提案
流石先輩です。ケイティさんは頼りになります
「多恵様。外はサリナに任せしっかり食事を召し上がって下さい。昼よりヒューイ殿下とトーイ殿下の面会が残ってございます。身体がもちませんよ」
ケイティさんに促され食事を続ける。まだ外は揉めている様だ。
デザートの桃の様なフルーツを食べていたら、外の声が1人増えている事に気付く。
「ケイティさん。すみませんが外の様子見て来てくれませんか⁈何か人が増えてる気がします」
ケイティさんは綺麗な礼をして外に確認にでる。
早く食事終わらせちゃおう。多分グラント様と会わない選択は無いだろうから…
一応少し残したけど食べて終えた。
ケイティさんが戻りキース様が増えている事を聞く
「へ?」なんでキース様が増えてるの⁉︎
次の瞬間怒りに満ちたサリナさんが戻ってきて
「多恵さん。グラント様とキース様が舞踏会のエスコートの件でお見えです。断っていただいて大丈夫です。後は私が何とかします!」
『鬼の形相』ってこういう事言うんだ…サリナさんめっちゃ怖い!
「サリナ!御用向きを主に正確に伝えて、ご意思を確認するものです。いくら多恵様が貴女に気を許していただいているとしても、侍従関係をしっかりお持ちなさい!
多恵様。グラント様とキース様は舞踏会のエスコートがアーサー殿下に決定したのかを、多恵様に確認したいそうです。如何いたしますか?」
びっくりした!流石先輩!サリナさんの怒りが鎮火していつもの調子に戻った。
「多恵さん。失礼しました」
「あ…大丈夫です。ヒューイ殿下とのお約束があるので、それまでいいならお会いします。次の予定があるからだらだら話が長引く事ないだろうし…」
「では準備いたします。ソファーでお待ち下さい。グラント様とキース様の対応は私が行きます。サリナは片付けを」
テキパキと用意してくれる2人をソファーで見ています。エスコートの件って…いかん!何も考えたく無い!
「多恵さん入室いただきます」
ソファーの横に立ちお迎えします。
『!』グラント様もキース様も険しい表情で怖い!
私がビビっているのに気付いたケイティさんが
「グラント様、キース様。その様な殺気立っては多恵様が萎縮されます。紳士の振舞いを…」
「失礼いたしました。多恵様。突然の訪問お許し下さい」とグラント様
「多恵様。お忙しい中お時間いただき、ありがとうございます」とキース様
よかった…お2人ともいつもどおりだ!
「いえ。しかしこの後ヒューイ殿下とのお約束がありますから、あまり時間は取れません」
「「多恵様!」」
2人の話はやっぱり舞踏会のエスコートでした。
アーサー殿下が退室後にイザーク様の執務室に行き、舞踏会のエスコートをする事を伝え(この時にキース様が居た)、第1騎士団騎士棟に向かう途中にグラント様に会いエスコートを自慢していた。
「殿下…なにやってんの!」
「本当ですか?多恵様は殿下をお選びに…
我々にもう機会は無いのですが⁈」
「えっえっと…結論から言うと、舞踏会のエスコートの意味を知らずに、普段のエスコートと同じ認識で返事しちゃいまして…深い意思や意味は全くありません」
「本当ですが⁈では我々にまだ機会があるのですね!」
「って言うかアーサー殿下にどう弁解しようか悩んでまして…」
あんなに喜んでいるの見たら断り辛い…
ケイティさんが腕組みをして考え込んでいて徐に
「そうですね…アーサー殿下はこの王国で2番目の地位にあり、殿下のエスコートを回避するにはそれ以上の地位の方で無いと問題が起きるでしょう。
グラント様もキース様も難しいのでは⁉︎」
グラント様もキース様も難しい顔をして考え込んでいます。
適当に返事した事を今激しく後悔しているとてん君が…
『フィラ いる フィラ よぶ』
『何でフィラなの?』
『フィラ おう えらい』
「あっ!それアリかも!」
皆んなびっくりしている。御免なさい大声だして!皆んなに説明しようとした時に、目の前が真っ白になり好きな香りに包まれる。
「呼んだか?」フィラだ
「お願いがあるんだけど、その前に離して!」
「お前の願いなら何でも聞くが離すのは断る!」
「話しにくいし皆んな困っているから!」
フィラの腕から解放されて皆んなを見ると、深々と礼をして
「お初にお目にかかり光栄でございます。オブルライト公爵家グラントと申します」
「同じくファーブス公爵家キースと申します。お目にかかり光栄にございます」
『おぉ!流石公爵家嫡男。フィラ相手でも物怖じしないな…』
フィラは軽く頷きすぐ私に向き直り、腰に手を回し引き寄せた。まるでグラント様とキース様を牽制しているみたいだ。フィラは蕩けるような笑みを浮かべて
「俺は何をすればいいんだ⁈」
「舞踏会のエスコートをお願いしたい⁈ダメ?」
フィラは嬉しそうに頭の上に口付けを落として
「俺一択だろ!」
グラント様とキース様は驚いた表情をしています。
サリナさんは明るい表情に変わり
「フィラ陛下は妖精王でアーサー殿下より地位は上になります。フィラ陛下がエスコートを申し出れば誰も異議を言えないはずです。多恵さんとても良い考えですわ!」
「私はまだ伴侶を決めるつもりは無いです。しかし王国挙げての舞踏会で参加者の皆さんに誤解を与えたく無いし、アーサー殿下にも恥をかかせたく無いんです。フィラに頼むのが一番無難かなぁって」
恐る恐る2人を見ると熱を持った視線を送られて
「流石多恵様。思慮深い!多恵様はまだ相手をお決めでは無いのですね⁈」
「はい。私こちらに来て1ヶ月ですよ!そんな簡単に夫を決めるなんて無理です」
グラント様とキース様に手を取られて手の甲に口付けを落とされた。2人とも何で顔してるんですか⁉︎
美し過ぎて直視できません。
恥ずかしいくてフィラに目線を変えると、フィラは無表情で2人を見ている。
フィラ!怖いよ…
エスコートはフィラに決まりそうです




