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彼女編6

秋風さんが投稿している小説の1つ目は『夕陽の差す街で』。

これは私と同じくらいの女の子が主人公の恋愛小説ですね。

受験と恋愛に悩む女の子と夕陽のように優しく女の子の力になってあげる彼。

こんな優しい彼が居たら好きになるのは当然ですよね。うんうん。

2つ目は『ねこの仲人』。

あ、こちらは前後編になってるんですね。今はまだ前編しか掲載されていないようです。

内容は人見知りの女の子が学校の中庭で偶然見つけた猫に話しかけるシーンから始まっています。

その女の子は昼休み終了のチャイムに慌てて中庭を後にしたせいで手帳を落としていってしまい、後から来た男の子が偶然それを拾い上げ……って。

これもしかしなくても私と秋風さんのことですか!?

慌てて先を読み進めればやっぱりそうです。

図書室に手紙を隠すやりとりもちょっと変えてますが、大体そのままですし。

ただ前編の最後は男の子が中庭のねこの所に相談するシーンで終わっています。


…………

彼女はきっと僕に会いたいとは思っていないと思う。

会って話をしてみたいというのは僕の一方的な感情で彼女を傷付けるだけだろう。

猫はじっと僕を見るだけで何か答えをくれる訳じゃない。

ただその瞳は、会ってどうしたいんだ?と問いかけているように思えた。

話が出来れば満足なのか?それとも彼女になってほしいのか?

僕は……そうだ。

彼女にはこんな小さな中庭で我慢していて欲しくない。

彼女が望むなら自由に大空を飛べるようにしてあげたい。

その為に僕は空を覆う雲を晴らし、彼女が高く飛べるように上昇気流を生み出そう。

本当は彼女の笑顔を隣で見ていたいけど、それはただの僕のエゴだから。

それを聞いた猫はちいさくあくびをしてどこかへ去っていきました。


……だから、このサイトを立ち上げたんですか?

私がもっと自由に童話を書けるようにするために?


「どうして……」


どうしてそこまでしてくれるのでしょう。

私がミスコンで優勝した姫だから?

いいえ、彼は手帳の主が私だってことに気付いていないはずです。

でもそれ以外の理由ってなんでしょう。

うーん、全然思いつきません。

ふと携帯を見ればいつの間にかサイトに投稿されている作品が5件も増えていました。

内容はイラストであったり詩だったり、美味しいコーヒーの淹れ方だったりと様々で投稿者もみんな別の人です。

フリー掲示板にも幾つもお祝いのメッセージが登録されていて、その全てに秋風さんから返信が付いています。

私が投稿した童話にも幾つか感想が付いていました。

凄く嬉しいです。

あと、秋風さんの例の前編にも感想が付いています。


『男の子ならそこはアタックしても良いんじゃない?』

『そうそう。恋は待っていても始まらないぜ!』

『貢献マインドは良いけど自己犠牲はダメよね。

男なら相手も幸せにして自分も幸せになる!くらいで良いと思うのよ。

というかそんないい男、私の前に現れないかしら』

『秋風に春が来るのはいつのことやら……』


みんな結構好き放題書いてますね。

私も何か感想を書いてみようかな。

『このふたりはどうなってしまうのでしょうか。後編が楽しみです』

そう書こうとして送信ボタンを押そうとした私の指が止まりました。


「……違いますよね」


先ほどの感想でもあったように待っていても何も変わらないんです。

私のこの気持ちが恋かどうかは分かりません。

でも先に進めたいなという気持ちは確かにあります。

私の中で不安と期待は50:50からほんのちょっとだけ期待の方に傾いて、一歩を踏み出してみる事にしました。


『私に後編を書かせてください』


送信ボタンを押した私の指が思わず震えています。

こんな事を言い出した私を秋風さんはどう思うでしょうか。

ドキドキしながら待つこと1分。

返信が付きました。


『よろしくお願いします』


……あっ。

まさか本当にOKしてもらえるとは思っていませんでした。

驚きのあまり立ち上がった私はそのまま机に向かい手帳を取り出すと思いつく限り後編のプロットを書き始めました。

それからの1週間は私にとって一番集中した時間になりました。

登下校の最中も休み時間も、何なら授業中さえも、後編の内容をどうするかを考えて手帳に書き出す日々が続きました。

なので、男子からの価値の無い告白大会は祥子さんにお願いして全てシャットアウトしてもらいました。

他のクラスメイト達も私の鬼気迫る様子を見て祥子さんに協力してくれていたようです。

これが終わったらお礼を言いに回りましょう。


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