質は十分にある。実際俺の目から見てもこいつらは特に何も知らされずに巻き込まれた傭兵みたいなもんだろ?聞き出せるろくな情報はねーな、仮に情報なんか持ってたらスチュワートの奴が放っておく訳ねーしよ。とりあえずどーする?ムショぶち込んどくか?」


 「そうですね、一応殺人未遂に放火の現行犯みたいなものですからね」


 仕方ない、とりあえずこの人たちは警察を呼ぶ事に・・・あれ?さっきから慌てててすっかり忘れてたけど、今火事が起きてるよね。消防車は?警察は?なんでいないの?


 「んで、あんさんも気がついたか、もうかれこれ二十分は経つのに消防車のサイレンが全く聞こえてくる気配がねぇのよなー」


 ちょっと待って・・・どうなってるの?僕の家の近所って消防署じゃなかった?


 「かれこれクソ真面目アンドリューの馬鹿が、根回ししてたんだろうぜ?今日あそこの消防、点検かなんかでもぬけのからだってよ」


 「・・・・・・」


 思考回路が停止した、よく見なくても火の手はどんどん広がって来てる。


 「って、ちょっとスチュワートさん!?でしたっけ!?何でそんな大変な事教えてくれなかったんです!?」


 「こーゆー仕事は、この街の防衛担当のビーンの仕事だろ?おい、ビーン、何とかしろ」


 スチュワートさんはしれっとビーンさんに責任を押し付けた。


 「はい!?たいちょー!?え、俺も、色んな事が起きすぎて優先順位がめちゃくちゃで!あー!!どーしよ!!」


 「考えてんじゃねーよ、動け」


 いくら避難完了してるからってこの人!!もーここの人はよーわかんない!!


 「だーっ!!あ、なら水の魔法は!?って流石にもう広がりすぎでしょ!!!」


 いくらなんでもこれは僕には消せない、見た感じまだ僕のいたアパートだけしか燃えてないみたいだけど、火柱は立ち昇って非常階段が溶けて来てる。隣に延焼するのは時間の問題だ。


 「隣町の消防は!?」


 「おー、それなら俺が連絡しといたぜ?あと十分はかかるってよ」


 この人脳天気に言ってんじゃないよー!!


 つんつん・・・


 急に僕の服の裾が引っ張られた。ダストだ、こんな時にどうしたんだろ・・・


 「ごめん、もうちょっと我慢してて?何とか方法見つけるから」


 安心させるために適当言ってしまった・・・とは言っても、どうする。あの区長め、とんでもない事を押しつけてやがって。仕方ない、今は何とか延焼を防ぐことに尽力しよう。街の人とも協力してやれば、あと十分持ち堪えられる!!


 「誰か!!消化手伝ってください!!」


 てとてと・・・そこで僕について来たのはダストだった。


 「け    す」


 「え?」


 次の瞬間、周囲の気温が真冬並みに下がった。顔が痛くなるほどの冷気が僕を襲い僕は顔を覆った。


 「くっ!!何が起こった!?」


 僕が顔を上げると景色は一変していた。火の手なんてさっきまであったんだろうか?というほどに、街は凍てついている。その凍てついた街の前に立っているのは、だぼだぼなロングコートを来た小さな女の子だ。

 

 「あ・・・・・・・・・」


 しーん・・・・・


 僕たちはみんな呆けに取られていた。


 「今の、ダストがやったのか?」

 「さ、寒い・・・」

 「え、まさか俺たちのために?あいつが?」


 そして住民たちはダストのこの行動を不思議そうな顔で見ていた。その視線に気がついたのかダストは僕の後ろに張り付いた。


 「ご   め ん」


 震えてる、寒くてじゃない。住民の目線が怖いんだ。


 パチパチパチパチ!!


 その中一際大きな拍手がどよめきを遮った。


 「すんげぇな!まさかこんな所に、こんなどーしよーもねぇ火事を消せる奴がいたなんてよぉ!!こりゃ勲章の一つや二ついるよなぁ!お前ら!」


 スチュワートさんだ、凄い棒読みだ・・・この人、まさかダストの立場を知っててわざと何もしなかった?消せるって分かってたんだこの人。


 「え、えっと・・・」


 「ぁあ?命救ってもらっておいてなんだ?その態度はよぉ、この子がいなけりゃこの街は火の海になってたとこなんだぜ?あんさんの大事な家も職場もみーんな消えて無くなっちまうとこだったんだぞ?それとも何か?お前らにはこの子が殺人鬼にでも見えてんのか?


 何も知らねぇ癖に、良くこいつを殺人鬼だなんて言えるな・・・あれは事故だってのに誰も信じねぇしよ。確かにこの子の魔法はケタが違う。てめぇらはただそれが怖かっただけだろうが!」


 スチュワートさんは住民たちに怒鳴った。やっぱりそうだ、この人ずっと知ってた人なんだ。って事は、この人もしかしたら、何か知ってる人だ。


 「そ、そうです・・・ダストはいつも何考えてるのかわからないから、いつも睨んでくるし」


 「ほぉ、いつも睨んでくるね。その理由ならあんさん知ってるんだろ?」


 今度は僕?まぁ、でも


 「多分、睨んでたのは助けを求めてたんです。けど、この子は恥ずかしがり屋みたいで、上手いこと表現出来なかったみたいなんですよ。それに、見ての通りこの子はほとんど喋れない。きっと、どうしたら良いのか分からなかったんだよね?」


 僕は一応ダストに聞き返した、そしたらダストはこくりと小さく頷いた。


 「そういうこった。で、最初の質問に戻るぜ?今日、この異世界のあんさんがこの子を見つけなかったら、この小さな英雄はどうしてたと思う?この子は自ら命を絶ち、そしてアンドリューの馬鹿はこの街に火をつけて詰んでた。分かるか?この街はこの二人の英雄に救われたって事がよ!んで!?何が言う事はねぇのか!?」

 

 「・・・す、すみません」


 「ばっかおめぇ!!誰に謝ってんだゴラァ!こっち来い!」


 「いだだだ!!」


 スチュワートさんは住民の一人の耳を引っ張って、僕の後ろにいるダストの前に持ってきた。


 「言いたい事は直接本人に言いやがれ」


 「えっ、と・・・その、あ、ありがとうございます」


 「/////」


 ダストはより僕にしがみついた。けど、今のこれは照れだ。初めて向けられた感謝の言葉にまだこの子は混乱してる。


 「さて、他の奴らは良いのか?自分は関係ないとか言ってる奴いねぇよな?もしそう言う奴がいたらしばくぜ?知ってるよな?俺、嘘見抜くのは得意なんだぜ?」


 最早脅しだ、住民たちは次々にダストへ謝罪を始めた。


 「い、今までごめんなさい!思い返してみれば、私・・・なんて・・・ひどい事を」


 そして、話してるうちに自分の行動を振り返ったのか、涙を流し始め崩れた人が出てきた。それを僕の影から見てたダストは少し出てきた。


 そしてダストはその人の手を恐る恐る握ってみた。


 「あ、あったかい・・・この手、私の息子と同じくらいだわ。この手で親を殺したなんて・・・無理に決まってるじゃない!!小さくてあったかい、こんな手で!!本当に、ごめん・・・」


 この人は嗚咽するほど泣いてしまった。それを見てたダストはオロオロして僕に助けてくれと見つめてきた。


 「少しやり過ぎたな・・・まぁ良いか。兎も角だ、俺たちぁこの二人に感謝しきれないほどの恩が出来た。


 んで、俺からも謝らなきゃな。まずダストにだ、三年間、何もしてやらなくて本当にすまなかった・・・」


 そしてスチュワートさんもダストに謝った。これはすごい真剣な顔してる・・・


 「・・・スチュワート隊長は、ダストが両親を殺しちまう瞬間を見てんだわ」


 ビーンさんが僕の隣に立ってこの顔の意味を教えてくれた。


 「んで、あんさんにも謝らなきゃな。担ぎあげる感じにしちまって悪かった」


 「あぁ良いですよ僕に謝らなくても、それより、あなたは何で僕の事を?」


 「あー、その事な。簡単に言えば予言の紙を信じてたからだ。んで突然の避難民と来た、まさかと思って見てたらビンゴだ」


 「そう言う事ですか。でも、僕はゼロなんて存在を倒す気は無いですよ?今も」


 「分かってら、何でもかんでも予言の通りにはささねーよ。あんさんが自らゼロを倒したいって望むってなら話は別だが、あんさんは平穏な暮らしを望んでる。それに、俺ぁゼロの奴とは少し面識あってな。今のあいつはあんさんの手に余る。あの絶望と虚無と野望を持った目は、あんさんに見せられねぇよ・・・で、話は変わるがダストが自殺するタイミング、良く分かったな」


 スチュワートさんは更に真剣な表情になったと思ったら、急に話を変えて来た。


 「いや、過去の自分と被ったと言うか何というかで・・・」


 って、これも疑問なんだよ、この僕の行動力はなんだろ。そもそも僕は見ず知らずの人に話しかける事が苦手な人だ。要するにコミュ障みたいなもんだ。


 けど、目を見ただけで心が読み取れた・・・こう言う作品によくあるチート能力って事で片付ければ良いのか?


 「まぁ兎も角必死こいて追いかけて見たら、いつの間にかこんな感じになってました」


 「成る程な、俺ぁ気が付かなかった。いつかは救ってやると決めてはいたが、一人でも強く生きててくれてたからな。けど、実際はギリギリだった訳か。ルーアンとマリリンに申し訳つかねぇな全くよ・・・」


 この人でも気がつかないのかよ・・・なら、より助けられて本当良かった。


 「にしてもビーンおめぇ、何も役に立ってねぇな?」


 「も、申し訳ありません!!」


 ビーンさんはビシッと敬礼した。


 ポカン!


 「あいた!!」


 「だから敬礼すんな。まぁ、色んな事が一気に起こった訳だ、おめぇのおつむじゃ整理し切れねぇかもな。さてと、あんさんの望みは平穏無事に暮らす事だよな?」


 また突然僕に質問が飛んできた。


 「あ、はい。願わくば予言の勇者なんてやりたくありません」


 「なら、中央に行くと良いぜ。そこでアレックスって言う若いが年寄りみたいな趣味持った国王がいる。そいつに会うと良い」


 ・・・凄く小馬鹿にした言い方だけど、要するに僕はこの国の王様に会ってこいと?


 「あんさんらは普通に国としても滅茶苦茶喉から手が出るほど欲しい人財だ。異世界技術を持った人間に、とんでもねぇ魔法の力を持った女の子と来た。あの野郎なら飛び跳ねて喜ぶぜ?


 それに、アンドリューの一件に、あんさんって言う異世界の勇者の話もある。あいつなら情報操作も出来るし、しばらく護衛も付けて貰えるだろう。なぁに、心配すんな。あいつには俺が言っといてやるよ、退役したとは言えプライベートの交流はあるんでな」


 ちらっと情報操作とかブラックな部分も聞こえた気もするけど、確かにここまで派手に動いちゃったんだ。メディア操作は必要かもしれない。それに、アンドリューさんがまたいつ襲ってくるか分からない。どちらにしてもその中央に行くのが得策かな?でも、


 「うーん・・・僕としては願ったりですけど、ダストはどうするんです?」


 「それを決めるのは嬢ちゃん次第だぜ?聞いてみろ」


 僕はしゃがみダストに質問した。


 「僕はスチュワートさんの言うように中央に行ってみることにするよ、君はどうする?」


 はしっ!こくこく!


 聞くべきでは無かったかも、ダストは僕の手を強く掴んで何度も頷いた、そして少し睨まれた。離れるなって感じだな。


 「決まったな、隣の西ボーダーから中央への汽車の切符は俺が買っておいてやる。そっからの案内は・・・あー、ビーン。やっとけ」


 そしてそこからは投げやりだった。この人ほんと、適当なのか鋭いのか・・・


 「え!俺っ!?いや俺国境警備の仕事が・・・」


 「有給使えや、おめぇたんまり残ってんだろ?いつもラジオ体操行くみてぇに外に出てるらしいからなぁ。休息ついでに案内してこい」


 「いやそれ休息になんないんじゃ」


 「ほー、ビーンおめぇ、アダムス王国軍の心得その二はなんだー?」


 「え、いついかなる時でも国民の安心・安全を守る兵士であれ?」


 「そうだ、で?ここにいるのは、区長に殺されかけた安心、安全を脅かされた国民がいるんだが?それを責任持って保護するのがあんたの役割じゃねぇのか?」


 「・・・そうでございます。この二人の中央への案内承りました」


 またビーンさんは敬礼した。


 「たから俺が命令した風にすんなっての!いつまでも俺の下の気になんな!たまには自分で考えて行動しろ」


 「も、申し訳ありません!!」

 

 そして今度は普通に頭を下げた。


 「ったくよー、まいいや・・・さて、そろそろ来る頃だろうぜ」


 スチュワートさんの言葉のすぐ後、遠くからやっとサイレンの音が聞こえて来た。

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