針仕事
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頭の中で警告音が鳴り響いています。
ヤバイ!目を瞑った瞬間突風が吹いて体が浮いた
『ん?この温もりと香りは…』顔を上げると冷たい表情をしたフィラがいた。
『あぶない てん フィラ よんだ』
『てん君が?』
『うん アーサー つがい ない だめ』
『あっありがとう…』
『てん たえ まもる』
どうやら危険を察知したてん君がフィラを呼んでいたようだ。殿下は立ち上がり何も無かったかの様に、フィラに礼をし挨拶する。
フィラの体温は温かいのに部屋の温度は確実にフィラが下げてる様な気がする。
「アーサー。俺の番に何をしている⁈」
「多恵殿に愛をお伝えしていただけです」
「無理矢理では無いだろうなぁ!」
フィラの怒鳴り声に体が震える。やっぱり男の人の怒鳴り声は怖い。
その様子に気付いたアーサー殿下が
「恐れながら申し上げます。多恵殿は男の怒号に恐怖される様です。もう少し控えめお願いいたします」
フィラが驚きの表情で私を見て
「本当か?」
「うん。私だけでなく女性皆んなそうだと思うよ。だから大きな声で怒らないで…」
「すまない…」フィラは優しく抱きしめ背を撫でてくれた。
「多恵。こんな奴がいる所にお前を置いておけない。妖精城に帰ろう」
私は首を横に振り
「心配かけてごめんね。まだやる事があるから行けない。アーサー殿下…さっきのは無かった事にします。同意を得てからにして下さい。次したら嫌いになっちゃいますよ」
殿下は苦笑しながら謝罪され
「必ず貴女の心を得て口付けます!」
なんか宣言してますよ。って言うか宣言することなん?
外の騎士さんが文官さんの来室を知らせてきた。どうやらアーサー殿下を呼び来た様です。
殿下はフィラに退室の挨拶をして帰って行かれた。
ダンス疲れと精神的に疲れて力が抜けて、その場に座り込んだ。直ぐにフィラが抱えてソファーに座らせてくれた。
フィラは横に座り私の顔を覗きに込んで頬を撫でて
「疲れた顔してるな!今日は早く寝ろ」
「はぁ…い」
悪戯ぽく笑い「また一緒に寝るか⁈」
「ん!」息をのむ音が聞こえてそちらを見ると、エレナさんが顔を真っ赤にして俯いてます。
勘違いしてる!
「フィラ!変な事言わないで!勘違いされるでしょ!」
「多恵は俺の番だ。床を共にしてもおかしく無いだろ⁈俺の元に来い」
「だから…もういいや…めんどくさい…」
反論する気力無い。フィラの眼差しは優しく温かい。嬉しい反面いつも真剣だから目を逸らしたくなる事がある。
6刻の鐘までフィラは居てたわいも無い話をして過ごし帰って行った。帰り際に一緒に行こうと誘われたけど、笑顔でお礼を言ってバイバイした。
夕食後にマスクを試作します。早く量産体制とらないと!寝室に籠りちくちく針仕事。
針子さんの作業場見学したけどミシンは無かった。全て手縫いだから時間かかるなぁ…
元の世界では裁縫は好きで娘の学校用品は手作りしていた。余裕が出来たらクロスステッチとかしたい。
それにしてもゴムが無いのはイタイ。衣類は全てリボンで縛る形で心許ない。令嬢なんて走る事ないから気にならないんだろうなぁ…
私はせっかちだから直ぐ小走りするから、気がつくと骨盤まで下着がズレてる事がある。
優雅に騎士さんと話てるけど実は半けつで、心の中で『今半けつ中〜』って時がある。
女神の乙女も所詮普通の人間です。
もし箱庭にゴムの木があるならゴムを作りたい!
下着の安心感を下さい。
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