惚気
お読みいただきありがとうございます
只今微妙な空気が漂っています。
誰か助けて下さい!
「フィラ陛下。恐れながら発言の許可を」
出来る先輩が空気を変えてくれます。
「許そう」
「本日より多恵様付侍女を務めさせていただきます。ケイティと申します。以後お見知りおきを…陛下にお願いがございます。
多恵様は舞踏会のエスコートの意味をご存知無く、アーサー殿下のエスコート受け入れられお困りでございます。多恵様からお断りする事は難しく、できましたら陛下よりアルディ王国へエスコートの申し込みをいただけますでしょうか!
その方が皆様の面目が保てて丸く収まります」
フィラは視線をケイティさんに向けて
「事情は理解した。どうせアーサーが多恵が何も考えていない時に、どさくさに紛れて了承を得たんだろ?そんな抜けている所も可愛いぞ!多恵」
グラント様とキース様が”抜けてる所”で微笑ましく頷いているの納得いかない!
「分かった直ぐに書簡を出そう。多恵これでいいか?」
「ありがとう。フィラ!でも抜けてる発言は何かイヤ」
部屋の雰囲気が和んだのはいいけど、皆んなに暖かい眼差しを向けらているのは気のせいだろうか…
そうしているうちに扉外からヒューイ殿下の前触れが来た。
フィラは書簡を用意のために帰り、グラント様とキース様は仕事中だったらしく、慌ただしく退室されて行きました。
殿方をお見送りし振り返るとサリナさんがケイティさんに怒られています。
「サリナ。貴女は多恵様が召喚されてから一番長くお側に居るはずです。ならば多恵様がこちらのしきたり等をご存知無いのも分かっていたはずです。
主が困ったり誤った判断をしそうな時に、そっとお助けするのがお仕えする私共の役目です。今回は多恵様の機転とフィラ陛下のご協力で大事に至りませんでしたが、同じ事が無き様に務めなさい」
ケイティさんは深々と礼をして
「この度は私共の配慮のないばかりに、多恵様に心労を与えてしまい申し訳ございません」
「違うよ!フィラの言ったみたく何も考えず返事した私が悪いんだよ!サリナさんは悪くないから」
「多恵様はお優し過ぎます。今後もしっかり務めさせていただきますので、よろしくお願いします」
お2人に謝られ恐縮するけど、これが彼女らの仕事なんだ。私もしっかりリリスのお仕事しないと!
ヒューイ殿下が来室されました。さぁーお迎えします。
『……何か殿下スッキリ!明るくなってる!』
殿下は入室されると直ぐに最敬礼し事件の事を詫びられ、また伴侶候補辞退についても謝罪されました。
「頭をお上げ下さい。謝罪お受けしましたから。
この度は後婚約おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます」
照れ臭そうに微笑む殿下は幸せいっぱいです。
この後は事件当日の話を色々聞き驚きの連続で、私が妖精城で寝てる間怒涛の展開だった事を聞いた。
なんと!ナタリー様が責任を感じ入水自殺を図った事や、私の誘拐を知ったレックロッドとモーブルから騎士団が派遣され、オーランド殿下とアーサー殿下が決闘直前まで揉めた事…
「誰もそんな事教えてくれないから今まで知らなかった!大事になってるじゃーないですか!
オーランド殿下やグリード殿下にまで、心配かけてたなんて!」
「多恵殿。オーランド殿下もグリード殿下もこの事は多恵殿が落ち着かれるまで、伝え無いように口止めされていました。お2人は多恵殿が負担に思われ無い様にと気遣われての事なのです」
「何故アーサー殿下とオーランド殿下が喧嘩になったんですか?」
「オーランド殿下がアルディアには安心して多恵殿を任せられぬから、レックロッドで預かると言い出し口論になったそうです。私はその時行方が分からなくなったナタリー嬢を探していて、聞いたのは翌日トーイからでした」
「よくおさまりましたね!」
「グリード殿下が仲裁に入り、とりあえず当初の予定どおり舞踏会まではアルディアで多恵殿の身を保護し、舞踏会以降は話し合いで決める事になりました。オーランド殿下が最後まで抵抗しましたが、グリード殿下が誘拐事件で傷付いた多恵殿がこれ以上負担が増えない様にとアルディア滞在を強く主張されたのです」
確かにやっとアルディアに慣れたのに、また新しい環境とか今の私にはキツイ。やっぱりグリード殿下は大人だなぁ…
「ヒューイ殿下教えていただき、ありがとうございます。グリード殿下とオーランド殿下にはお礼状を送っておきます」
話が落ち着きお茶をいただきながら、軽い雑談と言う惚気話になりました。幸せそうな殿下を見ていたらお腹いっぱいになって満たされました。
不意にヒューイ殿下が…
「兄上が伴侶候補になられたそうですが、多恵殿はどう思われていますか⁈」
あーこれさり気無くアーサー殿下推しですか?
「まだ日も浅く分かりません。いい方だとは思いますが、恋愛対象かと聞かれると分かりません」
「本来兄弟ゆえ兄上を応援すべきですが、兄上では多恵殿の心を得れないでしょう!」
なんですと⁈今サラッと凄い事言ったよ!
続きが気になりましたら、ブックマーク登録お願いします




