エスコート
アーサー殿下は結構ヘタレなのかも
「多恵殿。ダンスレッスンは進んでいますか?」
「げっ!」嫌な事思い出させないで!
「あの事件が有ったのに進むと思いますか⁈」
「時間がある時は私がお相手しよう!」
「絶対足踏むから嫌です」
「多恵殿に踏まれるのは喜びでしか無いが」
またM発言してますよ!次期国王大丈夫かぃ?
「練習付き合っていただくなら、騎士さんにお願いします。だって強そうだから安心できます」
殿下は不機嫌になり
「私は王子だが第1騎士団団長だ。身分でなったのではない!他の騎士に負ける事はない!見くびってもらっては困る」
あー怒った。
「失礼しました。でも殿下はお忙しいから…」
殿下は少し考えて
「練習相手は騎士でも良いが、既婚者もしくは婚約者がいる者に限る。独り身の者だと多恵殿に心酔する者が出る」
「いや〜ないない!」
殿下は何か思いついた様で表情が明るくなり
「多恵殿。舞踏会当日は私がエスコートしたいが、よろしいか⁈」
「えっはい」
『ん?急に機嫌良くなったけど、エスコートなんていつもしてるじゃん』
「ありがとう。すぐイザークに伝えて来る。では愛しい人…」
私の前に跪き手を取り口付けを落とし、凄い勢いで出て行った。
私が意味分からずフリーズしてると”はぁ…”サリナさんの溜息が聞こえて来て見ると…サリナさん何て表情してるんですか!
「多恵さん。舞踏会で未婚女性のエスコートを務めるのは意中のお方を意味します。つまり未婚の多恵さんのエスコートするアーサー殿下は多恵さんの想い人となります。
多恵さん意味分からず返事しましたね!殿下は完全に勘違いなさってますよ」
「そんなルール知らない!いつも皆んながするエスコートじゃないの⁈何か騙された気分だ!
やばい!殿下追いかけてやっぱり無理って言って来る!」
扉に手をかけた時、遠くから鐘の音が聞こえて来て、同時に扉外から護衛騎士さん交代の知らせが…
勢いよく扉を開けると騎士さんが驚いていて、
「多恵様?」
「お疲れ様です。すみません!どなたかアーサー殿下の所に連れてってくれませんか?」
「多恵様?何をお急ぎか分かりかねますが、殿下は4刻より王都巡察に出られる予定です。確か今4刻の鐘が鳴りましたので出発されたかと…」
「うそ〜!お戻りは?」
「確か…6刻近くと聞いています」
『あー終わった…返事した時のあの笑顔はそうゆう事か…』
サリナさんに手を取られて部屋に戻されます。
「殿下がいらっしゃら無い今、慌てても仕方有りません。まずはお食事を召し上がって下さい」
「サリナさん食欲ありません」
「駄目です。少しでいいので召し上がって下さい」
食事の準備をしている侍女さん見た事無い…
用意が出来て席に着くてサリナさんが新しい侍女さんを紹介してくれました。
彼女はケイティさんでサリナさんの先輩。大変優秀な方だとサリナさんが太鼓判を押します。
ケイティさんは青みがかった銀髪美女です。
ご挨拶頂き食事が始まりました。でも全く食べる気が出ません。
「多恵さん!とりあえず食べて下さい!食べ無いと持ちませんよ。私がアーサー殿下が戻られたら面会出来る様に申請しておきますから!」
「ありがとうサリナさん。分かった食べる」
半泣きになりながらスープを口にした時!
扉の外が騒がしぃ?慌ててケイティさんが様子を見に行き戻るなり
「多恵様。お約束されていないグラント様が急ぎのご面会を求められていますが、如何いたしますか?」
「ちっ!」
『いっいまサリナさん舌打ちした?』サリナさん顔怖いよ!
「多恵さんは食事を続けて、私はグラント様と話をして来ます。お約束も無く前触れも無いなんて何て非礼なのでしょう!」
グラント様!サリナさん怒らせてますよ〜
それより急ぎって何?
お読みいただきありがとうございます。
グラント来室の目的は?




