彼女編1
目に留めていただきありがとうございます。
※先日「彼女編」というサブタイトルで投稿しましたが、1話約1万文字と凄いことになっていたので分割しました。
(元々は短編の予定だったんです)
内容は同じなので、既に読んで頂いた方は読み直す必要はありません。
「ずっと前から好きでした。俺と付き合ってください!!」
今月に入ってから毎日のように聞かされる告白の言葉。
ただそれが先々月までは一件もなかったので、その言葉が嘘の塊なのはよく分かっています。
事の起こりは先月行われたミスコン。
被服部の友達の祥子さんに面白半分で勝手にエントリーされて、私は勝てる見込みなんてないって笑っていたのに何故か優勝してしまいました。
それ以来、私の顔とスタイルが目当ての男子が昼休みにも放課後にもやってくるようになりました。
毎回お断りするこちらの身にもなって欲しいです。
私の名前が姫宮なので『姫』とか『姫様』なんて呼ばれるのも全然嬉しくありません。
そんなある日。
男子からの告白ラッシュに疲れた私は昼休みにこっそり抜け出して中庭に行きました。
また友達から借りた変装グッズで一目では私だと分からないようにします。
……まぁどれだけ効果があるかは謎ですけど。
そうして一息ついた私が取り出したのはペンと手帳です。
実は私、物語を書くのが好きで将来は童話作家になりたいな、なんて考えてます。
もちろんそれ1本で生計を立てるのは難しいでしょうから他の仕事もしつつ、半ば趣味で童話を書いて子供達に読んで貰うって感じになるかもしれませんし、それで子供達に喜んで貰えるなら良いなって思ってます。
でもこういうのって他の人に知られると笑いの種にされますよね。
なので皆には秘密です。
「えっと今日は、あっ、鳥が3羽一緒に飛んでます」
あれは親子でしょうか。
鳥の習性から考えてその可能性は低いのですが、でもそう考えるだけでちょっと楽しそうで幸せになります。
その気持ちを素直に手帳へと書き綴っていきます。
あの鳥の子供はきっと両親に愛されて幸せですよね。
今日は家族でピクニックでしょうか。
そうしてほのぼのと久しぶりに穏やかな時間を過ごしていた時です。
「にゃーーっ」
「ふぇっ!?」
突然すぐ後ろの茂みから何かが飛び出してきました。
いきなりの事でびっくりです。
落ち着いて確認すればただの猫でした。
「まったく、驚かせないでください」
「うにゃ?」
猫は分かっているのかいないのか、小さく鳴きながら首を傾げました。
私を見ても逃げないところから察するにずいぶん人馴れしてるみたいです。
誰かの飼い猫でしょうか。
キーンコーンカーンコーン♪
と、いけない。昼休みが終わってしまいます。
私は変装を解きながら慌てて教室に戻りました。
その日の放課後。
家に帰ってカバンを整理していた時に気が付きました。
「あ、あれ?なんで無いの?」
いつもカバンの所定の位置にしまっている手帳がありません。
思い返せば今日の昼休みに中庭に持ち出した後、戻した記憶がありません。
昼休みは猫が飛び出してきたり、変装してたりチャイムが鳴ったりバタバタしていたので、その時忘れてきたのでしょう。
「今から探しに行く?」
外を見れば生憎の大雨です。
昼休みはあんなに晴れていたのに14時頃から降りだしました。
この分だと手帳はずぶ濡れで酷いことになっているでしょう。
でも雨の中わざわざ中庭に行く人も居ないと思いますのでまだ誰にも拾われていない可能性が高いと思います。
「明日の朝、早めに登校して探しに行きましょう」
そう決めて、その日はそのままいつも通り過ごしました。
でももしかしたら誰かが拾ってしまっているかと思うと内心気が気ではありません。
そのせいですね。
翌朝起きたのはいつもより遅い時間でした。
作業の都合で1日2話ずつ、計7話で彼女編をお送りします。
それが終われば今度は彼氏編を投稿していきます。
(現状8割方書きあがっています)
仲人編は……まだ白紙です。