チャイラ人
今日最後の来客です。
コーヒー時間を堪能しています。
疲れた時は甘めのコーヒーです。
また少しすると来客だから…
フィラが怒らない程度に頑張ります。
次の来客はイザーク様とキース様です。
チャイラ島の虫による感染対策の話だ。
オブルライト公爵様に続き疲れる話だ。
今日はミツドリの花蜜は必要!
サリナさんが真顔で凝視してきます。
「ん?何かおかしい?」
「多恵さん。無理していませんか⁈」
「確かに公爵様相手で疲れたけど大丈夫だよ」
「ご無理なさらないでください。イザーク様との話合い途中でも体調悪そうなら、私お止めしますから」
サリナさん過保護発動してます。フィラに『次は無い』なんて言われてるもんなぁ…
「しんどくなったらすぐ言います」
「そうして下さい!」
サリナさんの監視を受けながら訪問者を待ちます。
キース様の先触れが来ました。『ん?少し早く無いかぃ?』
程なくキース様がお見えになりました。
「多恵様。お疲れのところお時間いただき、ありがとうございます。出来るだけ早く話を終えますので、お疲れになられましたら遠慮なく申して下さい」
「こんにちは。お心遣いありがとうございます」
不意にキース様に両手を取られびっくりしていると、キース様の視線が私の手首に集中しています。
何かおかしい?
「キース様お離し下さい!」サリナさんが注意を促す
取った手を返し手首が上に来ると、愛おしそうに手首を撫でます。
「この様に跡が残る程強く縛られたのですか⁉︎
だからチャイラ人は粗暴で良く思えないです」
「よく気づきましたね!殆ど目立たなくなったのに」
「愛しい貴女の事なら少しの変化も気付きます。例えば…」
キース様は片手を離し私の頬に手を当て、指で目元をなぞり…
「うっすら隈が出ています。私の面会前にオブルライト公爵様とお会いになりお疲れなのですね…」
大きな手に頬を覆われその暖かさにつられて顔に熱を持ち出した。
「あっあの!ご心配ありがとうございます。まだ大丈夫ですから…えっと…離して下さい」
キース様は切長の一重。その瞳を細められ見つめられどうしていいか分からなくなり、サリナさんに助けを頼もうとした時にイザーク様の先触れが来ました。
『ナイスなタイミング!』
先触れを理由にサリナさんがキース様を離してくれて、ソファーを勧めてくれた
何も無かった様にキース様はスマートに着席されます。
向かいに座るキース様はじっと私を見ています。その視線は好意も見て取れますが、他のものも含んでいるように感じるのは気のせいでしょうか⁈
徐に
「多恵様。この国の者として今回の事件、お詫び申し上げます。貴女を傷つけた者は必ず裁かれましょう。傷ついたお心は私が癒したい」
「キース様が謝罪されることではないと思いますよ。それに皆さん優しくて気遣い頂いているので大丈夫です」
って言うか気遣いされ過ぎてしんどいです。
「キース様。チャイラ島にいい印象が無いみたいですが、問題があるのですか?」
キース様は驚いた表情をして
「なぜそう思われたのですか?」
「私の手首の痕を見たときに嫌悪が見て取れたので…あれ?違いましたか?」
「…あなたは思ったとおり利発だ。仰る通り嫌悪しかありません」
「なぜ?」
「多恵様はチャイラ人の為人を知らないのです。粗暴で利己主義。己の欲優先で礼儀も思いやりもない。この王国の玄関口である港を長く管理しておりますが、他国に比べチャイラ人は酷い」
キース様の表情は険しい。めちゃくちゃ嫌ってますね。チャイラ人港で何をやらかしたの⁈
「その上、今回は私の最愛の多恵様に手を出すなんて絶対許せません。後ほどイザーク様から説明があると思いますが、チャイラ島からの物と人の受け入は明日の受け入れで禁止されます。もうあの者達に好きにさせません」
「そうですか。情勢に詳しくないで、なんとも言えませんが・・・」
キース様の怒りが強くて何か雰囲気が悪くなって居心地悪い
「イザーク様お見えになりました」
イザーク様!グットタイミング!さっきからいい仕事します。
イザーク様は入室されすぐに最敬礼をし今回の事を詫びられました。謝罪を受けとり席を勧めて早速話を始めます。
「今回の面会はチャイラ島の話でしょうか⁈」
イザーク様は険しい表情で
「今回の誘拐・拉致未遂で捕らえたチャイラ人を取り調べした所、チャイラ島の状況は酷く女神の乙女である多恵様の知識を狙っての事でした。
チャイラ島の政府に抗議をしましたが、個人が勝手に起こした事だから国としての責任はないと取り合わないのです」
うっわー!キース様のいった通り傍若無人なのか⁈
「多恵様を怖がらせるつもりはありませんが、今後も拉致や誘拐を警戒せねばなりません。先日陛下が、レックロッドとモーブルに書簡を送り協力を要請し多恵様の警護体制を取りたいと思います」
「・・・。すごい大事ですね」
「否。これでも足りません。当初妖精王の加護があり我々は安心しておりましたが、今回チャイ人が鉄の布を用意し妖精王の加護を無効にしました。
予測できなかった。それに奴らは狡猾で手段を択ばない」
『・・・』キース様相当頭にきてるなぁ
「キース殿。私情を挟んではいけない」イザーク様が窘めます。
『ん?訳ありだなぁ…でも今日は聞かない!体力のある時にお願いします』
「失礼いたしました。しかしこれ以上大切な者と傷つけられるのは耐えれません」
初めて会った時から冷静でクールな印象があったキース様だけど、意外と熱血なのかなぁ…
「すみません。今日の本題は何ですか⁈」
話がすすまん!
「多恵様。失礼いたしました。チャイラ島で流行っている病についてです。多恵様はご存じですか?」
「グラント様からさわりを聞いただけなのではっきり分かりませんが、小さな虫が蚊なら色んな病気をうつすので厄介です。
その虫は小さく肌を刺して血を吸いませんか?そして刺されたところは軽く腫れて痒みを伴いませんか⁈」
2人共凄い顔をしています。正解か?
イザーク様が興奮気味に…
「その通りです。どう対策すれば良いのですか?」
「私も専門家ではないので、分かる範囲でのお話になりますよ。チャイラ島で蚊が増えてからアルディアに入国した人は把握出来ていますか?」
「はい。入国時に港で身分確認と申請書を提出させているので」
「でしたら、入国後1週間の間に体調を崩した人を選びに出して下さい。体調不良は特に”発熱、下痢、湿疹”は要注意です」
蚊が媒介する病気は色々ある。けど潜伏期間や症状まで把握していない。でも大体1週間位経過したら大丈夫かなぁ…今晩調べてみよう。
「もし症状が出た者はどうすればいいのかですか?」
「病院を1つ貸し切りそこに集めて通常のそれぞれの症状に合わせた投薬治療をし、経過観察して下さい。症状が治れば何処か宿などで更に1週間程観察して再発しなければ日常に戻って大丈夫です」
お2人のお口は壊れた様で開いたままです。
「入院する病院の方には注意事項をサリナさんに伝えて、書類にしてもらいます。
え…恥ずかしながら文字は読めても、書けないんです…私。サリナさーんお願いしますね!」
サリナさんは右手を左胸にあて頷いてくれました。
「チャイラ島からの入船はいつが最後ですか?」
「明日の午後便です。」
「では入船したら搭乗者は船から降ろさないで下さい。私が指示した格好をして医師と入国申請を受付ける方のみ乗船し、医師は健康状態の確認。受付の方は申請書の受付をして下さい。
もし、先程の様に体調を崩した方がいたら直ちに医師と受付は下船し、消毒と宿で待機して下さい。
搭乗者をどうするかは陛下やイザーク様達に判断を仰ぎます。もしかすると体調悪い方は軽い病気かもしれないし、重い病気かもしれません。
私にはそこまで判断出来る知識はありません」
「…」
2人とも考え混んでいます。
「後はチャイラ島で大量発生している虫は港近辺で確認されていますか?」
「昔からよく似た虫はいますが、チャイラ島の虫は確認されていません」
よかった!蚊はまだ増えていない様だ。
「入国者の対策が終わったら、虫の対策も必要ですね。追い追い考えましょう」
「多恵様。助言に感謝致します。今から陛下に話をして方針を決めて参ります。突然の退室お許しを…」
イザーク様は足早に部屋を出ようとして
「キース殿も同席いただきたい」
「多恵様に話が有りますので、少しお時間頂きたい。すぐ参りますので」
「あい分かった。出来るだけ急がれよ!」
イザーク様は退室されました。
私の方を向いたキース様の表情が微妙で怖いんですけど…
キース様今度ではダメかね⁉︎
医療従事者の方からしたら、おかしな内容があるかも知れません。
多恵同様に知識が無いなりに知ってる事を書いてみました。暖かい目でスルーお願いします。




