目覚め
危険は去り穏やかな目覚めです
『あーお布団暖か〜い。いい匂い!
あれ?サリナさん柔軟剤変えました?』
「ん?」違和感を覚え起き上がりる。
「森!」
部屋中に緑と花が咲き乱れてる?
呆然としていると手にフワフワの毛玉が当たる。
『たえ おきた いたい ない?』
てん君だ! 「ちっちゃ!」
てん君はチワワ位の大きさだ!
どうした!てん君!
『たえ ずっと ねてた』
『あーゴメン…』もふもふ不足かぁ!
小ちゃなてん君は私の周りを楽しそうにウロチョロしてる。
『てん君 ここ何処?』
『フィラ いえ』
『ん? てん君もう一言ってくれる?』
「目覚めたか!ここは妖精城だ」
声のする方を見ると、フィラは腕組みをし扉に凭れている。フィラは微笑むとこちらに歩いてきて、ベッドの縁にすわり私の手を取る。
「一応傷は癒したが違和感は無いか?」
そういえばダストシュートで怪我をしてた。フィラがいるから確認出来ないけど痛みは無く大丈夫そうだ。
「ありがとう。大丈夫そう」
フィラは私の手首を注視して愛しそうに撫でて
「傷は治したが少しアザが残っているなぁ…日が経てば無くなる」
そう言われて手首を見ると、確かに傷は無いけどロープの跡が目立つ。
フィラは手首に口付けを落とし、辛そうな表情で話しだした。
「お茶会の数日前にオブルライト家に居る妖精から、鉄の布が屋敷に来たと連絡があった。
恐らく俺の加護を無効する為に用意したのだろう。
鉄の布で加護を無効にしても、俺と妖精が探せばすぐ見つけれると思っていた。
まさか部屋毎鉄の布で覆い多恵自身を隠すなんて想定外だった。
俺も妖精も鉄の布に阻まれ察知出来なかった。
俺が甘かった。オブルライト家だけでは無く、アルディア城内の者や他国の者が関わっている事を見抜け無かったんだ。
多恵。悪かった…怖い目に合わせて。
二度とお前を危険な目には合わせない。女神リリスに誓おう」
フィラは私を抱き寄せて頭の上に口付けを落とす。
“城内の者?”や”他国の者?”…なんか凄い大掛かりな事になっている。私エライ事に巻き込まれてる⁈
「フィラと妖精さん、それにてん君が居たから大丈夫。でもやっぱりボーガン向けられた時は怖かったかなぁ…」
フィラの腕に力が入る。フィラの高めの体温と新緑の香りに癒される。
「あのね、私どれ位寝ていたの?てん君の大きさからして1日では無い気がするんだけど…」
「2日だ」
「2日も⁉︎通りでお腹ペコペコだ」
「直ぐ食事を用意させよう」
「あ!でもその前に湯浴みしたい」
「分かった待っていろ」
フィラが再度頭の上に口付けを落とし部屋を出て行った。
てん君は私の膝の上で丸まり私のもふもふを堪能している。
ホントてん君やフィラと妖精さんが居なかったら、あのまま軟禁か下手すると殺されていた。
皆んなに感謝…
そういえばサマンサさんはどうなったの?まさか!その場でお手打ちとか無いよね…ちょっと怖くなってきた。
それに誰がお茶に睡眠薬を混ぜたの?
私を攫ったのは誰?
全貌が見えない。被害者としては何でこうなったか知っておきたい。
これはアルディアに一度戻らないといけない!
「多恵。湯の準備が出来たぞ」
「ありがとう。フィラ!あれからどうなったか知りたいから、アルディアに戻りたい」
「アルディアから多恵を戻して欲しいと毎日連絡がある。危険は去ったのだ!ここに居れば安全で穏やかに過ごせる。ずっとここに居ろ」
「何があったか知りたいし、私が行かないと解決しないでしょう!
それに病が流行る前に手を打たないと、またオブルライト領民が沢山亡くなるわ。私は私の仕事をする」
「お前に悪意を向けた者に情けは要らんだろう!自分たちで何とかしろ」
「それでは私が来た意味が無い!」
「多恵は俺の番だ!」
「フィラ!」
「…」
「私を番として選んでくれるなら、私の心も受け入れて。私は擁護されるだけでは嫌。自分で考え自分で動きたい」
「…わかった。しかし今日は1日俺の側に居てくれ。明日アルディアに送る」
「分かったわ!ありがとう。」
とりあえず。お風呂とご飯食べさせて下さい。
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