面会(対 グラント)
お読みいただきありがとうございます。
「グラント様!流行り病のお話しをして下さい」
「そうですね。本題に入りましょう」
グラント様は座り直し、私は紅茶をに口を付けます
「我が領地はレックロッド帝国の国境に接し領地の大半は森林です。レックロッドからの山風により、気温が下がる時期は低温・空気の乾燥がつづきます。この時期は呼吸器の病が増えますが、数年前から高熱と関節痛を伴う状態が増えました。
症状は10日程続き悪化すると呼吸困難になり命を落とします。
この病が厄介なのは接触した人達にうつる事です。
酷いと一家全員病む事もあります。
特に高齢者や幼子がかかると命を落とす事が多いのです。もうすぐその時期が来ます。早く対策をせねばまた死者がでます。」
「あー恐らく”インフルエンザ”ですね。元の世界でも毎年流行り命を落とされる方もいます」
「多恵様の文明が進んだ世界でも防げないのですか⁈」
「完全に封じ込めるのは不可能ですが治療薬がありますし、予防する事で死亡率も高くありません」
「こちらの薬がどれ程か分かりませんが、予防策で発病は減らせると思います」
「予防策は高度な技術が必要になりますか⁈」
「いえ。個人が日常生活で少し気を付けていただければ難しい事ではありません。一度領地の皆さんの生活を拝見したいのですが可能ですか?」
「では陛下とイザーク様に許可をいただき調整いたしましよう!」
よし!1個片付いた!
ちょっと休憩して茶菓子をいただきま〜す!
「さて、今日の本題はここからです」
急にグラント様の声のトーンが変わった。
『何!怖い!』お菓子を口にする寸前にやめて!
「我が愚妹ナタリーの事です。ヒューイ殿下から何かお聞きですか⁈」
「少し。婚約を病気療養の為に延期されていた事。そして最近完治された事を…」
「本来公爵家に生まれたナタリーはアーサー王子の婚約者候補として厳しく育てるべきところ、幼少期より妖精の様な愛らしいさに両親は溺愛し、甘やかし育てました。
私は将来アーサー殿下の側近となるべく、幼き頃から殿下の元に通っており、ナタリーも同じく婚約者候補として」
「甘やかされ育ったナタリーは箱庭の女性と同じで擁護される事を良しとしています。
アーサー殿下は私と同じで共に歩める伴侶を望まれていて、ナタリーでは務まらない。
アーサー殿下は次第にナタリーと距離を置くようになりました。それを見ていたヒューイ殿下がナタリーを構う様になり2人は恋する様になったのです」
「2人が婚約を控えてるいたのはご存知ですか⁈」
「はい。お聞きしています」
「召喚が無ければ2人は婚約していたでしょう。女神リリスがお決めになった召喚です。誰も多恵様やリリスを責めてはいません」
「あの…ナタリー様は殿下が私の伴侶候補になっているのをご存知なのですか⁈」
「病が完治する前から屋敷に籠っており、社交場に出ておらず、また屋敷の者も伝えておらず知りません」
「ただ…完治した旨を文にしたためお送りしましたが、殿下から連絡や訪問も無く最近は不安により体調を崩しております」
「殿下は責任と”私いう目新しい人物”に興味が有るだけだと思います。それは愛ではありません。
殿下はナタリー様と結ばれるべきだと思っています」
グラント様は口元を緩め微笑み…
「やはり私がお見込みした通り聡いお方だ。私を伴侶にお選びいただけませんか⁈」
ちょいちょい口説くのやめてくれます⁈毎回照れるの疲れます。
「冗談はおいといて!」
「私は多恵様に本心しか話しません」
「もぅ!とりあえずそれは別の機会にして下さい。話しが進みません!」
「では口説く為に別の機会をお願いしますね⁉︎」
グラント様は悪戯っぽくウィンクします。
「お茶会で気をつける事とか有れば教えて下さい」
話を変えスルーしてやりました!
「ナタリーは我が屋敷の者に好かれており心酔する者も多い。お茶会が決まってから私の手の者に監視させ、怪しい動きをする者を見張らせています。
特にナタリーの侍女のサマンサはナタリーを自分の子の様に溺愛しており、性格も激昂型で衝動的。
女神の乙女を害する者は流石に無いと思いますが、慎重に事を進めております」
「ありがとうございます」
「当日は安心してお越し下さい。所用で少し遅れますが、必ず私も出席いたしますので!」
「はい。よろしくお願いします」
日本人の基本挨拶であるお辞儀をします
グラント様は目を細め照れくさそうに…
「そうやって頭を下げられるのは、多恵様の国の作法なのですか⁈」
「はい。”お辞儀”といい、お礼や挨拶、謝罪の時にする所作です」
口元に手を当て
「華奢な多恵様がお辞儀をされお顔上げらる時が愛らしくて、抱きしめたい衝動にかられます」
「…はぁ?」意味分かりません。
お辞儀の何処に萌えポイントがあるのだ?
フィラとグラントは作者のタイプに書いています




