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ヒューイ殿下は疲れきっています。

睡眠不足か肌艶も良くない。思わず殿下の頬を撫でて


「殿下。ちゃんと眠れてますか?」


殿下は目を見張りびっくりしていたが、嬉しそうに目を細めて添えた私の手の上に手を重ねた。


「床には入るが眠りが浅い」辛そうに呟く


とりあえずソファーに座っていただき、エレナさんにお茶を用意してもらい扉を少し開けて退室してもらいます。


「殿下。疲れている時は甘いモノがいいです。

これはトーイ殿下が巡察の際に買って来てくれたお菓子です。よければお召し上がり下さい。」


「……」


殿下は俯いたまま何も発せない。


「多恵殿は兄上から相手候補が増えたのをお聞きになりましたか?」


「はい」


「明日、グラント殿と面会なさるの本当ですか⁈」


「はい」 


「3日後のオブルライト家のお茶会出席も」


「はい」


「……」


「殿下?」


「私はまだ貴女の候補です」


「はい?存じていますよ?」


「グラント殿とはどの様な理由でお会いになるのですか⁈」


「恐らく流行り病に関してが一番かと」


「ナタリー嬢の事は⁈」


「分かりません。打合せした訳ではないので、グラント様がどの様に思われているかは私には判りかねます」


「オブルライト公爵はナタリー嬢を溺愛されておられる。もしかしたら貴女にゆわれの無い悪意が向くやもしれません。責任は私に有るのに貴女が悪く言われるべきでは無い」


「そうですね。殿下のお心を決めるのは殿下自身ですから、ナタリー様やオブルライ家の方々に(私が)批難される筋合いはありません」


殿下は顔を上げ驚いた表情をしている。


「もし殿下がナタリー様では無く私にお心をくださっても、その思いに向き合えるかは私の判断で、例え女神リリスが口出ししても変わる事はありません。何故なら私の心は私だけのものだから」


「殿下は真っ直ぐで周り事を考え過ぎです。王子としての立場があり、全て心ままとは行かないでしょうが、ご自分の心に向き合って下さい」


「…」 


「恐らく殿下は王子としての責務と初めて箱庭に来た時に保護した私への責任を感じてらっしゃる。それは愛なのですか?

私は違う様に思います。私はこちらの女性と違い自分の意見をはっきり言うし、男性の擁護を必要としません。珍しく興味を持たれる事でしょう。

現にこちらでお会いした男性は好意を向けて下さいます。自惚れでは無いですよ!それは新しいものに対する興味です」


『あ…舞踏会まで静観するつもりだったけど、うだうだしてる殿下見てたら、結構キツい事言っちゃた⁈』


「殿下…一人称を「私」にして考えてお心をお決め下さい。


失礼な発言をお許しください。殿下が悩み過ぎて迷子になりそうだったので、思わずキツい言い方になってしまいました。重ねてお詫びいたします」


席を立ち殿下の横で行き、膝を折り両手を胸前で合わせて握り頭を下げた。

こちらの女性の謝罪の姿勢が分からないから、それらしい姿勢をとってみたが…

なんか教会で祈るシスターみたい!自分でしたのにおかしくなって来た。


笑わない努力をしながら殿下を見ると少し涙目で、

いきなり手を引かれて抱きしめられた。


苦しいくらい強く抱きしめられています。殿下は小さく震えていて悩んでいるのが分かります。


はっきりと”ヒューイ殿下は無いです”って言ってあげた方が早いんだろうけど、自分で答え出して振られた方が殿下の為になる様な気がするし、多分殿下は最後でナタリー様を選ぶと踏んでいます。


殿下は責任感の塊ですからね!病が治ったら婚約の約束は反故に出来ないでしょう。

それにナタリー様みたいに守ってあげる方が殿下に似合ってますよ!


私みたいな捻くれおばちゃんは似合いません。


扉の向こうからエレナさんが来客を知らせて来た。

殿下の背中を軽く叩いて離す様に促す。

離す前に一度強く抱きしめられた。


私を解放した殿下は立ち上がり、私の手を取り立ち上がらせてくれた。


「多恵殿。恥ずかしいところをお見せしました。

貴女は素晴らしいし魅力的だ。私も自分に向き合い答えを出します」


殿下の表情は少し明るくなったみたいだ。

殿下は私の手を取り手の甲に口付けを落として部屋から出て行った。


もーお茶は冷めたしお菓子もまだ食べてない!


「多恵様!」殿下と入れ替わりでエレナさんが来て


「ファーブス公爵家ご令息のキース様が御面会を求められています。先触れも出していなかったので、ご無理でしたら改めてますとの事ですが、如何いたしましょうか⁈」


『おっかしいなぁ!今日は1日お休みでフリーの筈ですが!』続けての来客にグレそうです。


多恵の休みは来客で終わります。

新しい候補はどんな方でしょうか⁈

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